ディープシーク(DeepSeek)に続き、中国発のAI製品「マヌス(Manus)」が新たに注目を集めている。中国新聞網が伝えた。
マヌスは汎用型AIエージェントとして位置付けられる。開発チームが公開した情報によると、マヌスは概念と実行のギャップを埋めることを目指しており、「他のAIがアイデアの生成にとどまるのに対し、マヌスは成果を提供する」という特徴を持つという。開発チームが公開したデモ動画では、マヌスが履歴書のスクリーニングや不動産調査、株式分析などのタスクを遂行する様子が示されている。
現在、マヌスは非公開テストの段階にあるにもかかわらず、その強力な機能がインターネット上で大きな議論を巻き起こしている。
「マヌスとディープシークは別物だ」。華中科技大学コンピュータ科学・技術学院の魏巍教授はこう述べた上で、「ディープシークは推論型言語モデルであり、情報の生成と処理をコア機能とし、『何をすべきか』という問いに答えることを得意としている。これに対し、マヌスは汎用型AIエージェントであり、大規模言語モデル(LLM)や複数の異なるツールを活用してタスクを遂行し、『具体的にどのように実行するか』を重視している。マヌスの核心は、タスクの割り当てと協調にある」と指摘した。
魏氏は「AIエージェントを用いてさまざまなタスクを遂行することはマヌスが初めてではない」と述べつつ、「マヌスの革新性は、マルチエージェントによる協調を製品化し、現在最も先進的なAI技術をスムーズなユーザーエクスペリエンスに統合することにより、簡単な操作で高度なタスクが実行できるようになり、エージェント技術を次の段階へと大きく前進させた点にある」と評価した。
さらに「デモ動画を見る限り、マヌスは確かにスマートであるように見えるが、現時点ではまだ内部テストの段階であり、技術専門家による総合的な評価や広範なユーザーのフィードバックが不足しているため、その実際の効果は今後の検証を待つ必要がある」と語った。
中国工業・情報化部(省)情報通信経済専門委員会の委員である盤和林氏は「AI分野で話題になる技術は多いが、実際に問題を解決できるAIは少ない」とした上で、「マヌスは基礎アルゴリズムのイノベーションこそないものの、工学的な応用のイノベーションによって複数の大規模言語モデルを統合し、総合的なエクスペリエンスを達成したことも重要な成果だ」との見解を述べた。
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