中国で16回目の「全国防災減災の日」となった12日、浙江省寧波市で「全国防災減災の日・第1回防震減災科学知識普及イベント」が開かれた。イベントでは世界最大規模のリアルタイム地震観測網となる中国国家震度速報・警報プロジェクトが完成したことが明らかになった。科技日報が伝えた。
中国地震局・工程力学研究所の研究員で、国家地震震度速報・警報プロジェクトチーフエンジニアの馬強氏は「地震発生後、破壊的な地震波が到達する数秒から数十秒前に緊急地震警報が発表されると、避難したり、緊急措置を講じる時間ができる」と紹介した。
システムが警報を出してから地震が到達するまでの時間を利用して、避難などの必要な措置を講じることで、死傷者を減らすことができる。また、高速列車の緊急停止やガスパイプラインの供給停止、原子炉の運転停止など、重要インフラやライフライン事業、生活設備などで緊急措置を講じて、二次災害の発生を避けることができる。
馬氏は「国家震度速報・警報プロジェクトは2023年末に完成し、すでに運用が始まっている。同プロジェクトにより、中国の重点地域では地震発生から秒レベルで緊急地震警報を発表できるようになり、中国全土では地震発生から分レベルで震度速報を発表できるようになった。プロジェクトが完成したことで、テレビやラジオ、インターネット、ニューメディア、情報受信端末などを発表の場として、各級政府や小中高校、業界・企業などに、緊急地震警報や地震パラメーター速報、震度速報、地震動パラメーター速報などの情報を提供することができるようになった」と語った。
ただし、馬氏によると、緊急地震警報にも限界があり、技術的には「死角」も存在する。被害が深刻な地域ほど、警報受信から揺れが到達するまでの時間が短くなるという。