中国山東省莱陽市で2019年に見つかった恐竜の卵の化石を詳しく研究した結果、新種であることが確認され、古生物学者によって「変形卵」と命名された。研究成果はこのほど、学術誌「Cretaceous Research」に掲載された。新華社が伝えた。
19年に莱陽市で行われた国際的な共同野外調査で、中国地質大学(北京)生物地質・環境地質国家重点実験室の研究者らが、恐竜の卵の化石を発見した。発掘作業中、研究チームは恐竜の卵が変形していることに注目したが、この現象は恐竜の卵の化石としてはとても珍しいものだった。
その後、同大学と中国科学院古脊椎動物・古人類学研究所、安徽大学の研究者により、この化石が全く新しい卵であることが確認された。研究者らは、この「変形卵」がハドロサウルスの卵で、白亜紀後期のものと推測している。
研究者によると、新種の卵が発見されたことで、スフェロウーリトゥス卵科に新たな化石資料が加わり、同科の東アジアにおける古代の地理的分布が広がった。中国地質大学(北京)生物地質・環境地質国家重点実験室の鄭行海研究員は「恐竜の卵の研究は、新種の卵の発見をもたらすだけでなく、環境の圧力下における古生物の適応メカニズムを理解するのに役立つ可能性がある」と指摘した。
中国内外の科学者は、莱陽の化石出土地のうち数十カ所を調査し、これまでに5分類9属12種の恐竜化石、5科6属13種の恐竜の卵の化石、72属300種以上の昆虫化石を発掘・採集している。今回の新種の卵の発見は、白亜紀の種の進化に関する研究にとって、より具体的な根拠を提供するものとなる。