2024年01月29日-01月31日
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中国の研究者が開発した米加工システム、胚芽保有率95%を達成

2024年01月30日

 中国黒竜江省科学技術庁によると、ハルビン工程北米科技有限公司が担当する「活性胚芽米スマート加工技術産業化」プロジェクトが同庁の検収に合格した。同プロジェクトでは米の胚芽保有率が95%となった。科技日報が伝えた。

 胚芽米は胚芽部分を残した精米を指す。胚芽は米1粒の質量の2~3%しか占めないが、66%以上の栄養物質を含むと言われ、米の胚芽は「金の栄養」と称えられている。

 日本では1920~30年代より胚芽米の食用が始まったとされ、その胚芽保有技術により胚芽保有率が80%に達していた。胚芽は非常に細かいため、一般的な生産技術では識別と剥離が難しく、中国では胚芽米が市場に大量流通することは稀だった。

 ハルビン工程大学の李氷教授は、2014年に稲育種装置自動化改造プロジェクトを実施した際に胚芽米のことを知った。李氏によると、当時は日本にしかその加工設備がなかったので、自らの手で胚芽精米機を作ることにした。

 李氏のチームはその後、人工知能(AI)やビックデータ、視覚識別、インダストリアルインターネット技術を稲の加工に応用。10年かけて活性胚芽米スマート加工システムを開発し、粗繊維剥離技術や胚芽識別技術、加工技術のマッチングなどの技術的難題を解決した。

 李氏は「従来の稲加工では圧力をかけて米粒の相互作用により剥皮・精白が行われる。だが、活性胚芽米スマート加工システムにより稲の損失を3~5%減らすことができ、この技術が普及すれば、中国国内の稲の加工段階での損失を毎年295万トン削減できる。これは600万人の1年分の食糧に相当する」と述べた。

 
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中国科学技術ニュース 2024年01月

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