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教育部科学技術局、科学技術・情報化司へ改称

2021年02月26日

 教育部(日本政府の省に相当)HPの発表によると、内部に設置されている司(司は局に相当)のひとつである科学技術司が科学技術・情報化司(科学技术与信息化司)に改称された。

 所掌業務は次のとおり。

・ 大学の科学技術関係の活動に関する政策の策定、指導。

・ 国家イノベーション体系建設への大学の参与に関する協調・指導、大学が分担する国家科技重大プロジェクト等科学技術政策の実施等。

・ 大学の科学技術イノベーションプラットフォームの建設・発展と産・学・研究機関連携活動に関する組織・指導。

・ 教育システムのネットワーク安全と情報化に関する全体的な政策の企画、総合的な調整及びマクロな視点からの管理。

 内部組織としては、計画・総合処(処は日本の課に相当。科技委秘書処を兼務)、基礎研究・社会発展処(軍工処を兼務)、教育情報化・ネットワーク安全処を設置。

 科学技術司長(局長)であった雷朝滋氏が新しい科学技術・情報化司の司長に任命されている。

中华人民共和国教育部《教育部办公厅关于教育部科学技术司更名及有关职能调整的通知》 教人厅〔2021〕1号
中华人民共和国教育部 科学技术与信息化司介绍

目指す「原発強国」=新型炉、世界に売り込み

2021年02月26日

 東京電力福島第1原発事故後、中国は原発建設のペースをいったん減速させたが、再び拡大路線へかじを切った。独自で開発したと技術力を宣伝する新型原発を海外で売り込み、世界の原子力産業をリードする「原発強国」を目指している。チャイナ・ウオッチが福清発共同通信電として伝えた。

「国際的な安全基準を満たしているだけでなく、安いですよ」

 2017年、福建省福清市にある福清原発で建設中だった新型原発「華竜1号」を視察した日本の専門家に、中国側の担当者がささやいた。華竜は災害への対応能力や安全性を高めた第3世代炉と呼ばれる原発だ。

 担当者は1基当たりの建設費用を30億ドル(約3100億円)以下と説明。欧米の同タイプと比べ「半額以下」(専門家)と破格だ。

「華竜1号を建てることは国の宝をつくること」。今年1月中旬、福清原発がある村を訪れると、誇らしげなスローガンに迎えられた。商業運転を始めた華竜5号機に加え6号機も完成間近で、急ピッチで工事が進められていた。

 福島の事故を受け、中国は原発の発電容量を20年までに計8千万キロワットに増やす計画を白紙に戻した。全原発の安全性を再検査した後、15年には2基の建設を許可、事故後初めて本格的な原発建設承認に踏み切った。

 16年に発表した原子力緊急対策白書では「原発の技術・設備が30年までに国際市場で相当なシェアを占め、原発強国を実現させる」と明記した。

 20年10月末現在、稼働中の原子炉は48基。建設中は15基(計1653万キロワット)に上り「建設中としては世界一の規模」(海外電力調査会の真田晃・北京事務所長)という。

 一方、福島の事故の影響で重大な戦略変更も強いられた。内陸部での建設を当面、中止したのだ。洪水による電気系統破壊などのリスクが指摘され、住民や一部の政府幹部から反対の声が上がったのが理由だった。

 中国の原発は沿海部に集中しており、原発推進派にとって内陸部の建設断念は痛手だった。米シンクタンク、戦略国際問題研究所(CSIS)のエネルギー政策専門家は、中国が海外への輸出を急ぐのは「過剰な生産能力の負担を和らげるため」と指摘する。

 日米欧の原子力産業が低迷する中、華竜1号はパキスタンで建設が進められ、英国でも導入に向け審査中だ。中国は、温室効果ガス排出を抑えながら旺盛な電力需要を満たす解決策として、途上国を中心に売り込み攻勢をかけている。

TPP加入で非公式接触=中国、参加国と

2021年02月25日

 中国の王受文商務次官は24日の記者会見で、日本などが参加する環太平洋連携協定(TPP)への加入に向け「一部の参加国と非公式に接触した」と明らかにした。チャイナ・ウオッチが、北京発共同通信電として伝えた。

 王氏は、加入の技術的な問題を巡り意思疎通を図ったとしている。個別の国名に触れなかったが、他の参加国とも交流を持ちたいと述べた。その上で、国内では加入条件の研究と分析を行っているとも説明した。

 中国の習近平国家主席は昨年11月、TPPへの参加意欲を初めて表明した。今年に入り準備を本格化させているとみられる。

第139回中国研究会「コロナ後の中国経済の行方と日本企業~2035年のGDP倍増目標と双循環政策を読む~」(2021年01月20日開催)リポート「アジア市場にらんだネットワーク経営を 金堅敏氏日本企業に提言

サンマ国際会合が開幕=漁獲枠焦点、利害対立も

2021年02月24日

 日本や中国など8カ国・地域がサンマの資源管理を話し合う北太平洋漁業委員会(NPFC)の年次会合が23日、ウェブ会議形式で開幕した。日本は歴史的不漁に直面しており、漁獲枠削減など資源回復に向けた規制強化の実現が焦点となる。主に公海で操業する中国や台湾とは利害が対立する部分もあり、交渉の難航も予想される。チャイナ・ウオッチが伝えた。

 年次会合は25日までの予定。本来は2020年6月に札幌市で開かれる予定だったが、新型コロナウイルス感染拡大を踏まえ延期されていた。オンライン開催は初めて。

 19年の年次会合では、参加国・地域全体の漁獲枠を初めて導入することで合意。総漁獲枠を55万6250トンに設定し、このうちNPFCの管轄海域に当たる公海の漁獲枠を33万トンに制限した。

 沿岸操業に軸足を置く日本での不漁は海水温など海洋環境の変化が要因とみられているが、サンマは回遊魚で、中国や台湾の操業活発化が一因との指摘もある。公海での漁獲枠圧縮や国・地域別の漁獲枠設定も、議論の対象となる見込みだ。

 全国さんま棒受網漁業協同組合(東京)によると、20年の日本全国のサンマ水揚げ量は前年比27%減の2万9566トンとなり、記録が残る中で最低だった。

中国、金利据え置き=10カ月連続、慎重姿勢維持

2021年02月22日

 中国人民銀行(中央銀行)は20日、金融機関の貸出金利の目安となる「ローンプライムレート(貸出基礎金利、LPR)」の1年物を3・85%に据え置いた。10カ月連続で引き下げを見送った。中国経済は復調が続いており、一段の金融緩和に慎重な姿勢を維持した。チャイナ・ウオッチが北京発共同通信電として伝えた。

 LPRは事実上の政策金利で、引き下げれば新型コロナウイルス感染症の影響で資金繰りが悪化した中小企業への融資を促す効果がある。5年物も4・65%を維持した。

 一方、17日に終了した春節(旧正月)の連休では新型コロナの再流行を警戒して旅行の自粛が奨励され、観光などが打撃を受けたとみられる。国際的な原材料価格の値上がりも企業経営を圧迫しており、人民銀が今後、LPRの調節を通じて企業支援に動く可能性もある。

中国、環境債1千億円発行=温室効果ガスゼロに特化

2021年02月19日

 中国の複数の企業が18日までに、温室効果ガスの排出量を実質ゼロにする「カーボンニュートラル」に使い道を特化した債券を初めて発行した。発行額は計64億元(約1千億円)。脱炭素社会を目指す習近平指導部は積極的に支持する方向で、活用が広がりそうだ。チャイナ・ウオッチが北京発共同通信電として伝えた。

 環境関連の事業資金を調達するための「グリーンボンド(環境債)」の一環。上海証券報などによると、債券発行には、電力大手の華能国際や、世界最大級の三峡ダムを手掛ける長江三峡集団、四川空港など6社が加わった。

 三峡集団は水力発電プロジェクト、華能は洋上風力発電、四川空港は成都天府国際空港(四川省成都)の整備に使うという。

 中国人民銀行(中央銀行)研究局の王信局長らは9日、風力や太陽光発電といった重点領域への金融支援を強化する方針を示した。中国の環境債の発行規模は2020年末で1兆2千億元規模に達し、米国に続く規模という。

 中国が進める巨大経済圏構想「一帯一路」で環境関連の投資を増やす考えも強調した。

 中国は二酸化炭素(CO2)の排出量が国別で最多。習国家主席は60年までに実質ゼロにする方針を表明し、自動車業界もガソリン車を全廃する方向に動き始めている。

中国通販の物流部門上場へ=香港市場で資金調達進む

2021年02月18日

 中国インターネット通販2位、京東集団(JDドット・コム)子会社で物流を手掛ける「京東物流」は17日までに、香港証券取引所に上場を申請した。昨年12月に同グループで医薬品販売などを手がける「京東健康」が同取引所に上場したばかり。中国企業による香港市場での資金調達が進んでいる。チャイナ・ウオッチが北京発共同通信電として伝えた。

 新型コロナウイルスの流行を背景にネット通販の需要が伸びており、京東物流の2020年1~9月期の売上高は前年同期比約43%増となった。上場すれば少なくとも40億ドル(約4200億円)を調達するとの観測が出ており、事業拡大に弾みをつける。上場後も京東集団が50%以上の株式を保持するという。

 香港証券取引所には今月、中国の動画投稿アプリ「快手(クアイショウ)」を運営する快手科技が上場。中国メディアは、中国内外の資金が香港市場に流入していると指摘している。

火星の両極通る周回軌道に修正=探査機「天問1号」

2021年02月17日

 中国初の火星探査ミッション探査機「天問1号」は15日午後5時、遠火点の平面軌道修正を行うことに成功した。3000ニュートンのエンジンの点火により、軌道を火星の両極を通る周回軌道に修正するとともに、近火点の高度を約265キロメートルに修正した。その後、探査機は数回の軌道修正を経て、火星のパーキング(待機)軌道に入る予定。国家航天局への取材で分かったもの。チャイナ・ウオッチが人民日報電子版を引用した中国通信=共同通信電として伝えた。

ジンバブエに中国ワクチン=寄贈の20万回分

2021年02月16日

 アフリカ南部ジンバブエに15日、中国から寄贈された中国医薬集団(シノファーム)製の新型コロナウイルスワクチン20万回分が到着した。チャイナ・ウオッチが、ナイロビ発共同通信電として伝えた。

 ムナンガグワ大統領は今週中の接種開始を表明した。

 地元メディアは、空港で中国の駐ジンバブエ大使と共にワクチンの到着を出迎える閣僚らの様子を伝えた。中国からは3月にも追加で60万回分を入手するという。

 ジンバブエは人権侵害などを理由に長年にわたり欧米から経済制裁を受ける中、中国やロシアとの関係を強めている。

中国武漢、厳重な水際対策=監視も、全日空現地担当者

2021年02月15日

 新型コロナウイルスの流行が世界で最初に確認された中国湖北省武漢市で全日空の武漢支店空港所所長を務める鶴川昌宏氏(53)が13日までに共同通信の取材に応じ、現在の空港や街の様子に関し「非常に厳しい水際対策が取られている。生活面での監視も強く、市民の感染に対する警戒心が強い」と述べた。チャイナ・ウオッチが伝えた。

 全日空は約1年前の感染拡大期に、現地の邦人を帰国させるためにチャーター機を運航。同氏も調整に当たった。

 鶴川氏によると、現在の武漢天河国際空港の国内線旅客便は新型コロナ拡大前と同等の便数に戻ったが、国際線は1週間に韓国やシンガポールなど3便しか運航していない。海外の航空会社で同空港に残るのは鶴川氏と韓国人駐在員の2人だけという。

 空港従業員は航空機を運航させる場合、1週間以内に受けたPCR検査結果を管理者に提出しなければならない。機体の清掃員は2人に限られ、便に感染者がいた場合、作業後2週間隔離される。到着後の機内では検疫官が乗客の健康状態を確認。乗客は検査などを経て入国後、バスで待機用の施設に行き、再び検査を受けながら2週間隔離される。

 武漢市内の公共交通機関や飲食店は、湖北省当局発行の電子健康証明「ヘルスコード」のアプリをスマートフォンにダウンロードしなければ利用できない。感染者の行動履歴が通知される仕組みで、感染者が立ち寄った建物にいた人全員にPCR検査が課される。

 厳しい対策の一方、店では大人数で一つの大皿料理を箸で食べる場面も。繁華街は夜間、マスク姿の若者が出歩くなどにぎわっているという。

 1年前のチャーター機運航では利用者から感謝の言葉が相次いだ。鶴川氏は、運休が続き落ち込む全日空の若いスタッフに「必ず飛ぶ日が来るから頑張ろう」と励ましていると語った。

中国探査機、火星軌道入り=軟着陸と表面探査目指す

2021年02月12日

 火星着陸を目指す中国の探査機「天問1号」が10日夜、火星の周回軌道入りに成功した。新華社が報じた。火星への軟着陸と表面探査の両方に成功すれば米国に次いで2カ国目となる。「宇宙強国」の確立に向けた重要プロジェクトだ。チャイナ・ウオッチが北京発共同通信電として伝えた。

 周回軌道を一定期間飛行した後、火星探査車を搭載した着陸機を分離して軟着陸させる。着陸は5月から6月の見通し。

 日本時間の10日未明には、昨年7月に日本から打ち上げられたアラブ首長国連邦(UAE)の火星探査機「HOPE」が火星の周回軌道入りしたばかり。

 軌道の高度は約400キロで、火星を1周するのに10日かかるという。

 昨年夏は火星と地球が近づく26カ月に1度のチャンスだったため、米国を含め計3カ国が火星探査機を打ち上げた。

 中国は火星の周回軌道を目指す探査機を2011年にロシアのロケットで打ち上げたが、失敗している。

温室ガス削減で死者大幅減=米中など9カ国で数百万人

2021年02月10日

 地球温暖化対策の国際枠組み「パリ協定」の目標を達成できる水準まで温室効果ガス排出削減が進めば、2040年までに主要排出国の中国や米国を含む9カ国で年間数百万人の命を救うことができるとの推計結果を、英ロンドン大などの国際チームが10日までに発表した。

 温暖化に伴う食料不足や大気汚染といった悪影響が緩和されるといい、チームは「気候変動政策の最前線に保健分野を位置付ける機会になる」としている。

 調査対象は世界の排出量の70%を占める中国、米国、インド、インドネシアなど9カ国。日本は含まれていない。各国の削減目標が現状のままだった場合と、パリ協定の水準に沿って目標を引き上げた場合に分け、PM2・5など大気汚染物質や食料不足などによる年間の死者数を推計した。

 9カ国がパリ協定の目標に沿って削減した場合は現状のままと比べ、食生活の改善で約580万人、大気汚染の改善で約120万人、適切な運動による病気のリスク低下で約120万人の命が救われると分析した。

 パリ協定は産業革命前からの気温上昇を2度未満、できれば1・5度に抑えることを目指しているが、現状では目標を達成するのは難しい。このため日本を含め各国が削減目標を引き上げることが期待されている。

 研究成果は英医学誌ランセットの関連誌に発表した。

ネット通販大手に再び罰金=中国当局、不正競争で

2021年02月09日

 中国当局は8日、インターネット通販大手「唯品会」(広東省広州市)に対し、中国の不正競争防止法に違反したとして300万元(約4,900万円)の罰金を科す決定を出した。チャイナ・ウオッチが、北京発共同通信電として伝えた。

 習近平指導部は急成長するネット企業への監視を強めている。唯品会は昨年末にも罰金の決定を受けていた。

 国家市場監督管理総局によると、唯品会は昨年8月から12月にかけて、同社と同時に競合サイトにも出品している業者に対し、商品の露出量を減らすなどして販売を妨害したという。

 同総局は7日に、ネット企業の独占的な影響力を規制する指針を正式に発表した。特に唯品会のようなプラットフォーム(サービス基盤)を運営する企業が、出品業者にサイトの「二者択一」を迫る行為を規制すると明確にした。こうした強要は、ネット通販最大手アリババグループなどでも指摘されている。

 唯品会は罰金に異議を申し立てず、改善に努めると声明を出した。

 唯品会やアリババは昨年末、価格を不当に操作する行為があったとして、 それぞれ50万元の罰金を科す決定を受けた。

人民銀、国際機関と合弁=デジタル元活用に弾みか

2021年02月08日

 中国人民銀行(中央銀行)のデジタル通貨研究所と、銀行間の国際決済ネットワークを運営する国際銀行間通信協会(SWIFT・本部ベルギー)などが5日までに、北京に合弁会社を設立した。中国メディアが伝えた。チャイナ・ウオッチが北京発共同通信電として伝えた。

 中国は人民元の国際化を目指している。「デジタル人民元」実用化の狙いの一つには、迅速で安価な国際間送金の実現があるとみられている。新会社には人民元による中国独自の決済システムの運営機構も含まれ、デジタル元の国際的な運用をにらんだ布石の可能性がある。

 新会社は1月中旬に設立された。業務内容には情報システムの統合やデータ処理、技術的なコンサルティングが含まれる。国際銀行間通信協会が55%を出資し、残りを中国側が持つ構成となっている。

 また国営通信新華社によると、江蘇省蘇州市は5日から市民にデジタル元を配布する。昨年に続く実証実験になる。

祝賀ムード高まらず=冬季五輪まで1年の北京

2021年02月05日

 2022年に冬季五輪を開催する北京は4日、開会式まで1年の節目を迎えた。大会組織委員会は五輪とパラリンピックの聖火リレーで使用するトーチを発表したが、五輪では恒例の大規模なカウントダウン行事は新型コロナウイルスの影響でなく、祝賀ムードは高まっていない。各種のテスト大会も中止され、各国の選手に「ぶっつけ本番」を強いる事態になりかねない状況だ。チャイナ・ウオッチが北京発共同通信電として伝えた。

 関係者によると、4日に外国メディアを呼んで開くことを検討していたメダルのデザイン発表会は見合わせとなった。五輪公式用品販売店の小さな開店セレモニーは行われたが、1万人規模のイベントを開いた08年北京夏季五輪の1年前に比べると今回は盛り上がりに欠ける印象だ。

 中国では冬のスポーツへの関心が低い。五輪についても北京市民から「開幕は2年後だっけ」との声が聞かれるほどだ。1月から北京などで新型コロナの感染者が増えて大型イベントが規制されていることや、冬季五輪では開幕1年前の前後に本格化するテスト大会が実施できていないことが冷え込んだムードの要因になっている。

 北京五輪は来年2月4日から20日まで、北京と北京北部の延慶、河北省の張家口の三つのエリアにある12の競技会場で109種目を実施する。

WHO、石氏らと意見交換=武漢ウイルス研究所視察

2021年02月04日

 新型コロナウイルスの起源解明を目指して中国湖北省武漢を訪問中の世界保健機関(WHO)国際調査団は3日午後、トランプ前米政権がウイルス起源と疑った中国科学院武漢ウイルス研究所の視察を終えた。調査団員は著名な研究者、石正麗氏らと意見交換したと明らかにした。チャイナ・ウオッチが、武漢発共同通信電として伝えた。

 調査団は研究所を約3時間半かけて視察した。団員の専門家ピーター・ダジャック氏はツイッターで、コウモリから分離したコロナウイルス研究で知られる石氏らと会い「率直で開かれた議論をし、重要な問題の質疑をした」と投稿した。

 同研究所は致死率が高い危険な病原体を扱うバイオセーフティーレベル(BSL)4の実験室を備えている。調査団は3日朝に車で到着し、昼すぎまで滞在した。BSL4実験室も視察したとみられる。

 中国外務省などによると調査団はその後、滞在先ホテルで華中農業大の研究者と意見交換した。

 現地調査は非公開。調査団への接触は制限され、取材機会も設けられていない。研究所を離れる際、複数の団員は報道陣に対して車窓越しに「非常に重要なミーティングだった」と叫んだり「興味深い」と答えたりした。ダジャック氏は到着時も車内から「生産的な一日になるのを楽しみにしている」と述べた。

 各国専門家でつくる国際調査団は規定の2週間の隔離後、1月29日から実地調査を開始した。

モバイル決済、コロナで利用増=中国、銀聯調査

2021年02月03日

 中国の銀行間決済ネットワークである中国銀聯(チャイナ・ユニオンペイ)が1日発表したモバイル決済に関する2020年版の調査によると、モバイル決済が「最も頻繁に使う決済方法」と答えた人は98%となり、前年から5ポイント増加した。新型コロナウイルス禍で、QRコード決済を中心に非接触型決済の利用が伸びた。チャイナ・ウオッチがNNA配信として伝えた。

 QRコード決済を利用している人は85%に達し、前年から6ポイント増えた。

 コロナ禍で、生鮮食品の電子商取引(EC)やライブ配信型のインターネット通販「ライブコマース」、医療費の支払いなどの場面での利用が増えた。屋台や市場、果物店といった小型店でも普及が進み、中国銀聯は「(モバイル決済は)日常生活に不可欠なものの一部分になっている」と指摘している。

 ただ、モバイル決済を巡っては、セキュリティー面に不安を抱える人もいるようだ。調査では98%が「モバイル決済は安全」と答えたものの、大多数の人がセキュリティー対策が比較的弱いと考えていることが分かった。一方で複雑なパスワードを設定したり1回の取引額に上限を定めたりといった対策をとっている人は4割に満たなかった。

中国、無償提供開始=ワクチン、52カ国へ

2021年02月02日

 中国外務省の汪文斌副報道局長は1日の記者会見で、アジアやアフリカの発展途上国を中心に新型コロナウイルスのワクチンの無償提供を開始したと発表した。チャイナ・ウオッチが、北京発共同通信電として伝えた。

 対象は現時点で52カ国。「ワクチン外交」を通じて国際社会で影響力強化を図る動きが加速しそうだ。

 汪氏は、無償提供の第1弾となるワクチンが1日にパキスタンに到着したと発表した。今後、ブルネイやミャンマー、シエラレオネ、ジンバブエなどに順次提供するほか、ワクチン開発で各国が共同出資・購入する仕組み「COVAX(コバックス)」を通じて途上国を支援するとし、国際貢献の姿勢をアピールした。

中国、電子部品産業を強化=米対抗、23年に13%拡大

2021年02月01日

 中国政府は30日までに、電子部品産業を強化する行動計画を打ち出した。ハイテク分野で中国企業の排除を進める米国に対抗し、基礎開発力を高める。市場規模を2023年までに2兆1千億元(約34兆円)に拡大させる。中国メディアによると、19年の1兆8600億元と比べると約13%増となる。チャイナ・ウオッチが北京発共同通信電として伝えた。

 工業情報省の発表によると、重点分野として半導体や磁石、センサーなどを挙げた。

 具体的な用途としては、スマートフォンや第5世代(5G)移動通信システムやインターネットでつながる「コネクテッドカー」、宇宙や造船関連、工場の自動化など幅広い。

 中央と地方政府が協力して資金調達や人材育成を支援し、国際競争力が高い売上規模100億元の「リーディングカンパニー」を15社つくりだすとしている。

 中国紙、経済日報は「わが国の電子部品産業は巨大だが、基礎力が弱く、イノベーション力が高くない」とする業界関係者の見方を紹介した。一方、日本企業が得意とする分野だけに、日中経済関係者からは今後の競争激化を懸念する声も聞かれた。