2024年10月21日-10月25日
トップ  > 科学技術ニュース >  2024年10月21日-10月25日 >  小型衛星生産ライン、量産化に対応

小型衛星生産ライン、量産化に対応

2024年10月23日

 中国湖北省の武漢国家航空産業拠点にある衛星産業パークでは、航天科工二院宇宙事業総体部が建設・運営する中国初の小型衛星スマート生産ラインが稼働していた。新華社が伝えた。

 自動でつかみ取り、視覚測位と力学感知を行い、わずか数秒で部品を指定した位置に置く。その後は出庫、組み立て、製品完成、テストといった工程を経て、1万個にのぼる衛星部品が指示に基づき自動で入庫し、配送されている。

 現場ではパソコンやコントロールパネルの前にいた数人のエンジニアが指示を出していた。部品倉庫からは自動で部品が出庫され、無人搬送車により対応するスマート生産エリアに運ばれ、衛星が完成するまでの一連の作業や、ペイロードなどのテストが順次行われる。合格した製品はオフラインして、その後の任務を待つ。

 中国では通信・リモートセンシングなどの衛星コンステレーションが急速に発展し、低軌道衛星コンステレーションの構築などの生産能力の需要が大幅に高まっており、従来の製造モデルでは需要を満たせなくなっている。世界の宇宙分野の競争激化を背景に、高速量産能力を高め、スマート衛星生産チェーンを構築することが極めて重要だ。

 人と機械が協働するスマート生産ラインの構築は、衛星製造に存在していた「組み立ての重量が大きく、難易度が高く、品質が安定しない」といった問題を解決することになる。航天科工二院宇宙事業総体部スマート製造事業部調整員の易明氏は「ロボットアームが精密工程パラメータの設定した標準化作業フローに基づいて作業することにより、手作業による誤差の可能性をある程度排除した」と述べた。

 人と機械の協働による製造は、製造の質だけでなく、衛星の製造効率も大幅に高めている。この小型衛星スマート生産ラインは複数回のイテレーションと最適化を経て、さまざまな型式の衛星を同じラインで柔軟に生産できるようになった。易氏は「スマート生産ラインは衛星の量産化に迅速に対応できる。自動化率は50%以上に達し、生産性が40%以上向上し、1基当たりの時間が80%以上短縮され、スマート製造が実現した」と紹介した。

 同生産ラインは2018年にスタートし、21年5月に1基目のラインオフを実現。23年には衛星の量産化が進み、現在は年間200基余りの小型衛星を量産する能力を持つという。

 
※掲載された記事、写真の無断転載を禁じます
 

上へ戻る