2024年10月07日-10月11日
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南京大学の研究者ら、塩湖リチウム抽出技術を開発

2024年10月10日

 南京大学の朱嘉教授や中国科学院の陳駿院士(アカデミー会員)らは、塩生植物の蒸散プロセスを模倣することで、塩湖の塩水から効率的かつ環境に優しい方法で高純度リチウム塩を抽出することに成功した。中国の高原塩湖リチウム産業の発展を後押しする可能性がある。関連成果は国際的学術誌「サイエンス」に掲載された。新華社が伝えた。

 論文の筆頭著者である南京大学特任副研究員の宋琰氏は「リチウムは電気自動車(EV)バッテリーなどのエネルギー貯蔵材料における重要鉱物であり、主に塩湖の塩水と固体鉱石という2種の形態で存在している。中国の高原地域には多くの塩湖が分布しており、リチウム資源が豊富だが、湖水の『マグネシウム・リチウム比』という重要指標が高く、マグネシウムとリチウムの分離が難しいため、生産されるリチウム塩は高コストの割に低品質だ。高原地域は生態系が脆弱で、関連産業に対する環境保護の要求が厳しい」と述べた。

 同大学の研究チームは、塩生植物が塩アルカリ環境で蒸散作用を通じて塩分と水分を選択的に吸収することから着想を得た。蒸散作用の原理を模倣することで、チームは「界面光熱」塩湖リチウム抽出装置の開発に成功した。

 この装置は3層に分かれており、太陽光を浴びると、蒸散装置のナノルート内で超高圧が発生し、高圧がイオン分離層に伝わると、塩水中のリチウムイオンを選択し、それを貯蔵層に「追い払い」、最後に水循環システムにより貯蔵層のリチウム塩が収集される。

 宋氏は「この装置は、実験室でシミュレーションした昼夜交代および塩湖の塩水環境において、528時間連続で稼働した。その水の『マグネシウム・リチウム比』は当初の422から2.5まで低下し、リチウムの純度が160倍以上になった。これにより装置の実行可能性と高効率が検証された」と説明。「モジュールの組立により、この装置の面積を持続的に拡大し、リチウム塩の生産量を増やすことが可能だ。より重要なことは、この装置が太陽光だけで稼働でき、電力や化学薬剤を追加する必要がないことで、特に日照資源が豊富だが生態環境が脆弱な高原地域での使用に適している。エネルギー消費が少なく、環境にもやさしい」と強調した。

南京大学の研究チームが開発した「界面光熱塩湖リチウム抽出装置」。

南京大学
 
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