円環アレイ太陽電波イメージング望遠鏡が完成

2023年10月04日

　中国科学院によると、円環アレイ太陽電波イメージング望遠鏡（DSRT）が9月27日、プロセステストに合格した。同望遠鏡は中国の国家重要科学技術インフラで、宇宙環境地上総合モニタリングネットワーク（子午線プロジェクト2期）を象徴する設備の一つで、太陽物理や宇宙天気の研究に対し、質の高い観測データを提供する。新華社が伝えた。

　四川省カンゼ（甘孜）チベット自治州稲城県の標高3820メートル地点に、直径6メートルのパラボラアンテナ313基が直径1000メートルの円環上に均等に設置されており、遠くから見ると高原に置かれた真珠のネックレスのようだ。これが円環アレイ太陽電波イメージング望遠鏡で、現地の住民からは「千眼天珠」と呼ばれている。

　円環アレイ太陽電波イメージング望遠鏡プロジェクト責任者で、中国科学院国家空間科学センター研究員の閻敬業氏は、「太陽がくしゃみをすれば、地球は風邪を引くと言われる。太陽活動によって引き起こされる宇宙環境の短期的な変化は宇宙天気と呼ばれ、その質の高いモニタリングと予報は、宇宙や通信などのハイテクシステムの安定的な運営に対して重要な意義がある」と説明した。

　同望遠鏡は現在、世界最大規模の開口合成電波イメージング望遠鏡で、太陽の各種爆発活動や、太陽嵐が惑星間空間に放出されるプロセスをモニタリングでき、太陽爆発のメカニズムと太陽嵐の地球への伝播の法則の理解に役立ち、それにより、太陽活動の地球への影響が予測できる。

　今回のプロセステストにより、同望遠鏡は最大視野が太陽半径の10倍に及ぶ連続的で安定的な太陽電波イメージングと周波数スペクトル観測能力を持ち、各種技術指標が設計要求を満たしていることが分かった。

閻氏は「太陽活動の観測の他にも、『中国天眼』『中国複眼』や三亜非干渉性散乱レーダーなどと共同観測を行い、低周波電波スカイサーベイ、パルサー、高速電波バースト、惑星防御モニタリング・早期警報などの分野で重要な役割を果たす」と述べた。