中国広東省にある広州医科大学番禺キャンパスでこのほど、第1回緑鑰体積プリンティング技術応用フォーラムが開かれ、同大学と関連機関が中国初の商用化体積バイオプリンティング装置「OrganSEC」を発表した。同装置は従来の積層印刷に存在した速度が遅く、細胞の生存率が低いという問題を解決し、技術指標で世界最高水準に達した。科技日報が伝えた。
研究開発チームの責任者で、同大学生物医学工程学院教授の謝茂彬氏は、「体積バイオプリンティング技術はCTイメージング原理に基づいて開発されたボリュームスライスと光強度補正アルゴリズムによる技術だ。この技術は、3次元オブジェクトの縦方向の2次元スライスを、特定のアルゴリズムを用いて回転するプリントボトルに投影し、ボトル内の光硬化バイオインクと細胞が全方向から同時に3次元オブジェクトを形成できるようにするものだ。そのプリント方式は立体成形である。OrganSECはホログラフィックイメージング投影技術とCTイメージングの原理に基づく逆投影アルゴリズムを採用した。装置はセンチメートルサイズの3次元(アクティブ)構造を10~120秒でプリントでき、印刷効率と細胞の生存率を大きく高めている」と説明した。
同装置の印刷後の細胞生存率は95%以上で、高い細胞活性を示す。これを利用することで、可視光や室温下での細胞の印刷が可能になる。
OrganSECは主にオルガノイド市場向けに開発されたもので、オルガノイドの生成、オルガノイドベースの個別化投薬治療やオルガノイドベースの薬品スクリーニングなどに適しており、がん患者に個別化した服薬指導を提供する。
謝氏は「患者ががんの転移・再発を起こした場合、医師はより正確な投薬プランを見つけるため、患者のがんサンプルに対して臓器サンプルの培養と薬品スクリーニングを行う。以前はこのようなサンプルの培養には少なくとも2~3週間かかっていたが、このOrganSECを使えば10秒で完了する。我々は現在、オルガノイド腫瘍に基づく個別化投薬のスクリーニングガイドラインを作成しているところで、ガイドラインは主に医師の服薬指導に用いられる」と語った。
謝氏のチームはフォーラムで、中国で初めて独自開発された体積プリンティング装置制御ソフトウェア「Haomiao」と、6種類の商用化バイオプリンティングインクを発表した。Haomiaoは制御・計算・パラメータ調整などの機能を高度に統合し、豊富なプリントモデルライブラリ、リアルタイムオンラインスライス、マルチ文書印刷という3つの特徴的な機能を持つ。
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