中国初のマグロ漁業予測システムが公開

2024年05月08日

　中水集団と上海海洋大学が共同開発したマグロ漁業予測システム「海鷹AI（人工知能）システム」が、このほど公開された。科技日報が伝えた。

　中国のマグロ漁業は始まったのが遅く、漁業先進国と比べると、関連資源の認識能力や開発能力が弱く、漁獲の効率が低い。中水集団はこの現状を変えるべく上海海洋大学と協力し、AIやビッグデータのほか、70年に及ぶマグロ漁業データと世界海洋環境データを活用し、海鷹AIシステムの開発に成功した。

　上海海洋大学海洋生物資源・管理学院の陳新軍院長は「海鷹AIシステムは気圧や風、波浪、海水温、塩分濃度、海面高度、クロロフィル、浮遊生物、一次生産性など20種以上の海洋生態環境要素情報を提供する。同システムはマグロの生物学や生態学、水産学などの特徴・知識を結びつけ、ビッグデータマイニング・ディープラーニング技術を採用することで、中心漁場や中長期資源量の予測を実現し、マグロ漁の科学的な生産・管理の推進に役立つ」と説明した。

　陳氏はまた「海鷹AIシステムは操業漁船の位置モニタリング、越境早期警報、船の位置や航路に基づく国境通過メール送信報告などにより、不要な紛争を回避することもできる。同システムは『1枚の画像』の形で毎日、操業海域の環境情報、船の位置情報、漁業予測情報を発表し、現場の生産や企業の管理に貢献する」と述べた。

　海鷹AIシステムはすでに、中水集団のすべてのマグロ漁船で応用されている。同社の梁勇副総経理は「23年に大西洋の船隊でシステムのテストを行った。マグロ漁の効果から見ると、1隻当たりの漁獲量が13.8％増加した。海鷹AIシステムを操業に応用することで漁獲効率が大幅に上がる」と述べた。