中国の人工増雨による雨量は年間約500億立方メートルに達する。人工的に雨を降らせるために散布されるヨウ化銀などの触媒は、生態環境に悪影響を及ぼさないのだろうか?中国気象局の鄭国光局長はこれについて、「ヨウ化銀、ドライアイス、液体窒素などの触媒が環境に及ぼす影響はごくわずかである」とした。人民日報が6日に報じた。
鄭局長は6日、中国政府網を訪れ、気象防災・減災、気候変動への対応についてネットユーザーと交流を行い、次のように述べた。
干ばつの時期に行われる人工増雨に注目が集まっているが、干ばつの季節に人工増雨に適した天候条件がそろうことは実は少ない。快晴の日に人工的に雨を降らすのは不可能だ。中国大陸では毎年6.1兆立方メートルの雨が降る。人工増雨で増える雨量には限りがあり、増加するのは10%-15%のみだ。人工増雨の量は年間約500億立方メートルとなる。
我々はヨウ化銀を触媒に使っているが、これはヨウ化銀の構造が雲の中の氷晶と同じ構造だからだ。1グラムのヨウ化銀で、10の10乗-13乗の氷晶核を生産することができる。1発の人工増雨の砲弾にはヨウ化銀1グラムが含まれており、全国で1年間に約90万発が使われている。つまり使われるヨウ化銀は1トンに満たず、銀に換算すれば200キロ-300キロだ。これらの触媒は約500万平方キロメートルの範囲に散布されるため、環境への影響は非常にわずかだ。
一部の触媒ではドライアイス、すなわち固体の二酸化炭素を使っており、液体窒素を使うものもある。窒素は大気中に存在する自然の気体であり、大気の78%は窒素だ。しかも、人工増雨のために散布される触媒の量は少なく、環境への影響は小さい。
特に西北、東北、華北など水不足の地方では、干ばつのためだけでなく、大気中の水資源開発利用のためにも人工増雨を利用し、年間を通じた人工増雨作業を行っていくべきだ。