気温の急激な低下に伴い、中国の各大手ECプラットフォームでは、保温に関するキーワードが目立つようになった。遠赤外線やグラフェン、陽イオン、自己発熱、エアロゲル、ゲル紡糸、さらにはヒアルロン酸といった概念もあるが、こうした概念は「保温」と関連しているのだろうか。中国新聞社が伝えた。
天津工業大学紡績科学・工程学院シニアエンジニアで、博士課程指導教員の夏兆鵬氏によると、衣類の着用による保温研究には次の2つの方向性がある。
(1)保温。一般的な方法は、空気層繊維や中空繊維など新しい保温材料の開発である。細孔構造を形成することで、伝導と対流によって体熱の環境への放出を減少または防止し、保温性能を高めることだ。またナノテクノロジーも広く使用されている。例えばナノシルバーやナノ酸化アルミニウムなどは高い保温効果を持つ。
(2)発熱。具体的な方法には化学発熱(カイロ)や電気加熱などがあり、これらは近年さらに増加している。これらは通常、蓄電システムや導線、加熱エレメントなどから作られる。例えば炭素繊維、複合糸、カーボンナノチューブフィルムなどの導電材料で作られた発熱繊維を繊維品に織り込み、電熱方式によって熱を発生させる。
夏氏によると、分類的には、保温・断熱技術と熱供給増加技術の2つが、衣料品の保温に使用できる。保温・断熱技術では、ナノテクノロジーは繊維のミクロ構造と性能を変えられる。例えばナノテクノロジーを使ってダウンジャケットを処理することで、ふんわりした柔らかさをより長い時間保ち、内部の空気量を増やして保温効果を高めることができる。さらに動物の羽毛や毛皮などから得たバイオミメティックス技術もあり、優れた保温効果を持つバイオミメティックス保温材料を作り出す。これらの技術は各種保温衣料品に広く用いられており、保温効果が高く、着心地も良い。
熱供給増加技術では、カーボンナノチューブやグラフェンなどの材料による発熱繊維品が次々と生活で応用されており、極寒の気候やアウトドアに特に適している。
高い保湿性と潤滑性を持つヒアルロン酸を衣料品に使うことで、その繊維の柔軟度と快適性を高めることができるが、衣料品の保温効果が向上するかどうかについてはまだ疑問が残る。蘇州薇琳美容医院集団技術院の陳凱院長は「保温のために衣料品にヒアルロン酸を入れることの効果は疑わしい。臨床では現在、注射やマイクロニードルなど「肌から注入する」手段でヒアルロン酸を真皮層に取り込むことで、保湿と美容の効果を発揮する可能性がある」と述べた。
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