中国科学院国家天文台などの研究者が、国家重要科学技術インフラである大型レーザー装置「神光2号」を利用し、大規模な運動乱流プラズマにおける電子のランダム加速を実現し、複雑な天体環境における高エネルギー電子生成の謎を解明した。関連研究成果は学術誌「ネイチャー・コミュニケーションズ」にオンライン掲載された。科技日報が伝えた。
天体における高エネルギー粒子の起源問題は、「サイエンス」誌が発表した125の科学的問題の一つであり、未解決の謎だった。天体物理学者はさまざまな天体環境における高エネルギー粒子の生成メカニズムを説明するため、磁気リコネクション加速や衝撃波加速、ランダム加速など複数のメカニズムを打ち出してきた。
実験室内での天体物理学研究は最近、粒子加速の面で重要な進展を遂げており、乱流による磁気リコネクションの加速と衝撃波加速を実現した。論文筆頭著者で中国科学院国家天文台の袁大偉博士は「しかし、ランダム加速のメカニズムはまだ証明されていない。主な難点として、実験室内で天体に似た大規模な運動乱流プラズマを生成することがある」と説明した。
研究者は今回「神光2号」を用い、実験室内で超音速対流プラズマを生成し、ビーム速度の異方性を利用して電磁ウェーバの不安定性の発生と発達を誘導し、大規模なプラズマ乱流構造の形成を誘発した。その後、さらなる分析により、同乱流構造のパワースペクトルが運動乱流スペクトルと非常に一致することを発見した。実験ではさまざまな角度からの高エネルギー電子べき法則スペクトルも同時に測定された。
論文の共同責任著者で中国科学院国家天文台の趙剛院士(アカデミー会員)は「理論的シミュレーションにより、これらの高エネルギー電子が乱流などのプラズマの熱電子と磁気アイランドの複数回の衝突、すなわち乱流のランダム加速から生まれたことを発見した。これは天体の複雑な環境における粒子加速や高エネルギー放射を理解する上で非常に重要になる」と述べた。
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