2024年05月20日-05月24日
トップ  > 科学技術ニュース >  2024年05月20日-05月24日 >  中国の研究チーム、昆虫ロボットの超小型動力技術で新たな進展

中国の研究チーム、昆虫ロボットの超小型動力技術で新たな進展

2024年05月23日

 被災後の救助や大型機械設備の点検などの場面で、昆虫ロボットは大きな可能性を秘めている。そのため、業界ではそれに適した高効率動力システムの開発を模索し続けている。北京航空航天大学の研究チームは超小型動力技術の新たなブレイクスルーを果たすとともに、これに基づき昆虫ロボットを研究開発し、昆虫サイズ(2センチ)ロボットの歩行をワイヤレス制御することを可能にした。関連成果はこのほど、国際的学術誌「ネイチャー・コミュニケーションズ」に掲載された。新華社が伝えた。

 小石の間に置かれたこの四足歩行昆虫ロボットは俊敏で、カブトムシのように自在に行き来する。論文の共同責任著者で、同大学エネルギー・動力工程学院教授の閻暁軍氏は「この昆虫ロボットは体長2センチ、横1センチ、重さは1.76グラムで、垂直投影面積は爪2枚分だ。スピーディに動き、積載量が高く、ワイヤレスで制御できるという特徴を持つ」と説明した。

 サイズは小さいが機能は揃っている。動力システムはロボットの「心臓」で、一般的なロボットは通常モーターで動き、エネルギー供給に対する要求が高いのに対し、超小型ロボットの内部空間は大容量バッテリーを搭載できず、外付けの電線により持続的に給電する必要があり、自由な移動が制限されてしまう。同大学科学研究チームは長年の研究を経て、直線式駆動とフレキシブルヒンジトランスミッション伝動に基づく新型動力システムを開発し、超小型ロボットをモーターと外付けの電線から解放した。

 チームメンバーの劉志偉氏は「われわれは昆虫ロボット内にエネルギー、制御、通信、センサーシステムを埋め込んだ。直線式駆動装置は『体内』の小型電池の電気エネルギーを機械エネルギーに変換し、機械の振動を出力する。フレキシブルヒンジ伝動機構は機械の振動を昆虫ロボットの足の周期的な振動に変換することで、ロボット全体の高頻度ジャンプ運動を駆動する。分かりやすく言えば、『体内』の超小型電池が電気により磁気を生み、隣の磁石を振動させ、さらに足の関節を動かすということだ」と述べた。

 チームメンバーの詹文成氏は「研究チームは、昆虫ロボットの歩行ピッチと歩幅の自動適応調節により、積載量が高い状況下でスピーディに歩行できるようにした。昆虫ロボットの両足の振動頻度の違いによる制御方法に基づき、移動軌跡の正確な制御実現を打ち出した」と説明した。

 閻氏は「この超小型動力技術の開発成功は、超小型ロボットの大規模な開発と応用を推進し、被災後の捜索救助、大型機械設備、インフラ点検などをサポートできるようになる」と述べた。

北京航空航天大学
 
※掲載された記事、写真の無断転載を禁じます

中国科学技術ニュース 2024年05月

サイエンスポータルチャイナ事務局が、中国の科学技術に関するニュース記事を人民網と共同通信の記事より選んで、日々届くフレッシュなニュースとしてお届けしています。

下記よりご覧ください。

共同通信提供月別バックナンバーリスト

 

人気記事


 
 
APRC運営ウェブサイト


中国関連ニュース 関連リンク