北京航空航天大学「月宮1号」実験室で18日、宇宙を2週間旅した心言豹林山耳有機黒キクラゲ菌株が山西心言生物科技有限公司(心言公司)の雷星星会長に引き渡された。この菌株は山西省呂梁市中陽県の心言公司食用キノコ研究栽培拠点に送られ、選定・育成研究が行われる。科技日報が伝えた。
北京航空航天大学は2015年より中陽県の貧困者支援を行っている。同大学は心言公司の黒キクラゲ産業拠点をリサーチし、同社に黒キクラゲ宇宙育種の需要があることを知った。
黒キクラゲは重要な経済的価値を持つ食用キノコだ。北京航空航天大学から中陽県下棗林郷陽坡村に派遣された伊志豪第一書記は「黒キクラゲは自然環境でゆっくりと進化するが、宇宙育種を通じて性状がより優れた黒キクラゲ菌株を得ることができ、黒キクラゲの新品種育成と産業高度化を促進する」と説明した。
北京科思騰達科技有限公司の李飛副総経理は「伊氏は今年7月、実践19号衛星に中陽県の心言豹林山耳有機黒キクラゲ菌株を搭載し、宇宙で変異誘発・育種実験を行うと提案した。双方は研究と議論を重ねることで、最終的に実験案をまとめた」と振り返った。
日常的によく目にする花弁状の黒キクラゲを直接宇宙に送ることはできない。伊氏は取材に「まず黒キクラゲ菌株を宇宙に搭載できるフリーズドライパウダーに変える。菌株は普通の状態での生存期間が短い。冷凍乾燥機など一連の設備の処理により、その生存期間が大幅に延びる。こうした予備作業は、いずれも当大学の月宮1号実験室のチームの教員・学生たちによって行われた」と述べた。
黒キクラゲ産業は現在、中陽県が貧困脱却の成果を強化・拡大し、農村の全面振興を実現するための重要な産業となっている。中陽県黒キクラゲ産業の中心企業である心言公司は、年間収穫量が1億菌床ブロックの研究開発生産複合体と1000軒の標準化黒キクラゲ栽培ハウスを完成させた。
同社の営業担当者である高建偉氏は、「当社が黒キクラゲ菌種の宇宙育種を行うのは初めてで、今後の選定・育成結果にも期待している。当社は引き続き母菌株の育成と繁殖を行い、早ければ来年5月中旬にも宇宙キクラゲを収穫する見込みだ」と述べた。
(画像提供:人民網)
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