中国北京市ではさまざまな機能の人型ロボットが加速度的に「進化」を遂げており、より多くの生産・生活シーンに導入されている。人民網が伝えた。
「お腹が空いた」「リンゴとバナナがありますが、どちらにしますか」。北京市海淀区中関村にある北京銀河通用機器人有限公司に足を踏み入れると、エンジニアがダブルアーム車輪ロボット「Galbot」の機能テストを行っており、ロボット展示会での披露に向けた準備をしていた。
昨年以降、人工知能(AI)とロボットという2つの先端技術を融合させたエンボディドAI産業が世界的に注目されており、多くのスタートアップ企業が続々と参入している。北大-銀河通用エンボディドAI共同実験室の王鶴主任は、2023年5月に中関村での企業設立を決め、エンボディドAIの商業化の模索を開始した。
王氏は「エンボディドAIは物理的な体と知的エージェントを持ち、現実世界で物理的タスクを遂行することを指す。一方で、ロボットがタスクをきちんと実行できるかどうかは、高品質のデータを取得し『ブレーン』のトレーニングを行うことがカギになる」と説明した。
王氏によると、高品質のデータを供給すると、テスト中のGalbotの両手と目や脳の連携能力が上がったという。このロボットは、スーパーやドラッグストアなどで、薬や商品の取り出しと補充ができるようになっている。
王氏はまた、「ロボットはデータトレーニングで習得した動きを別のシーンでも使用でき、特に製造業や特殊作業のようなハイリスクで重複的な作業、大変で疲れる作業ができるようになる。これにより、人の負傷や病気の確率と死亡率を下げ、仕事の満足度を高めることが可能になる」と述べた。
北京理工大学は中国で人型ロボットの研究に取り組む「古株」の一つだ。同大学がインキュベートした北京理工華匯智能科技有限公司は低レベルアルゴリズムおよびコア部品の開発に取り組んでいる。その最新世代の人型ロボット「匯童6」は、歩行や疾走、ジャンプ、回転といったマルチモーダルの運動が可能で、ダッシュの速度は時速7.2キロ、垂直跳びの高さは0.52メートル、幅跳びの距離は1.08メートルとなっている。
理工華匯の佘浩田総経理は人型ロボット産業の急成長について、「今や多くの大学や研究所が当社の人型ロボットを購入し、関連アルゴリズムの研究などを行っている。当社は10年の努力でついに春を迎えた」と語った。
ゴールドマン・サックスの予測によると、技術の革命的なブレイクスルーという理想的な状況下で、2025~35年の世界の人型ロボット販売台数の複合年間成長率は94%に達し、35年には市場規模が1540億ドル(1ドル=約162円)に達するという。関連報告書によると、中国は現在、人型ロボットの特許出願件数と有効特許保有件数でいずれも世界トップになっている。