中国科学技術大学によると、天然の真珠層の「レンガ・泥」の層状構造からヒントを得て、同大の兪書宏院士のチームが新型宇宙船外層防護材料「ポリイミド・ナノ雲母複合膜」を開発した。独特な生体模倣デザインの採用により、その力学的性能と宇宙の過酷な環境における耐久性がいずれも大幅に上がった。新華社が伝えた。
ポリイミド薄膜は優れた力学的性能、熱安定性、耐化学性から、宇宙探査機の「防護服」を作るための重要材料になっている。しかしこの材料は宇宙環境において原子状酸素の攻撃を受けやすく、物理的・力学的性能が低下する。また宇宙放射線やスペースデブリの衝突などの極端な状況も、その安定性の脅威となっている。
兪氏のチームは天然の真珠層の「レンガ・泥」の層状構造からヒントを得て、成分構成を変え、吹き付け・熱硬化法を利用し、ポリイミド・ナノ雲母複合膜を構築し、その最上層により緻密なナノ雲母片を持たせた。この設計策は材料の力学的性能の向上を実現したうえ、その表面の原子状酸素、紫外線放射、スペースデブリなどに対する防護力を高めた。
国際的に有名な学術誌「アドバンスド・マテリアルズ」はこのほど、同成果を発表した。同研究は独特な2層真珠層構造設計策を打ち出し、その他の高性能ナノ複合材料の設計・構築に向けた新たな道筋を示した。
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