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日中韓、北京共同声明採択=コロナ対策、五輪パラ協力

2020年12月25日

 日中韓のスポーツ行政担当相の会合が24日、オンラインで開催され、「北京共同声明」を採択、新型コロナウイルス対策で今後も引き続き協力することで一致した。来年に延期された東京五輪・パラリンピックや2022年北京冬季大会の開催に向けても協力関係をさらに強化していく。チャイナ・ウオッチが伝えた。

 会合は今回が3回目で、中国からは苟仲文国家体育総局長、韓国からは朴良雨文化体育観光相が参加。コロナ対策では3カ国のスポーツ団体や専門家が経験を共有するための交流活動を奨励することを決めた。五輪・パラリンピックでも情報共有を図っていく。

 萩生田光一文科相は「五輪・パラリンピックをリレー開催するわれわれから、スポーツの価値を世界中に届けるための発信や連携をしていくことは重要」と述べた。

中国、アリババを立件へ=独占行為の疑い

2020年12月24日

 中国当局は24日、中国の電子商取引最大手アリババグループを、市場での独占行為があった疑いで立件に向け調査していると発表した。チャイナ・ウオッチが、北京発共同通信電として伝えた。

 同社傘下で電子決済サービス「アリペイ」を運営するアント・グループに対する指導も実施する。中国政府が進めているインターネット企業への統制強化の一環だ。

 国家市場監督管理総局が「通報に基づいて」アリババの独占行為を調査した。アリババのネット通販サイトで商品を販売する業者に対して、アリババと競合するサイトを利用しないよう求める行為があったとみられる。

 中国人民銀行(中央銀行)なども、アントを「公平な競争と消費者保護」などの観点から指導する。アントは24日、「監督管理部門の指示に従う」とコメントした。

 アントは11月に上海証券取引所と香港取引所に株式を新規上場する計画だったが、直前になって中国当局がアリババ創業者の馬雲氏らの指導に乗り出して延期となった。

 習近平国家主席は12月11日、ネット企業を念頭に「独占と資本の無秩序な拡大を防ぐ措置を強化する」と表明した。

デジタル元、香港で試験へ=国際通用にらみ、越境決済

2020年12月23日

 香港の中央銀行、香港金融管理局が、中国の通貨・人民元をデジタル化した「デジタル人民元」を使った実証実験の検討に入った。香港は香港ドルが一般的な通貨として普及している。香港の商品をデジタル元で買って代金を支払うなど越境決済を想定。中国の中銀である中国人民銀行と協議している。チャイナ・ウオッチが北京発共同通信電として伝えた。

 中国はデジタル人民元の実用化を目指し、国内各地で大規模な実証実験を展開している。通貨の異なる香港との実験で国際決済や送金にも通用することを内外にアピールする思惑もありそうだ。

 香港金融管理局の余偉文総裁が公式サイトで明らかにした。余氏は香港でも人民元の利用が普及しているとした上で、デジタル化すれば「中国本土と香港の観光客に大きな利便性をもたらす」と強調した。

 一部中国メディアは香港金融管理局と中国人民銀が技術的な準備を進めていると報道。デジタル元の導入は香港とマカオ、広東省を一体化し、大経済圏を築く国家戦略「ビッグベイエリア(大湾区)」の発展に貢献すると強調した。

 デジタル人民元を巡っては、中国人民銀が10月に広東省深圳市で市民に使ってもらう実証実験を実施。今月は江蘇省蘇州市で10万人を対象に行った。

米、中ロ103社取引制限=航空関連など「軍事企業」

2020年12月22日

 米商務省は21日、中国やロシアの航空機メーカーなど103社を「軍事関連企業」と指定し、米企業との取引を制限すると発表した。チャイナ・ウオッチが、ワシントン発共同通信電として伝えた。

 米国の技術や製品が軍事転用されるのを防ぐのが狙い。トランプ大統領は退任を前に対外強硬策を相次いで打ち出しており、両国とのさらなる対立激化を呼びそうだ。

 指定したのは中国の航空機産業の中核である中国航空工業集団(AVIC)の関連会社7社など中国の58社と、ロシアの航空機メーカー、イルクートなど45社。米国製品を対象企業へ輸出する場合は米商務省に申請して許可を得る必要があり、輸出規制を厳格化する。

 AVICは米電機大手ゼネラル・エレクトリック(GE)と合弁事業を手掛けるなど米企業とのつながりも深く、部品供給メーカーなどへの影響が広がりそうだ。

 ロス商務長官は声明で「米国の技術を軍事計画に転用しようとする中国やロシアの動きに対抗する」と強調した。

 トランプ米政権はハイテク分野でも中国企業の排除を進めており、18日には中国の半導体受託製造大手、中芯国際集成電路製造(SMIC)や小型無人機ドローンの世界最大手であるDJIなどを輸出禁止措置の対象に追加していた。

中国、コロナ通行証全国に=世界での普及見据える

2020年12月21日

 中国政府は20日までに、新型コロナウイルス対策で各地方政府がばらばらに発行している電子健康証明「ヘルスコード」を、全国で相互に通用させると発表した。省や自治区をまたぐ移動の利便性を高める。世界での普及に向けた足がかりにもしたい考えだ。チャイナ・ウオッチが上海発共同通信電として伝えた。

 ヘルスコードはスマートフォン上で感染リスクを表示する仕組み。利用者はアプリをダウンロードし、個人情報を登録する。移動履歴などから健康状態が判定され、問題ないとみなされると画面上に緑色のQRコードが表示される。空港や駅、病院、商業施設などで提示を求められる。

 中国国家衛生健康委員会は10日公表の通知で「地域をまたいだ移動を確実に便利にする」と強調。地方政府などに他地域発行のヘルスコードを有効とみなすよう求めた。

 コードは新型コロナ発生後に中国が独自に開発。だが省や自治区、市によって異なるため、旅行者は空港や駅などで個人情報などを登録し直す手間がかかっていた。

 習近平国家主席はコードについて11月の20カ国・地域首脳会議(G20サミット)で「国際的な相互認証システムとして確立することを提案する」と述べ、他国の参画を求めた。中国外務省報道官も記者会見で、世界経済の回復には人の往来が必要だと指摘。コードの世界普及を見据え「関係する方面と意思疎通を図っていく」と述べた。

 江蘇省蘇州市に住む製造業の日本人男性(50)は「コードによって当局に監視されていると感じる人も周りにいるが、私は安全が守られているとの思いの方が強い」と評価している。中国国内の出張が月3~4回あるといい「全国通用で、すごく楽になる」と話した。

月面基地や木星探査も視野=中国、試料で月の地質分析

2020年12月18日

 中国の無人探査機「嫦娥5号」が月の試料持ち帰りに成功したことに関して、中国国家宇宙局の呉艶華副局長は17日の記者会見で「これからの月と惑星探査事業の強固な基礎を打ち立てた」と強調した。今後、月の裏側や南極での試料採取や月面基地建設、木星や小惑星の探査も目指すと表明した。チャイナ・ウオッチが北京発共同通信電として伝えた。

 同席した政府系研究者は、今回の試料で地質や表面の風化、火山の作用などを分析すると述べた。月の試料は米国や旧ソ連が持ち帰ったことがあるが、今回は違う場所から採取し、科学的意義は大きいとした。中国メディアによると、今回採取した場所は米国の試料よりも新しい年代に形成された土壌があるとみられている。

 呉氏は、試料と分析データを世界の科学者と共有すると表明。ただ米国は中国との宇宙分野協力を規制しているとして、米航空宇宙局(NASA)と共同研究するかどうかは「米政府の態度による」と述べた。

 今後は嫦娥6~8号を月に送り、別の場所の試料を採取するほか、関係国や国際組織と協力し、月面研究施設の建設を模索するとした。報道によると、2030年ごろに有人探査と月面基地建設の実現を目指す。

 呉氏は、試料の一部を博物館で一般展示すると明らかにした。毛沢東の故郷にも保存する。

独、ファーウェイ困難に=5G整備で安全強化法案

2020年12月17日

 ドイツのメルケル政権は16日、第5世代(5G)移動通信システム整備時の安全対策を強化する法案を閣議決定した。チャイナ・ウオッチが、ベルリン発共同通信電として伝えた。

 報道によると、法案は重要機器がシステムの保安面に悪影響を及ぼすと判断された場合、使用を禁止できるなどと規定した。地元メディアは中国通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)の参入が「非常に困難になる」と指摘した。議会が今後審議する。

 法案はシステム技術面の検査のほか、外国政府にデータが渡らないことをメーカーが保証しなければならないなどと規定し、ドイツ政府がメーカーの説明をチェックする。ドイツの安全保障政策への影響も考慮されるという。

 米国は機密情報の流出を懸念し、ファーウェイ製品を利用しないよう同盟国に圧力をかけてきた。オーストラリアは5G通信網整備への参加を禁止したほか、日本も政府調達から事実上排除する方針を決定した。欧州では英国が同調し、ベルギーでも排除が決まった。

中国の小売売上高5%増=11月、消費の回復加速

2020年12月16日

 中国国家統計局が15日発表した11月の消費動向を示す小売売上高は、前年同月比5・0%増となった。上昇率は前月から0・7ポイント拡大、4カ月連続で前年実績を上回った。新型コロナウイルスの影響で苦戦していた消費部門の回復が加速した。チャイナ・ウオッチが北京発共同通信電として伝えた。

 インターネット通販が後押しし、化粧品や宝飾類の好調が目立った。一方で飲食関連は再びマイナスとなり、小規模店が苦戦しているようだ。

 11月の工業生産も7・0%増となり、上昇率は前月より拡大した。ロボットや自動車、コンピューターがけん引し、発電設備も大きく伸びた。工場やオフィスビルへの1~11月の固定資産投資は前年同期比2・6%増と伸びが継続。うち民間投資が0・2%増となり、今年2月以降初めてプラスとなった。1~11月の不動産開発投資は6・8%増だった。

 統計局は経済の回復を強調する一方、国外での新型コロナの再流行を踏まえ、成長の継続には課題も少なくないとの認識を示した。

独禁法違反でアリババ処分=中国政府、テンセントもネット大手の管理強化

2020年12月15日

 中国政府は14日、中国電子商取引最大手アリババグループとIT大手の騰訊控股(テンセント)のそれぞれの傘下企業に対し、独占禁止法違反でいずれも罰金50万元(約800万円)を科す決定を出した。チャイナ・ウオッチが、北京発共同通信電として伝えた。

 国家市場監督管理総局が発表した。11月にインターネット企業の独占を禁止する方針を出して以来、初めての処分で、ネット大手への管理を強めた形だ。

 アリババ傘下の「アリババ投資」は、デパートなどを経営する「銀泰商業」の株式取得に関し、当局に届け出なかったことが違法と認定された。テンセントの場合もメディア企業の株式取得が同様に判断された。

 同総局は「ネット業界は無法地帯ではなく、独占禁止法を順守する必要がある」と強調している。今回の罰金は低額だが「社会に向けたシグナルで、一部企業を威嚇する効果があるだろう」と述べ、一罰百戒を狙ったものであることを認めた。

 中国では、アリババが手掛ける電子決済サービス「アリペイ」とテンセントの通信アプリ「微信(ウィーチャット)」を筆頭に、さまざまなネットサービスが市民生活に浸透している。一部企業が「強すぎる」と指摘するメディアもある。

 習近平国家主席は今月11日、今後の経済運営についてネット企業を念頭に「独占と資本の無秩序な拡大を防ぐ措置を強化する」と表明している。

日中韓保健相がコロナ声明=対策連携へ採択

2020年12月14日

 感染症対策など医療保健分野の課題を話し合う日本、中国、韓国の保健相会合が11日、テレビ会議で開かれ、新型コロナウイルス対策を巡る連携を柱とする共同声明を採択した。チャイナ・ウオッチが伝えた。

 日本から田村憲久厚生労働相が参加した。声明は、新型コロナの予防や治療に必要な情報共有を強化する方針を示した。情報通信技術(ICT)の活用を促進すべきだと強調。がんの予防や高齢者が住みやすい社会づくりに関しても協力する。

 保健相会合は新型インフルエンザ対策の協議を目的に2007年に始まった。ほぼ毎年開かれている。今年は中国で開催予定だったが、テレビ会議となった。

中国製ワクチン有効性86%=UAEが正式登録

2020年12月11日

 アラブ首長国連邦(UAE)当局は10日までに、同国で臨床試験(治験)の最終段階を実施していた中国の製薬大手、中国医薬集団(シノファーム)の新型コロナウイルス感染症のワクチンの有効性を86%と発表した。北京発共同通信電が、中国国営通信、新華社の報道を引用して伝えた。

 UAEは9日、ワクチンを正式登録した。シノファームは最終治験のデータを公開していない。

 同社が開発したのは、毒性をなくしたウイルスを利用する不活化ワクチン。治験の途中段階から実用化し、中国では既に約100万人に緊急投与した。

 しかし中国では既に流行が収まっているため、最終治験をUAEやエジプト、モロッコなどで実施していた。

 新華社によると、UAE当局は、125の国・地域の出身者3万1千人が参加した最終治験結果を分析した。深刻な安全上の問題はなく、感染を防ぐ有効性を86%とした。UAEでは、9月から医療従事者らへの緊急使用も認めていた。

パンダの保護研究協力延長=中米両国

2020年12月10日

 9日の中国中央テレビ・ニュースアプリ「央視新聞客戸端」によると、米国のスミソニアン国立動物園と中国野生動物保護協会は7日、同日で期限の切れるジャイアントパンダの保護研究協力を2023年12月7日まで3年間延長することを決定したと発表した。チャイナ・ウオッチが中国中央テレビ・ニュースアプリ「央視新聞客戸端」の報道を引用した中国通信=共同通信電として伝えた。

 それによると、22歳の雌と23歳の雄、その生後3カ月余りの子どもが米国に残り、研究が続けられる。

 今後、双方は協力延長期間にパンダおよびその子どもの飼育管理、科学研究、健康観察を一層強化し、両国の絶滅危惧種、生物多様性の保護において一層大きな成果が得られるよう図るという。

中国ネット医療、香港上場=アント延期後、大型案件

2020年12月09日

 中国インターネット通販2位、京東集団(JDドット・コ ム)子会社で医薬品販売や医療サービスを手がける「京東健康」が8日、 香港証券取引所に株式を上場した。チャイナ・ウオッチが、北京発共同通信電として伝えた。

 公開価格の70.58香港ドル(約950円)に対し、初値は94.50香港ドルをつけた。3,600億円規模を資金調達し、事業拡大を目指す。

 香港証取では、ネット通販最大手アリババグループ傘下の電子決済サース「アリペイ」を運営するアント・グループの11月の上場が延期となった。そのため、京東健康は今年最後の大規模な新規株式公開(IPO)とみられて投資家の関心を呼び、公募株数に対する応募倍率は約400倍に上ったという。

 中国では新型コロナウイルスの影響を受け、医療機関の不足が叫ばれている。京東健康は今年、オンラインで医師への医療相談を中心とした新サービスを開始した。ITを駆使し、都市と地方の医療格差解消を掲げている。

 京東健康の辛利軍最高経営責任者(CEO)は8日、取材に「オンラインの問診は今後5年でいっそう重要なプラットフォーム(サービス基盤)になる」と意気込んだ。

 一方、習近平指導部は市場の安定を理由にアントの上場延期を決定している。大手ネット企業の独占を規制する対策も打ち出し、干渉を強めている。辛氏は「われわれは独占企業とは正反対に、多くの消費者が求めるサービスを提供する」と述べた。

中国の貿易額がプラス転換=1~11月、輸出好調

2020年12月08日

 中国税関総署が7日発表した貿易統計によると、1~11月の世界全体に対する貿易総額は前年同期比0・6%増の4兆1733億ドル(約434兆円)となり、新型コロナウイルスの影響を受けた今年、初めてプラスとなった。11月の輸出が前年同月比21・1%増の2680億ドルと大きく伸びた。チャイナ・ウオッチが北京発共同通信電として伝えた。

 海外で新型コロナ感染が再流行しているが、クリスマス商戦を控え需要が増えたとみられる。コンピューターや紡織品、医療機器がけん引した。11月の輸出の上昇率は前月から9・7ポイントの大幅増となり、6カ月連続で前年実績を上回った。

 11月の輸入額も前年同月比4・5%増の1926億ドルとプラスを維持。中国の内需回復を反映したもようだ。肉類や大豆、鉄鉱石などが伸びている。

 貿易摩擦を抱える米国とは、1~11月の累計で輸入が前年同期比6・1%増となり、上昇率が1~10月から拡大した。米中貿易協議の「第1段階」合意に基づき、中国が米国の農産品の輸入を続けているとみられる。

 中国は11月に「中国国際輸入博覧会」を開催。その後、日中を含む15カ国の「地域的な包括的経済連携(RCEP)」に署名し、貿易拡大の姿勢を鮮明にしている。

デジタル元、蘇州でも配布=中国、市民利用の第2弾

2020年12月07日

 中国国営通信の新華社は5日、江蘇省蘇州市で市民に「デジタル人民元」を使ってもらう実証実験が行われると報じた。10月の広東省深圳市に続く第2弾。中国人民銀行(中央銀行)によるデジタル通貨の発行に向けて準備が着々と進んでいるもようだ。チャイナ・ウオッチが北京発共同通信電として伝えた。

 今回は総額2千万元(約3億2千万円)と深圳の2倍。前回と同様に抽選を行い、当選者10万人に200元ずつを各自のスマートフォンの専用アプリに送る。市内のスーパーや飲食店などで支払いできるほか、通販大手、京東集団(JDドット・コム)のオンラインショッピングにも使えるという。有効期間は12月11~27日。

 新華社は「デジタル元の足音がますます近くなった」としつつ、今回は正式な発行ではなく消費促進も兼ねた実験だと強調した。

 中銀が発行するデジタル通貨を巡っては、日銀が2021年度の早い時期に実証実験を開始する計画だ。

中国、個人情報の収集規制=巨大ネット企業を警戒

2020年12月04日

 中国政府がネット企業などを対象に、スマートフォンのアプリを通じた個人情報の収集を規制する方針を打ち出した。収集には必ず利用者の同意を得て、決められた項目以外は集めてはならないとしている。電子商取引(EC)大手アリババグループなど中国の巨大ネット企業が膨大なデータを扱うことに警戒を強めているとみられる。チャイナ・ウオッチが北京発共同通信電として伝えた。

 国家インターネット情報弁公室が草案を発表して意見を募っている。

 ネット地図やキャッシュレス決済、料理の宅配など中国でよく使われる38のアプリの分野を設定。配車サービスで収集できるのは利用者の電話番号か身分証、位置情報に限られる。

 多くのアプリは既に情報収集に関して利用者の同意を求めているが、国営通信の新華社は「必要範囲を超えて情報を集める問題があり、漏えいや乱用のリスクがある」と新規制を設ける意義を強調した。

 中国ではアリババの決済アプリ「アリペイ」と、IT大手の騰訊控股(テンセント)の通信アプリ「微信(ウィーチャット)」を筆頭に、さまざまなアプリが市民生活に浸透している。

 一方で、中国当局は巨大ネット企業の市場独占を規制する対策案を打ち出し、アリペイの運営企業の新規上場も認めないなど干渉を強めている。データの取り扱いを巡っては、王毅国務委員兼外相が中国主導で世界基準を策定する意向を示している。

中国、輸出管理の品目発表=施行後初、暗号技術対象 来年1月から適用

2020年12月03日

 中国商務省は2日、国家安全に関わる物品や技術の輸出を制限する輸出管理法を巡り、規制対象となる品目の一部を発表した。関連リストを明らかにするのは初めてとみられる。チャイナ・ウオッチが、北京発共同通信電として伝えた。

 規制するのはデータの暗号化技術に関する分野で、ICチップや量子暗号通信の設備などが挙げられている。来年1月から適用される。

 輸出管理法は今月1日に施行されたものの対象リストが示されておらず、国際社会から懸念の声が出ていた。今後、他の製品や技術にも広がる可能性がある。日本の産業界では中国産レアアース(希土類)にも規制がかかる可能性があることに不安が高まっている。

 今回は、中国の暗号法で規定する「商用暗号」の技術や製品が対象で、ICチップであれば電力や金融分野に使われる一定の計算法に基づくとするなど細かく規定している。インターネットのVPN(仮想私設網)設備なども含まれる。

 輸出業者は中国の省レベルの商務部門を通じ、該当製品や技術の最終的な納入先と用途などを報告する義務を負う。商務省が許可証を発行する。違反した場合は行政処分の対象となり、犯罪性が認められれば刑事責任が追及されるとしている。

使い捨てプラの報告義務づけ=使用と回収情況を当局に

2020年12月02日

 中国商務省は11月30日、小売業者や電子商取引(EC)プラットフォームなどに対し、使い捨てプラスチック製品の使用と回収の状況を当局へ報告するよう義務付ける新規定を公布した。使い捨てプラ製品の削減へ向け、実際の使用状況を正確に把握することが狙いだ。チャイナ・ウオッチがNNA配信として伝えた。

 報告が義務付けられるのは、スーパーなどの小売り施設やECプラットフォームと、オンラインのプラットフォームを介して出前サービスを提供している飲食店。報告対象となる使い捨てプラ製品には、自然分解できないレジ袋や包装用の袋、出前用の容器、食器、ストローなどが含まれる。

 公布日は11月27日で、30日後に施行する。報告は半年周期で行う。最初の報告は2020年7月1日~12月31日が対象期間。期間終了後30日以内の報告を義務付けている。

 ほか義務化はしていないが、各関連企業にはリサイクルバッグや自然分解可能な紙製ストローなどの使用状況も合わせて報告するよう呼び掛けている。

中国でネット通じ日本PR=50自治体参加、生中継も

2020年12月01日

 日本外務省と在中国日本大使館は11月30日、中国で短文投稿サイト「微博(ウェイボ)」を通じて、日本の観光地や文化、食の魅力を発信する事業を12月に実施すると発表した。計50自治体が参加し、各地の魅力を伝える動画を配信。静岡県や高知県から生中継も行う予定。チャイナ・ウオッチが北京発共同通信電として伝えた。

 新型コロナウイルス感染症の流行で日本を訪れる中国人観光客が激減しており、企業とも連携して日本産品の販売促進、輸出の増加につなげたい考え。新型コロナ収束後の訪日中国人観光客の増加も狙う。

 自治体のPR動画は在中国日本大使館の微博で毎日2、3カ所ずつ紹介する。12月19日にはインターネット上で影響力を持つ中国の「インフルエンサー」をゲストに迎え、北海道と、宮城、静岡、高知各県の魅力を生中継で紹介する予定。

 インフルエンサーが山東省青島、遼寧省大連、四川省成都で日本の料理や特産品をアピールする催しも計画している。