中国科学院地質・地球物理研究所の研究チームはこのほど、定量的地球力学モデルを用いて、青蔵高原(チベット高原)の持続的な成長の主な原動力が、南から北に吹く「マントル風」であることを明らかにした。この「マントル風」は北に向かってインドプレートとユーラシアプレートの南縁部を持続的に衝突させており、その結果、青蔵高原では数千万年にわたり押し出しと隆起が続いている。新華社が伝えた。
研究プロジェクトの責任者である同研究所の劉麗軍研究員は「インドプレートをこれほど長期的に北上させ、青蔵高原の分厚い地殻が形成する強い反発力を克服する力はいったい何であるのか。学術界ではこのことに関する研究が続けられてきた。従来のプレートテクトニクス理論では、沈み込むプレートの引っ張る力や大洋中央海嶺の推力も、この数千万年続く激しい構造変化の現象を説明できなかった。というのも、これまでの科学研究によって、インドプレートとユーラシアプレートの衝突システムには、海洋プレートの引っ張る力が存在しないことが確認されているからだ」と述べた。
劉氏は、研究チームがこの謎を解くために、定量的地球力学モデルを用いて研究を行ったと紹介。「この方法は地球規模のマントル力学をシミュレーションできる。研究チームはシミュレーション結果を分析した際に、地球深部に強い横方向の物質流動『マントル風』が存在するという重要な発見をした。その流速は上にあるインドプレートの速度を上回り、インドプレート底部に北向きの引っ張る力を生み出している。この力は非常に大きく、これまでプレートテクトニクスの主な推進力と考えられてきた海洋プレートの引っ張る力に匹敵しており、青蔵高原の隆起に必要な力としては十分だ」と説明した。
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