上海自由貿易区設立1年、規制緩和進まず
2014年09月30日
中国が経済構造改革のため設立した、上海市の自由貿易試験区が29日、開設1年を迎えた。行政手続きの簡素化など、一部で改革が進んでいるものの、規制緩和が不十分で、外資による新規事業が頓挫するなど、課題も多い。チャイナ・ウォッチが共同電として伝えた。
北京の中央省庁は外資の参入障壁撤廃に慎重な場合が多く、大胆な構造改革を進めるには習近平指導部の強いリーダーシップが求められる。
試験区の設立に際して政府が打ち出した目玉政策のひとつが、外資に対する規制項目を列挙した「ネガティブリスト」と呼ばれる一覧表。リストにない事業分野は外資にも、中国企業と同様に開放すると明言したことから、日本企業の間でも「ビジネス拡大につながる可能性がある」と期待が高まった。
ところが、実際に事業を進めようとすると、業界を所管する各省庁は既存の法令などを盾に参入を認めないケースが出ている。
試験区の関係者によると、ある外資企業が、医療分野のネット広告の新規事業を始めようとして会社を設立したが、営業を始めるには衛生局やネット管理当局など複数の省庁の認可が必要で、最終的には事業が認められなかった。
建設業でも当初、橋などを除いて外資に開放されるとの期待があった。しかし、現実には日本のゼネコンを含む外資は、今も中国企業から建設工事を請け負うことはできない。
「以前と何も替わっていない」(建設関係者)との声も聞かれる。規制維持の背景には、国内産業の保護があるが、一方で当局は構造改革には外資の力が必要とも認識している。上海の金融関係者からは「規制改革の歩みは遅いが、徐々に進んでいる」との声も聞かれた。
高齢者向け産業の市場潜在力中国が世界最大に
2014年09月29日
中国はすでに高齢化社会の初期にあり、今後、世界で高齢者向け産業市場の潜在力が最も大きな国となるという報告が公表された。
チャイナ・ウオッチが北京発の新華社=共同通信電として伝えるところによると、9月23日、中国高齢科学研究センターが編集し、社会科学文献出版社が刊行した「中国高齢向け産業発展報告(2014)」について北京で記者会見が行われた。
報告によると、2014年の中国の高齢者の消費能力は約4兆元で、2050年には106兆元前後に達し、GDPに占める割合は8%から33%前後に拡大し、世界最大となる。
中国高齢科学研究センターの党俊武副主任は 次のように指摘した。2013年から2020年、2030年、2050年の間に、中国の高齢者人口の状況には重要な変化が起こる。高齢化がますます進み、高齢者の教育レベルが高くなり、高齢者の子どもが少なくなり、独居老人が普遍的になり、2軒以上の住宅を所有する高齢者が多くなる。こうした変化はどれも今後の高齢者向け産業開発の重要なより所となる。
北京では、10月1日から「中華の美徳を受け継ぎ、敬老文化を発揚する」をテーマとする2014年全国「敬老月」活動が始まる。高齢者慰問・ボランティア活動、敬老文化の広報教育活動、高齢者文化スポーツ活動、高齢者の権利擁護と優遇、「老いても活躍」先進モデル広報活動が行われる予定だ。
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福田元首相日中首脳に苦言
2014年09月26日
11月のAPEC(アジア太平洋経済協力会議)首脳会議で日中首脳会談が実現するかに関心が集まっている中、福田康夫元首相が講演で、安倍晋三首相と中国の習近平国家主席に苦言を呈した。
チャイナ・ウオッチによると、福田氏は9月25日、東京都内で講演し、沖縄県・尖閣諸島情勢や歴史認識をめぐる日中対立を念頭に「今の夫婦げんかのような状態を恥としないといけない」と述べ、互いにけん制し合う安倍晋三首相と中国の習近平国家主席に厳しい言葉を送った。
緊張状態が続く日中関係の現状について「深刻なもめ事にしない工夫が必要だ。過去の話をしていてもきりがない」と指摘し、打開に向け「リーダーは前を向いて合意すべきだ」と強調した。
今後の対応では「一刻も早く首脳同士が会って握手してほしい。予想はつかないが、良い結果が出るだろう。おそらく世界中がほっとする」と首脳会談 の早期実現へ努力するよう 双方に呼び掛けた。
福田氏は7月に北京で習氏と極秘会談した際、首脳会談に応じるよう求める首相のメッセージを習氏に伝えている。
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民主化で多数の難民、中国の一党支配を正当化
2014年09月25日
中国共産党機関紙「人民日報」のウェブサイト「人民網」は24日、中国が西側の多党制の政治制度を導入すれば、2年以内に武力衝突が発生し、1300万人以上が死亡、1億3000万人を超える難民が出かねないとする、李満長駐セルビア大使の論文を紹介した。チャイナウォッチが北京発共同電として伝えた。
論文は「西側の国は自由や人権の名の下に、他国の内政に干渉している」と批判、多党制を導入したアフリカや旧ユーゴスラビアの各国は混乱に陥り、経済も低迷したままだと強調した。
また1990年代のユーゴスラビア民族紛争を引き合いに、中国で同様の事態が起きれば、死者や難民が出るほか、経済は20年余り後退し、「5000年の文明を持つ中国が、30を超える小国に引き裂かれる」と警鐘を鳴らした。
さらに多党制を許せば、チベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ14世や、少数民族ウィグル族を束ねる「世界ウィグル会議」のラビア・カーディル主席を支持する過激組織が、「人心を惑わし、真相を知らない人たちをだます」と主張した。論文はこのほど党政治理論誌に掲載された。
環境の日中官民会議再開を確認
2014年09月24日
北京を訪問中の日中経済協会の一行と中国国家発展改革委員会幹部との会談で、中断している省エネルギーや環境分野での日中の官民会議を早期に再開する方針が確認された。
チャイナ・ウオッチが、北京発共同通信電として伝えるところによると、日中経済協会の訪中団は9月23日、中国の経済政策を担う国家発展改革委員会の幹部と会談した。会談で張富士夫会長(トヨタ自動車名誉会長)は、中国経済の成長が持続するために「省エネ、環境などの成長制約を克服することが不可欠の課題だ」と指摘した。中国で深刻化している大気汚染の対策などで日本の技術が役立つとして、協力の強化を目的に立ち上げた官民会議の活用に期待を示した。
官民会議の「日中省エネルギー・環境総合フォーラム」は日中双方の経済官庁の閣僚や企業トップらが参加し、2006年から12年まで毎年開催してきた。しかし、日中関係の悪化により13年は開かれなかった。
国家発展改革委の朱之鑫副主任は「経済情勢や環境面の協力で意見を交わすことは大変重要な意味がある」と語った。
訪中団はこの日、高虎城商務相ら中国商務省幹部とも会談した。日中経協によると、高氏は日本から中国への投資が落ち込んでいることに関し「政治の問題で経済活動に影響が出てきたのではないか」とした上で「政治の冷え込みで経済が冷える姿は見たくない」と述べた。
榊原定征経団連会長も記者団に対し、投資の減少などで「政治面の現状が影響していることを懸念している」とし、24日に予定している中国の汪洋副首相との会談で日中の関係改善の重要性を訴える意向を示した。
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中印首脳2兆円投資や鉄道支援で合意
2014年09月22日
中国国家発展改革委員会が、2020年までに二酸化炭素(CO2)排出量を2005年比で40~45%削減する計画を発表した。
チャイナ・ウオッチが北京発共同通信電として伝えるところによると、国家発展改革委員会は9月19日、エネルギー効率を高め、工業生産活動に伴う二酸化炭素排出量を大幅に削減することなどを盛り込んだ2014~20年の「気候変動対応計画」を発表した。計画は、20年までに国内総生産(GDP)当たりのCO2排出量を05年比40~45%削減することを掲げている。
計画発表は、ニューヨークで23日に開催される国連の気候変動サミットを前に、地球温暖化対策に積極的に取り組む姿勢を示すのが狙い。19日記者会見した同委員会の解振華副主任は「13年までに28.5%減らした」と述べ、目標達成に自信を見せた。
解氏はまた、中国が将来、CO2の排出量についてGDP当たりではなく、総量削減に乗り出す可能性を示唆した。計画は、環境負荷の低減に向けた産業構造の転換を掲げ、石炭の消費量を抑え、原発や風力、太陽光などの非化石燃料の利用を促すと強調している。また車両や鉄道、船舶、航空機による旅客と貨物の輸送に伴うCO2の排出量を10年比で5~15%削減することも盛り込んでいる。
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中印首脳2兆円投資や鉄道支援で合意
2014年09月19日
習近平中国国家主席とモディ・インド首相との会談で、中国がインドに今後5年間で200億ドル(約2兆1,700億円)の投資や高速鉄道計画への支援をすることなどで合意した。
チャイナ・ウオッチがニューデリー発共同通信電として伝えるところによると、習近平国家主席は9月18日、訪問先のインドの首都ニューデリーでモディ首相と会談した。会談で両首脳は、インドと中国が原子力協定締結に向けて協議を始めることでも合意した。高速鉄道と原子力発電の分野では日本もインド市場参入を狙っており、今後日中の競争が激化しそうだ。
一方、PTI通信によると、両国が領有権を主張する国境付近のカシミール地方では、数日前に中国側がインド側に侵入したことをきっかけに、18日も両軍合わせて約千人がにらみ合う事態に発展している。 モディ氏は首脳会談で習氏に「深刻な懸念」を伝えた。習氏は国境問題を「友好的な協議を通じて早期に解決する決意がある」と述べた。
インドでは、経済成長に必要なインフラ整備への中国の投資に期待が高い。だが国境問題では緊張が高まる事態がこれまでも頻発している。またカシミールの領有権をめぐり対立するパキスタンと中国が緊密であることなどから、インド側の警戒心は根強い。
習氏は共同記者会見で、来年の早い時期のモディ氏の中国訪問を招請した。
安倍晋三首相は今月1日、訪日したモディ氏との会談で、インドへの3.5兆円の投融資を表明している。モディ氏は今月末に訪米し、オバマ米大統領とも会談する予定。
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中国の住宅価格下落、経済減速の懸念
2014年09月18日
中国国家統計局が18日発表した、8月の新築住宅価格指数は、主要70都市のうち68都市で前月より下落した。下落都市は7月の64都市から増加し、全国的な値下がり傾向が加速した。チャイナ・ウォッチが共同電として伝えた。
住宅が売れないため建設投資が減少し、工業生産が5年8ヶ月ぶりの低水準に落ち込んだ。政府は今年の国内総生産(GDP)成長率の目標を7.5%としているが、中国の成長がさらに減速する懸念が高まっている。
住宅価格指数は北京、上海、広州といった沿岸部の大都市のほか、重慶や四川省成都など内陸都市でも下落した。
また国家統計局が13日に発表した経済指標によると、8月の住宅の新規着工面積は、前年同月比14.4%の減少となった。建築材料の鉄鋼やセメント、ガラスだけでなく、家電などの生産量にも影響が出ており、8月の工業生産の伸び率は6.9%と、リーマンショックから間もない2008年12月以来の水準まで落ち込んだ。
4-6月期のGDP成長率は7.5%だったが、7-9月期は「7.2%程度まで減速する可能性がある」(北京の金融筋)との見方も出ている。
中国は住宅バブルを抑制するため、2010年ごろから地方政府が中央の指導で住宅購入制限を続けてきた。市況の悪化を受けて、各地の政府は一転して制限を緩和し始めている。
中国中西部の太陽光発電施設に難敵
2014年09月17日
中国中西部の広大な未利用地で導入が進む太陽光発電に意外な難敵が現れ、大きな課題となっている。
チャイナ・ウオッチが中国週刊紙「南方週末」の記事として伝えるところによると、もともと水不足の地に設置された太陽光発電施設で深刻な問題になっているのは、ソーラーパネルの洗浄に使う水の確保。クリーンエネルギーが水不足という自然環境の影響を受けるのは設置前に予想されなかった事態で、政府や企業にとっては低コストで水問題を解決できるかどうかが新たな課題として浮上している。
国家発展改革委員会エネルギー研究所の王斯成研究員は今年8月、内モンゴル自治区フフホト市で開かれた大規模太陽光発電に関するシンポジウムで、この「きわめて深刻」な問題を提起した。日差しが強く、乾燥して黄砂が舞う西部の青海、甘粛両省と新疆ウイグル、寧夏回族、内モンゴル各自治区にある地上設置型太陽光発電設備の発電容量は合計で1500万キロワットを超えている。大規模設備は平均して2~3カ月に1回は洗浄しなければならないため、大量の水が必要となる。
王研究員によると、1万キロワットの太陽光発電設備を洗浄する場合、給水車でソーラーパネルに直接水を散布すると1回に約100トンの水を使うという。パイプを通して芝生に水をまくように洗浄すれば60~70トン、給水車で水をまきながらブラシで洗う方法でも約50トンの水が必要となる。
中国政府の国家エネルギー局は2012年、太陽光発電設備に関する環境影響評価方法を新たに規定。環境に影響を与えかねない設備設置時の土地使用や汚染物質の排出、天然資源の利用、廃棄物の管理などを対象としたが、完成後の設備維持に必要な大量の水使用については触れていない。
一部の発電設備は深い井戸を掘って地下水で洗浄しており、環境破壊が懸念されている。内モンゴル自治区政府の発展改革委員会当局者は水使用規則について、太陽光発電導入時には予測していなかった問題で、地方政府レベルでは対応できていないとしている。
米航空宇宙局(NASA)の研究結果によると、ソーラーパネル1平方メートル当たり4.05グラムのほこりで太陽光発電のエネルギー効率は40%低下するという。冬から春にかけて黄砂に覆われる中国の西部地区ではなおさら、太陽光発電を正常に稼働させるために定期的な洗浄が欠かせない。
イスラエルの企業が今年3月に発表した水を使わない洗浄ロボット技術は、回転電動ブラシでほこりを99%除去できるという。米太陽光発電設備大手サンパワーも昨年11月、水使用量を約90%減らせる洗浄ロボットのメーカーを買収した。いずれも中国西部地区の太陽光発電事業者には負担できないほどのコストがかかる。国内では新疆電力科学研究院が洗浄ロボットを開発中だが、100カ所を超す西部地区の太陽光発電設備の洗浄問題を解決するにはほど遠い状況にある。
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インド、上海機構に加盟申請
2014年09月16日
インドは13日までに、中国とロシア、中央アジア諸国で構成する上海協力機構(SCO)に加盟申請した。11、12両日にタジキスタンで開かれたSCO首脳会議にオブザーバー参加していたスワラジ外相が12日に表明した。チャイナウオッチがPTI通信電として伝えた。
巨大な人口を抱えるインドはエネルギー確保が課題で、加盟により中央アジアの豊富な石油・天然ガス資源の開発に加わる機会を増やしたい考え。
一方、中ロはインドを取り込むことで、米欧主導の国際秩序への対抗を図りたい思惑がある。
スワラジ氏は「多くの国が暴力や紛争に直面している。こうした出来事は地政学に深く関連しており、共同で対処せねばならない」と述べた。
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中国への直接投資流入量、過去最高を更新
2014年09月12日
昨年の中国への海外直接投資(FDI)流入量は 1240 億ドルで、過去最高を更新し、米国に次いで世界第2位となった。
チャイナ・ウオッチが福州発新華社=共同通信電として伝えるところによると、国連貿易開発会議(UNCTAD)が8日、福建省のアモイ市で世界投資報告書 2014(中国語版)」を発表、明らかにした。
同報告書によると、世界のFDI流入量は昨年、前年の減少傾向から再び増加傾向に転じ、前年比9%増の1兆 4,500 億ドルに達した。UUNCTADの預測では、今年のFDI流入量は1兆 6,000 億ドルに達し、2016 年までに1兆 8,000 億ドルに増える見込み。
UNCTADの藤田正孝投資傾向問題部部長は「世界のFDIの流れをみると、発展途上経済体への流入量は昨年トップにランクされ、過去最高を再び更新、7,780 億ドルに達し、世界全体の 54%を占めた。成長パターンの転換を進めている経済体への流入量は 1,080 億ドルだった。FDIの流入量に基づくランキングの上位 20 位をみると、発展途上経済体と成長パターンの転換を進めている経済体が半分を占め、中国への流入量が世界全体の8.5%を占めた。
UNCTADのデータによると、中国は 1992 年から 22 年連続で外資利用額が最も多い発展途上国となっており、国・地域別ランキングにおける順位も基本的に安定している。この 20 年間をみると、中国の外資利用額が世界全体に占める割合は平均 7.6%、発展途上国全体に占める割合は平均 21.5%を占めた。
商務省外資局の邱麗新副局長は「改革開放が始まってからの 36 年間、中国は経済のグローバル化が深まるチャンスをとらえ国際分業に積極的に参加、海外の産業移転を積極的に受け入れ、外資直接導入事業で世界が注目する成果を収めてきた」と述べた。
今年に入ってからも中国の外資利用は安定増加傾向を保っている。1~7月期に設立された金融機関を除く外資系企業は前年比 4.9%増の1万3,000 社で、2012 年から2年連続減少していた状況が改善された。同期の外資利用実績は 711 億 4,000 万ドル。今年7月までに中国に設立された外資系企業は累計80万社近くで、外資利用実績は1兆5,000億ドルを超えた。
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2024年、中国が世界一の経済大国に・・・米IHSが予測
2014年09月11日
米コンサルタント会社大手のHISコンサルティングは7日、2024年に中国はGDPで米国を抜き、世界最大の経済大国になるとのレポートを発表した。チャイナ・ウォッチがロンドン発新華社電・共同電として伝えた。
IHSのレポートによると、中国の名目GDPは2024年に28兆2500億ドルに達し、米国の27兆3100億ドルを越えるという。これにより世界経済に占める中国の割合は、2013年の12%から2024年には、20%に達する。
また中国の内需が中国だけでなく、世界経済の主要な原動力となり、消費支出水準は現在の3兆ドル前後から、2024年には11兆ドル前後に達するという。
さらに今後10年間の消費支出の実質伸び率は、7.7%に達する見込みだ。
HISのチーフエコノミストは、間もなく開かれる天津夏季ダボス会議のテーマが、科学技術、イノベーションとなっていることに注目、中国の経済構造が、安い労働力による低コスト製造業を中心とする輸出指向型経済から、高付加価値・内需主導型への転換が、経済成長のかぎになると見ている。
立命館と大連理工大共同のIT新学部開講
2014年09月10日
立命館大学と大連理工大学が9月9日、共同運営する「国際情報ソフトウェア学部」を中国大連市で開講した。
チャイナ・ウオッチが、大連発共同通信電として伝えるところによると、大連市には日系企業が多く、IT企業で活躍できる人材の育成で双方が一致した。立命館大によると、日本の大学が海外の大学と共同学部を発足させるのは初めて。
大連市での開校式には白色のワイシャツを着た中国人の男女学生約100人が参加した。日本側の学部長を務める立命館大の大久保英嗣総長特別補佐は「言語、ITの習得にとどまらず、相互の文化、社会、歴史の理解を深めてほしい」と激励した。約100人のうち、成績優秀な40人は3年生から立命館大に転入する。日本では少子化が深刻化しており、立命館大には中国人留学生を安定的に確保していく狙いもある。立命館大の教授ら約10人が年間を通じて1週間から3カ月間、大連市に滞在して専門分野の授業を行う。
学費は年間約3万6,000元(約60万円)で、大連理工大の通常学費の年間5,000元の7倍以上だが、理工大側は「最初から留学するより経済的。入学希望者は増えるだろう」と自信を見せる。4年目からは募集枠を300人に拡大する方針だ。遼寧省鞍山市出身の李啓さん(18)は「絶対に留学したい。大好きなアニメを通じて、日本社会や文化はある程度知っている」と話した。
共同運営の学部開講は大連理工大が2009年に立命館に設立を働き掛け、中国教育省が13年3月に認可した。
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改革・革新の精神で13次5カ年計画を編成
2014年09月09日
李克強首相は2日、国務院の関係会際招集し、2016年から2020年の第13次5カ年計画について、「改革・革新の精神で」編成を行うと強調した。チャイナ・ウォッチが新華社・共同電として伝えた。
これによると李首相は現在の第12次5カ年計画について、「計画の主要な目標・任務の達成を確かなものにする必要がある」と述べ、ラストスパートの必要性を強調した。
また2016年から始まる第13次5カ年計画については、「改革・革新を際立たせ、科学的発展の推進、発展パターンの転換、根深い矛盾の解消のため、発奮する必要がある」と強調した。
中国は共産党結成100年に当たる2021年までに、「小康社会」を作り出すことを目標としており、そのための構造改革や権限の委譲、それに市場の更なる開放が必要とされている。
また2049年の新中国成立100年までに、基本的な近代化を達成することを目標としており、李首相は「中華民族の偉大な復興という中国の夢の実現のため、努力するよう奮起しなければならない」と結んだ。
アリババ19日にも上場 調達額史上最大か
2014年09月08日
チャイナウオッチが、ニューヨーク発共同通信電として伝えるところによると、中国の電子商取引最大手アリババ・グループは9月5日、米証券取引委員会(SEC)に対し、新規株式公開(IPO)の仮条件を届け出た。投資家向け説明会を経て、19日にもニューヨーク証券取引所に上場し、初取引が行われるとみられる。公募価格は1株60~66ドルで、最大約3億6,800万株を売り出す。上場に伴う調達金額は史上最大の約243億ドル(約2兆5,000億円)に達する可能性がある。
仮条件で算出した調達額は、これまで首位の中国農業銀行の約221億ドルを超える。米国で上場したIT関連企業では、2012年の米フェイスブックの約160億ドルが最大だった。
アリババは上場で財務基盤を強固にし、顧客に提供するサービスの多様化などを進める。株価と発行済み株数を掛け合わせた同社の時価総額は1,600億ドルに及び、米ネット通販大手アマゾン・コムなどの大企業と肩を並べそうだ。アリババの筆頭株主であるソフトバンクは上場に伴って保有比率を現在の34.1%から32.4%に減らすが、引き続き最も多い株数を保有する。時価は5兆円超となり、ソフトバンクに多額の含み益をもたらす見通し。
米メディアによると、アリババの馬雲会長は5日、投資家に向けた手紙の中で、中国企業として上場により「国際社会に新しい視点を加えたい」と述べた。
アリババは中国のネット通販市場で8割以上のシェアを誇り、急成長を続けている。14年4~6月期決算は、売上高が前年同期比46.3%増の25億4,000万ドル、純利益は2.8倍の20億ドルだった。アリババのウェブサイトによると、同社は中国全土をはじめ日米韓など70を超す拠点に2万4,000超の社員を有し、190カ国にネットを通じたサービスを提供している。
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進む太陽光発電・砂漠化対策構想
2014年09月05日
太陽光発電開発と砂漠化対策を結びつける新しいモデルの模索が、中国西北地区で進んでいる。
チャイナ・ウオッチが新華社=共同通信電として伝えるところによると、甘粛省武威市古浪県で、昨年 11 月、500 メガワットの太陽光発電所が稼働し、砂漠化対策と結びつけたモデルの試行が始まった。中国西北地区は国内で太陽光エネルギー資源が最も豊富で、また砂嵐の被害が最も深刻なところ。甘粛省武威市古浪県はトングリ砂漠の南端に位置し、砂嵐がひどい地域の一つとなっている。
古浪振業砂漠太陽光発電有限公司の責任者、于徳虎氏は「発電所建設のための整地とソーラーパネルで太陽光が遮断される効果で植物の生存環境が大きく改善され、節水かんがい施設を建設することで商品作物の栽培もでき、経済とエコの効果が見込める」と語っている。
同じ武威市の民勤県では別の太陽光発電事業者「興業太陽エネルギー技術」が同様のモデルを計画している。同社は 2009 年に寧夏回族自治区中衛で砂漠エコ発電事業を始めている。担当者によると、ソーラーパネルの太陽光遮断効果で水の蒸発量が 20~30%減少し、植物の生存環境が改善され、また砂がパネルに影響を与えるが、植物の栽培で巻き上がる砂を減らすことができる。
甘粛自然エネルギー研究所長で中国再生可能エネルギー学会副理事長の喜文華氏によると、現在、太陽光発電所の多くは発電所を建設するだけで、イノベーションも競争の優位性もなく、砂漠の利用も粗放で、土地の価値が十分生かされていない、という。
同氏は「砂漠化対策のための植物研究は太陽光発電企業の得意分野ではなく、協力が必要だが、現在そうした協力はみられない。専門の技術者が少なく、太陽光の有効な開発と節水かんがい技術を有機的に結びつけることができず、これが最大の課題だ」と語っている。
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不正蓄財や逃亡防止で北京市幹部に出国禁止令
2014年09月04日
北京市政府が、部長級以上の幹部に対して、公務以外での出国を禁じる措置を取っていることが分かった。チャイナ・ウォッチが共同電として伝えた。
習近平指導部が反腐敗運動を展開する中、摘発を恐れた幹部が、国外に逃亡するのを防ぐ目的があるという。
幹部のパスポートを職場で一括管理する方針とのことで、異例の厳しさに戸惑いも広がっているという。中国では、共産党や地方政府幹部らが、配偶者や子供を海外に移住させ、不正に得た金を家族に送金したり、本人が海外に逃亡するケースがあとを立たない。(「裸官」と呼ばれる)
最高人民検察院によると、職務上の犯罪で逃亡し、2013年に摘発された公務員は、全国で762人に上り、約100億元(1700億円相当)の財産を没収した。
北京青年報によると、北京市政府は、幹部が私用で出国することを基本的に認めず、特別な事情で出国を希望する場合は書類を提出し、許可を得る必要があるとしている。
すでに家族が海外に居住、または資金や機密文書を扱う部署に所属している職員に対しては、とくに管理を厳しくするよう指示が出ている。
日中韓11月に初の合同原子力防災訓練
2014年09月03日
日中韓3カ国による初の合同原子力防災訓練が、11月に韓国で行われる。
チャイナ・ウオッチによると、9月2日原子力規制委員会で開かれた情報交換会議(非公開)で、日中韓の原子力規制当局が合意した。日中両国が担当者を派遣し、情報交換などをする予定。
3カ国は昨年、中国で行われた前回会議で、いずれかの国での原子力事故を想定した訓練を毎年交代で行うことで合意していた。今回の訓練はこの合意に基づくもので、11月20日に実施する予定という。3カ国の会議では原子力規制に当たる人材の育成の在り方などについて作業部会を設置し、議論を深めることも確認した。
また、3カ国に加え米国、カナダ、フランス、ロシアと国際原子力機関(IAEA)の専門家らが2、3の両日、東京電力福島第1原発事故の教訓について議論し、4日には第1原発を視察する。
日中韓3カ国による会議は2008年から毎年、各国持ち回りで開かれている
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2014年09月02日
抗日記念施設のリストを公表
2014年09月02日
中国国務院は1日、日中戦争に関連して、今年制定された9月3日の「抗日戦争勝利記念日」を前に、全国80の「国家級抗日戦争記念施設」のリストを発表した。チャイナ・ウォッチが共同電として伝えた。
国務院はまた、関係部門に「愛国精神を育み、民族の結束を強化する」ため、各施設で記念行事を展開するよう求めている。リストには江蘇省の南京大虐殺記念館などが含まれている。
さらに1日付の法制晩報によると、北京市郊外にある盧溝橋近くの中国人民抗日戦争記念館では、3日午前に記念イベントが開かれるという。
一方、民政省は1日、「抗日戦争の英雄300人」の名簿を発表した。
習近平指導部は、歴史問題で対日攻勢を強化、全国人民代表大会常務委員会は今年2月、9月3日を「抗日戦争勝利記念日」に、また12月13日を旧日本軍による南京大虐殺の犠牲者追悼の日とすることを正式決定した。
習主席軍の編成改革を指示
2014年09月01日
中国共産党の習近平総書記(国家主席)が、軍の編成改革を急ぐよう党政治局の集団学習会で指示した。
チャイナ・ウオッチが新華社=共同通信電として伝えるところによると、集団学習会は8月29日開かれ、習主席は「時代に即した軍の刷新に力を尽くし、国防と軍隊の改革を進めなければならない」と強調した。
学習会は軍事面での国際情勢の変化を研究し、国防上の課題を分析する目的で開催された。習指導部は、米政権のアジア重視戦略などをにらみ、陸 海空軍の指揮系統を一本化するなど統合作戦能力の強化に向けた改革を加速させる構えだ。
習氏は「国際情勢は新たな転換点にある」との認識を示し、軍事環境をめぐる変化が「厳しい課題であり、得難い機会でもある」と指摘。新たな情勢に対応できるよう国防体制を見直し、再 構築する必要性を訴えた。
(編集部注)中国の軍事戦略に詳しい小原凡司東京財団研究員は8月8日、日本記者クラブ主催研究会の講演(「軍事衝突回避は強い経済力と自衛隊能力の維持」参照)で、習近平国家主席は、「 人民解放軍をたたき直して戦える軍隊にしようとしている」との見方を示している。徐才厚・前中央軍事委員会副主席に対し、党籍剥奪という重い処分を科す前に、人 民解放軍の高級将校たちから支持を取り付けているなど、今年になって人民解放軍に対する習主席の掌握はほぼ終わった、とも小原氏は語っている。
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