天津工業博が開催　産業用ロボットに注目集まる

2023年05月12日

　厚さ0.4ミリの極薄炭素鋼板を溶接し、「書道」を書き、金属部品製造で8人分の仕事をし、360キロの荷物を積載できる...。中国天津市で8～11日、第19回天津工業博覧会が開かれ、さまざまな「神業」を身につけた中国の国産産業用ロボットが披露された。

　世界では新型コロナウイルス感染症の影響により、各業界のロボット導入意欲が一層高まっている。産業用ロボット市場は勢いよく発展を続け、市場規模は過去最高規模を更新した。

　煙台艾創機器人科技の劉傑副総経理は「今回出展した360キロ積載可能ロボットは、新エネルギーの電池倉庫で応用できる。動力電池は新エネルギー車（NEV）のコア部品で、完成車のコストの約40％を占めている。動力電池メーカーの生産能力に対するニーズが日増しに増大する中、大規模で自動化・スマート化した柔軟性の高い製造工法が発展の主流になっている。質と効率を向上させ、コストを低下させるとともに、新たな製造技術により、100キロの工具を持ち上げることなど、人間には解決できない難問が解決できるようになった」と説明した。

　中国の新エネ車産業の躍進は、新たな応用シーンをもたらすとともに、従来の自動車産業の高い壁を打ち破った。

　浙江銭江機器人の北方大エリアマネージャー、依明沢氏は「産業用ロボットのニーズが最も大きい自動車業界が応用シーンのほぼ50％を占めている。しかし、既存の海外の産業用ロボットメーカーが先に進出して主導権を握り、市場の圧倒的多数を占めているため、中国の国産ロボットが市場の一角を占めようとしても、ハードルが非常に高い」と、自らの見解を述べた。

　煙台艾創機器人は新エネ車業界の発展がもたらす恩恵を受けている。劉氏は「われわれの積載ロボットは性能が国際水準に達しており、コストがより低く、双方向連携サービスが得意だ。多くの国内新エネ車メーカーが今年から当社の製品を採用するようになった。昨年10月から今年1月にかけて、360キロ積載可能ロボットは品薄状態が続いた」と紹介した。

　中国市場と比べ、世界の産業用ロボット市場はさらに広い。今回の天津工業博では、出展した国産産業用ロボットメーカーが、まるで申し合わせたように「海外進出」を口にした。

　依氏は「今はどの国産ロボット企業も輸出を売り上げの成長ポイントととらえている。われわれも5年前から輸出を行い、今では安定した輸出システムを構築し、一定の海外顧客層を獲得している」と述べた。