吉林大学によると、月探査機「嫦娥5号」が採取した月の土壌(No. CE5Z0806YJYX004)を観察・分析したところ、自然に形成された少層のグラフェンを発見した。今回の発見は、月の地質活動や変化の歴史と、月の環境的特徴を認識する上で、新たな見解を提供する。中国新聞網が伝えた。
推算によると、星間炭素総量の約1.9%がグラフェンの形で存在しており、その形態と性質は形成プロセスによって決まる。そのため天然のグラフェンは星の地質変化や月の現地資源利用において、重要な参考材料を提供する。
研究チームは、月の土壌サンプルの炭素含有量が多い部分のラマンスペクトルを集め、黒鉛質炭素の結晶の質量が大きいことを確認した。研究者によると、月の土壌サンプルに存在する炭素の部分には鉄化合物が含まれるが、これはグラフェンの形成と密接に関わっているという。
研究チームは走査電子顕微鏡イメージングや透過電子顕微鏡イメージングなどの各種特性評価手法を総合的に活用し、試験結果の対比と分析により、月の土壌サンプルから検出された黒鉛質炭素が少層グラフェンであることを証明した。
研究チームは今回の結果を受け、少層グラフェンと黒鉛質炭素の形成は、太陽風と月早期の火山噴火が誘導した鉱物触媒プロセスによる可能性があると指摘した。
2021年7月21日、上海天文館で行われた月の土壌の披露式典で、来館者が至近距離で見ることができるように水晶球の中に収められた月の土壌サンプル。(資料写真)
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