春節(旧正月)前夜に放送された中国の人気番組で、ドローンによる演出が注目を集めた。人民日報が伝えた。
「サイバー花火」が鮮やかに咲き誇り、熱々の火鍋から巨大唐辛子が飛び出し、中欧班列(中国と欧州を結ぶ定期貨物列車)がタイムトンネルを駆け抜け、山茶花や春節の提灯などが続々と登場した。
夜空を彩る「サイバー花火」は、ドローン編隊を活用し、テクノロジーとアートが融合した新たなパフォーマンスだ。これらの「空中の役者」は、広東省深圳市の大漠大智控技術によるものだ。
舞台からわずか50センチの低空で、整然とホバリングするドローン編隊は、舞台と一体化していた。スタッフによると、衛星測位やRTK(リアルタイムキネマティック)技術などにより、大漠大のドローン編隊はミリ単位の測位能力を持つ。
同社は2024年9月に深圳湾で1万197機のドローンを用いたショーを行い、「1台のコンピューターで制御された最多の同時飛行ドローン数」と「最も多くのドローンによる空中アート」の2つのギネス世界記録を樹立した。数年前の珠海でのパフォーマンスと比べ、ドローンの数が3倍以上に増加したが、設営にかかる人手は半減し、必要なスペースも大幅に縮小された。
ドローン編隊の離陸は平坦な地形が求められるが、高度差がパフォーマンスの効果に影響を及ぼし、さらには衝突のリスクもあるため、1機ごとに異なるデータの調整を行わなければならない。技術チームは絶対標高高度測位ソリューションを開発し、地形の制約を克服した。飛行ルートの最適化アルゴリズムも進化した結果、30分かかっていたルート計算がわずか3分に短縮され、効率が10倍向上した。
大漠大の劉漢斌董事長は「ドローン1機は1人の役者に相当する。確かな技術的支援があるため、より大きな想像の世界が広がる。日増しに固まる技術的基盤により、さらに多くの自由な発想が実現されるだろう」と述べた。
ドローンショーの芸術表現はすでに、単純な視覚的インパクトを超えている。業界では音楽やダンス、演劇などとのコラボが積極的に模索され、多元的かつ融合的な表現方法により没入感のある体験が生み出されている。テクノロジーが文化と出会い、イノベーションが伝統を包み込む。夜空を舞ったドローンはやがて帰還するが、空に刻まれた文化のシンボルは、観客の心に美しい記憶として残るだろう。
(画像提供:人民網)
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