2024年12月16日-12月20日
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米「サイエンス」誌、今年の10大科学業績を発表

2024年12月19日

 米科学誌「サイエンス」は12日、2024年の10大科学業績「ブレークスルー・オブ・ザ・イヤー」を発表した。抗HIV(ヒト免疫不全ウイルス)注射薬が「優れた感染予防能力」によりそのトップに選ばれた。また、中国の科学者が発見した最古の多細胞真核生物の化石も選ばれた。新華社が伝えた。

「サイエンス」によると、この抗HIV新薬の名称は「レナカパビル」。米ギリアド・サイエンシズ社が開発したカプシド阻害薬で、1回の注射で人体を6カ月保護することができる。この薬はHIVウイルスのカプシドタンパク質を標的とすることで効果を発揮し、HIVウイルスのカプシドタンパク質の細胞核への侵入を干渉し、ウイルスの複製を阻止でき、ウイルスの組み立てや成熟プロセスを干渉する。今年6月にアフリカの若い女性などを対象に行われた大型薬品有効性試験の結果では、HIVウイルス感染予防の有効率が100%に達し、早ければ2025年半ばに監督管理当局より市販が承認される見通しだ。

 10大科学業績には、中国の科学者による古代生物化石研究も選ばれた。この種の化石は、多細胞真核生物がこれまで考えられていたよりもはるかに早く出現したことを物語っている。中国科学院の説明によると、今年1月、中国科学院南京地質古生物研究所の研究者が燕山地区で、今から約16億4000万年前の地層から最古の多細胞真核生物である「Qingshania magnifica(壮麗青山藻)」の化石を発見した。化石は鮮明な細胞構造を留めているだけでなく、一部の化石には胞子に似た構造も含まれている。この発見により多細胞真核生物の出現時期が約7000万年早くなった。

 他の業績では、自己免疫疾患と戦うための新型免疫療法CAR-T、宇宙の夜明けを探るジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡、RNA干渉技術に基づく遺伝子を標的とする殺虫剤の発売、第3の永久磁石材料の発見、米次世代大型キャリアロケット「スターシップ」の「箸でキャッチ」する回収などが選ばれた。

南京地質古生物研究所(中国科学院傘下の研究所)
 
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