トップ >科学技術中国の科学技術分野別状況4.環境および資源・エネルギー分野(原子力を除く)> 4.2 環境および資源・エネルギー分野の現状および動向

4.2 環境および資源・エネルギー分野の現状および動向

(1) 環境

1)地球温暖化

① 二酸化炭素排出量

 オランダ環境評価機関(MNP)は2007年6月、2006年の中国の二酸化炭素排出量が米国を抜いて世界最大になったと発表した。MNPによると、2005年時点では中国の二酸化炭素排出量は米国を2%下回っていたが、2006年には米国が58億トンだったのに対して、中国は62億トンとなり、米国の排出量を初めて上回った。

 MNPは、化石燃料の燃焼とセメントの製造によって排出される二酸化炭素だけを集計しており、発電部門とセメント製造における石炭の利用拡大が二酸化炭素の排出増大につながったと分析した。

 中国外交部の秦剛報道官は6月21日の定例会見で、中国の1人あたりの二酸化炭素排出量が3.66トンであるのに対してオランダは11.4トンもあると指摘したうえで、現在の地球温暖化を招いた主な原因は、西側先進国が工業化の過程で長年にわたって蓄積してきた排出量と現在の1人あたりの高い排出量にあると批判した。

 また、京都議定書には中国を含めた発展途上国の排出削減目標はないものの、中国としては真剣かつ積極的に排出削減に努力を払い、地球温暖化問題の解決に国際社会とともに取り組んでいるとの見解を表明した。

 国家発展改革委員会が2007年6月に公表した「気候変動国家方案」(「中国応対気候変化国家方案」)は、あらゆる手段を講じて温室効果ガスの排出削減に取り組むとの方針を明らかにする一方で、排出削減の量的目標は明示していない。

 中国政府は、同方案の中で、以下のような具体的な気候変動の証拠があるとの見方を示した。

 -気温:過去100年の間に平均気温が0.5~0.8度C上昇した。これは、世界の気温上昇と比べるとわずかだが高い。中国での気温上昇は、ほとんどが過去50年間に観測されている。中国国内での傾向を見ると、長江南部より西部や東部、北部での温暖化が顕著になっている。とくに冬季の気温上昇が大きく、1986年から2005年にかけて20年連続で暖冬を記録した。

  • 降雨量:過去100年間では、年間降雨量に顕著な変化は見られなかったものの、地域別に見るとかなりの違いがある。年間降雨量の減少が顕著なのは北部、北西部の東側、北東部で、このうち北部での減少が最も大きい。一方で、南部と北西部では降雨量が大きく増加した。
  • 異常気象:中国全土における異常気象の頻度と強さについては、この50年間に明らかな変化が見られた。具体的には、北部と北東部では渇水、長江中流・下流、南東部では洪水が深刻化した。
  • 海面水位:中国の沿岸部での海面水位の上昇は、過去50年間では年間2.5mmで、世界平均よりわずかだが高かった。
  • 氷河:中国の山岳氷河は後退しており、そうした傾向が加速している。

② 温暖化の将来予測

 中国の研究者らは、「気候変動国家方案」の中で、以下のように、将来的には気候変動(温暖化)の傾向がさらに強まると予測している。

  • 年間平均気温は2000年に比べると、2020年時点で1.3~2.1度C、2050年時点では2.3~3.3度C、それぞれ上昇する。とくに気温の上昇が顕著なのは、北西部と北東部である。2030年までに北西部では1.9~2.3度C、南西部では1.6~2度C、青海・チベット高原では2.2~2.6度C、それぞれ上昇するとみられる。
  • 降雨量については、今後50年間は増加すると予測される。中国全体で見ると、2020年までに2~3%、2050年までに5~7%増加する。最も増加するとみられているのは南東部の沿岸地域である。
  • 異常気象の発生頻度が増加し、社会経済や国民生活に計り知れない影響を及ぼすと考えられる。
  • 乾燥地帯が拡大し、砂漠化のリスクが増大することも考えられる。
  • 海水面は引き続き上昇すると考えられる。
  • 青海・チベット高原と天山山脈の氷河は加速度的に後退し、小さい氷河の中には消失するものも現れる。

③ 気候変動戦略目標

 中国政府は、「気候変動国家方案」の中で、気候変動に対応するための戦略目標として、①温室効果ガスの排出抑制②気候変動に対する適応能力の向上③気候変動に関連した科学、技術、研究開発の水準向上④気候変動に対する国民の意識向上――等をあげている。

 このうち、温室効果ガスの排出抑制を目的として、経済成長パターンの転換を加速するとともに、省エネに関する政策指針を強固なものとするとの方針を打ち出した。

 具体的には、省エネに対する政府の監督・管理の強化、省エネ技術の研究開発・実証・導入を促進することに加えて、市場原理に基づいた省エネに関する新しいメカニズムを軌道に乗せるというのが中国政府の考え方である。また、省エネに対する国民や社会の意識を向上させ、省エネ社会の構築を加速することが温室効果ガスの排出抑制に貢献すると見ている。

 国家方案では、温室効果ガスの排出抑制の一環として、エネルギー供給構造の最適化にも言及されており、再生可能エネルギーと原子力発電を積極的に開発するとともに、コールベッドメタン(coal-bed methane)の利用を加速することが含まれている。

 具体的な目標としては、大規模水力発電を含めて、一次エネルギー供給に占める再生可能エネルギーの割合を2010年までに10%に引き上げるとともに、コールベッドメタンを最大で100億m3採収するとしている。

 このほか、冶金や建築資材、化学工業といった分野の産業政策を強化し、循環経済を発展させるという方針も掲げている。資源の利用効率を高め、窒素酸化物の排出抑制を強化することも温室効果ガスの排出削減に貢献すると見ている。

④ 気候変動とCDM

 中国政府は2008年10月、「中国の気候変動政策と行動」(「中国応対気候変化的政策与行動」)と題する白書を公表した。白書は、中国が気候変動への対応を重視しているとしたうえで、先進国に対して率先して排出削減を求めるとともに、発展途上国に対して資金や技術の面で協力するよう求めた。

 白書では、クリーン開発メカニズム(CDM)が国内の持続可能な発展を促進するうえで積極的な役割を果たすことを重視し、CDM事業協力に参加することを通じて世界の温室効果ガスの排出削減に貢献したいとの考えを示した。

 また中国は、政府部門や業界、学術団体、諮問サービス機関、金融機関などがCDM事業を推進するため、キャパシティ・ビルディング(能力開発:トレーニングなどを通じて教育・訓練を行い、CDM等に関わる人々や組織の能力の向上をはかること)を強化したと指摘した。

 同白書によると、2008年7月20日までに中国が国連に登録することに成功したCDM協力事業は244件に達し、これらの事業によって二酸化炭素相当で年間1億1300万トンの排出削減が期待されるとしている。

 こうしたCDM事業に推進によって、中国国内の再生可能エネルギーの発展と省エネが促進されただけでなく、関係政府部門や企業、組織、個人の気候変動意識が向上したことから、中国としては効果的で有益な協力メカニズムとしてCDMを2012年以降も引き続き実施する必要があるとの見解を表明した。

 一方で、CDM事業実施における公平、透明、簡略化などをさらに進めるとともに、先進技術の発展途上国への移転を促進し、ホスト国がCDM事業開発の中でさらに重要な役割を演じる必要があると主張した。

 これに関連して中国の劉延東・国務委員は2008年4月24日、北京で開催された気候変動と科学技術の革新に関する会議で、気候変動に対する発展途上国の能力を改善するため、先進国は技術移転を拡大する必要があると強調した。

 なお、中国の楊潔篪外交部長は2009年2月21日、訪中した米国のヒラリー・クリントン国務長官との会談後、両国が気候変動への対応で協力を強化し、2009年末にデンマークのコペンハーゲンで開催される国連気候変動枠組み条約締約国会議を成功させることで合意したことを明らかにした。

2)環境汚染・破壊

① 環境汚染の現状

 国務院の承認を受けて2007年11月に公布された「国家環境保護『第11次5ヵ年』規画」では、二酸化硫黄と化学的酸素要求量(COD)を2010年までに2005年比で10%削減するとの目標が掲げられた。また、汚染が深刻な湖沼や河川での対策を急ぐとともに、都市部における汚水・ゴミ処理に全力で取り組み、飲用水源の安全を確保する方針も打ち出された。

 環境保護部が2008年6月に公表した「中国環境状況公報」によると、排出削減の努力が実を結び、2007年には主要排出物が減少に転じた。環境保護部は、歴史的に重要な一歩と高く評価した。具体的な成果は以下の通りである。

  • 脱硫装置を設置した石炭火力発電所の占める割合が2005年の12%から48%に上昇した。
  • 都市部における汚水処理率が52%から60%に上昇し、CODが1383万3000トンとなり前年から3.14%減少した。
  • 大気中への二酸化硫黄排出量が2468万トンとなり、前年から4.66%減少した。
  • 河川や湖沼等の水域環境の改善に着手し、主要河川では水質汚染防止計画等が立案された。
  • リサイクルの全プロセスにおいて環境経済政策が制定され、金融や貿易等の各種経済手段によって環境保護がはかられた。

 一方で環境保護部は、全国の環境状況は相対的に改善しているものの、依然として厳しい状況にあるとの認識を示している。とくに、水質汚染が深刻で、長江や黄河などの7大河川の水質が前年と変わっていないことを明らかにした。また、農村部では環境汚染と生態破壊という2つの脅威に直面しているとの見解を示している。

 環境保護部によると、国が定めた水質汚染対策重点流域の範囲が拡大し、総面積がすでに国土の40%を占めていることも明らかになった。

 国務院は、「第9次5ヵ年」規画の実施後、「三河三湖」(淮河、海河、遼河、太湖、巣湖、慎池)を国家整備重点流域に指定した。また、「第10次5ヵ年」期間には、松花江流域、三峡ダムおよび上流、南水北調(南方地域の水を北方地域に送り慢性的な水不足を解消するプロジェクト)水源地およびその沿線を追加するとともに、2008年には「黄河中上流域水汚染対策計画」を承認している。

② 環境汚染の防止

 こうした状況の中で、世界的な金融危機に対応するための内需拡大策の一環として環境保護をさらに推進する方針が打ち出された。環境保護部の周生賢・部長は、今後3年にわたって1兆元以上の資金を集め環境保護に投入していくとの考えを明らかにしている。

 環境保護部は2008年11月、国務院の内需拡大策に関する決定に関連して、以下の6項目の方針を定めた。

  • 汚染物質の排出削減を強化する:汚水処理場の建設を加速するとともに、汚染抑制プロジェクトを推進し、構造調整および環境管理を実施する。
  • 環境アセスメントと新規プロジェクトへの審査を強化する:環境アセスメントと新規プロジェクトへの審査の効率化をはかり、内需拡大策の実施にあたって環境アセスメントの役割を発揮する。
  • 農村における環境保護を強化する:農村環境総合整備を進め、汚染が深刻な村落に対して集中的に取り組みを行う。農村部の汚染処理に有効な技術の導入をはかる。農村部でのゴミ処理に積極的に取り組み、土壌汚染や鉱工業汚染、生態系破壊を防止する。
  • 環境関連法律の執行を強化する:環境保護キャンペーンなどの活動を通じて、環境関連法律の執行を強化する。企業による違法な汚染物質排出を取り締まり、影響が深刻な案件については責任を徹底的に追及する。
  • 環境経済政策の健全化をはかる:環境保護にプラスとなる経済政策を健全化し、汚染物質排出費改革を軌道に乗せる。エネルギー多消費・高汚染製品および技術に関するリストを作成するとともに、エコ貸付制度および貿易・税収政策を徹底し、環境汚染責任保険の試行を進める。
  • 環境保護能力の向上につとめる:環境保護に関連した科学研究能力に加え、環境モニタリング能力を強化し、中部・西部のモニタリング設備建設に対する支援を中央財政からとりつける。

 住宅・都市農村建設部の仇保興・副部長は、都市と農村の水環境の改善、水質汚染の抑制・処理を促進するため、今後2年間で135億元の補助奨励金を投入する意向を表明した。同副部長によると、都市部では多くの場所で配水管が敷設されていないため、汚水の処理が制約を受けている。このため、「第11次5ヵ年」期(2006~2010年)には汚水整備費用として350億元以上が投入されることになっている。

 また、農村部での水環境の整備も今後の投資の重点として位置付けられており、浙江省や河南省、山東省をはじめ、今後数年をかけて多くの省や自治区の県級の都市に浄水場を設置することが計画されている。全国2万の鎮に汚水処理施設を整備するためには1兆元が必要と推定されている。

 地方レベルでも、環境汚染防止に巨額の資金が投入されることになっている。上海市では、2009年から第4期目となる環境保護対策計画がスタートすることになっているが、3年間で政府主導によるプロジェクト向けに約660億~680億元が投じられる。具体的には、大気や水質の改善、固体廃棄物・ゴミ処理などに充てられる。

 安徽省では、2010年までに湖と河川の汚染対策として110億元を投入する計画になっている。このうち巣湖関係では56件のプロジェクトが予定されている。内訳は、産業廃棄物の排出対策19件、都市下水処理対策12件に加えて、別途70億元が必要になると見積られている流域の生態系改善が25件となっている。中国で5番目に多い淡水を抱える巣湖では2007年夏、アオコが異常発生し、近隣都市の飲用水の供給に影響が及んだだけでなく水性生物にも危害をもたらした。

③ 汚染防止技術

 環境保護部は2008年10月14日、省エネと汚染物質の排出抑制と環境保護産業の発展を目的とした「2008年度国家先進汚染防止技術模範名簿」と「2008年度国家奨励発展的環境保護技術目録」を制定し、各省や自治区、直轄市の関係当局に対して9月26日付けで通知したことを明らかにした。これにともない、2007年度の名簿と目録は廃止された。

 このうち汚染防止技術の中には、生産に入る前の試験が終了した技術から、小規模ながら実際に利用されている技術が含まれている。具体的には、重金属で汚染された土地の土壌固化・安定化処理技術や廃棄電池資源化利用技術などがあげられている。

 また、国が奨励する環境保護技術は全部で103種類がリストアップされている。この中には、100万kW級石炭火力発電所の電気集じん器や廃棄蓄電池の資源化利用技術、ワラを用いた発電技術などが含まれている。

 こうしたなかで、水質汚染の抑制・管理を重大科学技術プロジェクトとして位置付け、国が支援することになった。科学技術部が2009年2月20日に明らかにしたもので、「三河三湖」に加えて、三峡ダム等に焦点を定めて、科学技術面から水質汚染の解決をめざす。

3)資源循環

 資源の大量消費という粗放型の経済開発にともない環境悪化が深刻化している中国は、「第11次5ヵ年」期において環境に優しい資源節約型の循環型経済の推進を掲げた。具体的には、単位GDPあたりのエネルギー消費量を2005年比で20%削減するとともに、単位工業生産あたりの水使用量を30%削減する目標を掲げた。また、固体廃棄物の総合利用率を55.8%から60%に引き上げることを明記した。

 国家発展改革委員会の解振華・副主任は2007年11月26日、地方政府が循環型経済の促進をエネルギー消費の削減や汚染物質抑制目標の達成における重要指針としており、中国の循環型経済モデルはすでに初歩的に形成されたとの見解を表明した。

 同副主任によると、中国の工業固体廃棄物の総合利用率は56%に達し、鉄鋼産業における年間廃鉱利用量は粗鋼生産量の20%、非鉄金属廃棄物の年間回収利用率は年間生産量の約25%に達している。

 一方で同副主任は、科学技術面での支援が不足しており、資源節約と環境保護における重要技術の研究・開発も不十分で、資源の高効率利用および循環利用に関する中核技術を飛躍的に進歩させる必要があるとの見方を示した。また、①体制が十分に整備されていない②一部の資源製品の価格形成メカニズムには資源の希少性が十分に反映されていない③汚染者による費用負担の原則が徹底されていない――などの問題点を指摘した。

 こうしたなかで2008年8月29日、省エネとリサイクルの一層の促進をめざす内容を盛り込んだ「循環経済促進法」が第11期全国人民代表大会常務委員会で承認され、2009年1月から施行された。

 同法では、「循環経済」を生産・流通・消費などの過程における減量化・再利用・資源化活動を指すと定義している。各企業に対しては、節水技術を導入したうえで管理を強化するとともに、新築の建物やプロジェクトでは節水技術を設置することを要求した。

 また、原油の精製プラントや発電所、鉄鋼プラントでは、石油を浪費するボイラー等の使用を中止し、天然ガスをはじめとするクリーンな代替燃料にするよう求めている。企業や政府部局に対しては、新設の建物では太陽や地熱エネルギーなどの再生可能エネルギーを用いた製品を採用するよう指示した。

 このほか、炭鉱廃棄物や石炭灰などをリサイクルして広範に利用することを企業に要求している。農家や地方当局に対しては、トウモロコシの茎や家畜の排泄物などを使ってメタンガスを発生して利用することを推奨するとしている。

 同法では、リサイクル技術の革新を推奨するために、中央政府が企業に対して資金を提供することも規定されている。省エネ技術や機器を導入・採用する企業に対しては税制上の優遇措置が与えられる。一方で、こうした規定に違反した場合の罰則規定も盛り込まれた。

4)自然生態管理

 中国政府は毎年、世界環境デー(6月5日)にあわせて国内の環境の状況を公表している。2006年のテーマは「生態安全・環境配慮型社会」で、6月4日に「中国生態保護」を公表し、中国の生態系保護の状況について初めて明らかにした。

 それによると、中国政府は生態系保護事業を強く重視し、以下のような措置によって環境配慮型社会の構築に向けて努力するとの方針を示した。

① 自然保護区と重要生態機能保護区の整備推進

 全国の各種自然保護区は合計2349ヵ所で総面積は150万km2、国土面積の約15%を占めている。「国家重点生態機能保護区規画(2006~2020年)」を検討中であり、中国重点生態機能保護区の準備と整備を統一的に計画、実施する。

② 資源開発、水資源開発、観光資源開発にあたっての生態系保護の強化

③ 生態モデルの系統的整備事業の展開

 1995年から233の地区・機関が国家クラスの生態モデル区に指定された。また、海南、吉林などの9省で生態整備事業が行われた。

④ 農村生態保護の強化

 「農村小康(いくらかゆとりある)環境行動計画」準備実験区をスタートさせ、「家畜畜産業汚染防止管理弁法」、「家畜畜産業汚染物排出基準」、「家畜畜産業汚染防止技術規範」などを定めた。土壌汚染を規制するため「土壌環境基準」などを制定した。

 また環境保護部が2008年6月4日に公表した「中国環境情報公報」と題する2007年版環境白書では、重点生態機能区の建設を推進するとともに生態環境品質評価対策を展開し、「国家重点生態機能保護区規画綱要」を公布したことを明らかにした。

 同白書は、自然保護区については、着実に進展しているとしたうえで、全国で新たに19ヵ所の国家自然保護区が建設されたとしている。自然保護区の数は2531ヵ所まで増加し、総面積では1億5188万ヘクタールに達した。このうち国家自然保護区は303ヵ所・9366万ヘクタールである。

 中国では生態・環境整備に関連した個々のプロジェクトも着々と進んでいる。中国科学院は2008年1月28日、同研究院傘下の新疆生態地理研究所、新疆農業大学、タリム川流域管理局などが共同で実施する乾燥・砂漠化地域の生態系修復再生研究プロジェクトがスタートしたことを明らかにした。

 同プロジェクトでは、①砂漠化地域の修復または劣化した生態系の回復・再生技術の開発およびモデル地区の建設②砂漠・オアシス境界域の生態多様性構築または生態環境保全技術の開発およびモデル地区の建設③乾燥・砂漠化地域の土壌生態環境の安全と生態系の持続的管理に関する研究――が行われる。

 青海省では、「青海湖流域生態環境保護・総合管理プロジェクト」が2008年5月26日にスタートした。10年内に青海湖の生態環境を最大限回復させるのが目的で約16億元が投じられる。

 同プロジェクトでは、湿原の保護(約85万ヘクタール)、荒廃草地の修復(約28万ヘクタール)、草原における鼠害の予防(約130万ヘクタール)、砂漠化の防止(約4万ヘクタール)、生態保護林の造林(約3万4000ヘクタール)などが実施される。

 このうち湿地保護や荒廃した土地の修復、生物多様性保護に全体資金の93%が投入される。青海湖では近年、水位が低下しており、流域の生態系の後退が顕著になっている。この50年間に水位は3.78mも低下し、湖面面積も362km2減少した。

 また、2008年11月29、30の両日には、「青海湖流域の生態・環境修復技術に関する収集・実験モデルプロジェクト」が正式にスタートした。同プロジェクトは、「第11次5ヵ年」期における国家科学技術重点プロジェクトの1つであり、中国科学院・地球環境研究所、同北西高原生物研究所、北京師範大学などが参加する。

 このほか、2008年9月2日には広東省恵州市の「西湖クリーン・プロジェクト」が正式にスタートしている。総延長3kmのパイプによって平湖、豊湖、東江など9ヵ所の取水地点から西湖まで毎日5万トンのクリーンな水を1ヵ月程度導水することによって、西湖の水質や生態環境が大幅に改善することが期待されている。

 恵州市は西湖プロジェクトを重点プロジェクトとして位置付け、2007年から1億5000万元を投じて恵州西湖風景区の整備事業を開始した。このうち、1200万元が西湖クリーン・プロジェクトに投入された。西湖の景観をとりもどすために、今後5年間で4~5億元が投じられることになっている。

表4.19 中国の自然保護区(2007年)

省・自治区・
直轄市

保護区の数(ヵ所)

面積(km2)

国家級

省級

市級

県級

合計

国家級

省級

市級

県級

合計

北京

2

12

6

0

20

264

714

361

0

1339

天津

3

5

0

0

8

101

618

0

0

719

河北

11

18

2

3

34

2165

3302

88

103

5658

山西

5

41

0

0

46

829

10566

0

0

11395

内モングル

23

52

33

84

192

38437

71626

4363

21280

135706

遼寧

12

27

35

22

96

9364

8260

7941

1022

26587

吉林

11

14

3

6

34

7837

14310

205

230

22582

黒龍江

20

59

35

72

186

20583

26019

4194

8537

59333

上海

2

2

0

0

4

662

276

0

0

938

江蘇

3

10

10

8

31

3362

854

1679

219

6114

浙江

9

10

0

34

53

967

1278

0

375

2620

安徽

6

27

6

64

103

1642

2818

56

807

5323

福建

12

25

9

46

92

2058

1385

751

928

5122

江西

8

22

2

106

138

1402

2880

36

5546

9864

山東

7

23

24

21

75

2567

4546

2528

1331

10972

河南

11

21

1

2

35

4430

3242

1

14

7687

湖北

9

15

21

18

63

2176

3197

3122

1438

9933

湖南

14

28

0

53

95

5519

4024

0

2564

12107

広東

11

52

119

165

347

2364

5493

3752

23096

34705

広西

15

44

3

11

73

2862

8460

1189

1479

13990

海南

9

24

22

13

68

1020

2617

523

401

4561

重慶

3

20

0

27

50

1955

3735

0

3285

8975

四川

22

62

31

48

163

21004

34618

14531

20479

90632

貴州

8

4

22

95

129

2435

584

2198

4345

9562

雲南

16

52

71

59

198

14317

18885

5573

3498

42273

チベット

9

6

3

22

40

371531

38161

48

15

409755

陜西

9

34

4

3

50

3200

6298

615

346

10459

甘粛

13

40

0

4

57

68612

29006

0

1149

98767

青海

5

6

0

0

11

202525

15697

0

0

218222

寧夏

6

7

0

0

13

4392

676

0

0

5068

新疆

9

18

0

0

27

136061

78308

0

0

214369

合計

303

780

462

986

2531

936643

402453

53754

102487

1495337

出典:「2007年全国環境統計公開報告」(環境保護部、2008年9月)
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「中国賃金事情」

和中清の日中論壇

2014/2/3更新
「失望」に潜む米国のメッセージと日本の「積み木崩し」

田中修の中国経済分析

2014/2/7 新コーナー開設
「中央経済工作会議のポイント」

服部健治の追跡!中国動向

2014/2/27 新コーナー開設 「安倍総理の靖国神社参拝に想う(上)」

川島真の歴史と現在

気鋭の研究者が日中関係を歴史から説き起こす。幅広い視点から新しい時代の関係を探る。

科学技術トピック

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2014/3/5更新
「赤外線カメラと簡牘資料の日中共同研究」
工藤 元男

取材リポート

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日中関連、科学技術関連のシンポジウム・講演等を取材し、新鮮なリポートをお伝えします。

中国の法律事情

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2014/3/7更新
「百度(バイドウ)の著作権侵害をめぐる攻防の結末」朱根全

日中交流の過去・現在・未来

日中交流のこれまでの歩みとこれから

日中の教育最前線

日中の教育現場の今をレポート

中国国家重点大学一覧

 

中国関連書籍紹介

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2014/3/12 書評追加掲載

文化の交差点

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2014/3/18更新
「日本における中国古代絵画」朱新林

中国実感

日本人が実感した中国をレポート

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中国が日本に滞在して感じたことをレポート

CRCC研究会

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