2.基本的な経済制度の堅持と改善
公有制を主体とし、さまざまな所有制の経済が共同で発展するという基本的な経済制度は、中国の特色ある社会主義制度の重要な柱であり、社会主義市場経済体制の根幹でもある。公 有制経済と非公有制経済はいずれも社会主義市場経済の重要な構成部分であり、中国の経済社会の発展の重要な土台である。公有制経済の強化・発展を揺らぐことなく進め、公有制の主体的地位を堅持し、国 有経済の主導的役割を発揮させ、国有経済の活力・制御力・影響力を不断に増強する。非公有制経済発展の奨励・支持・誘導を揺らぐことなく進め、非公有制経済の活力と創造力を引き出さなければならない。
(5)財産権の保護制度の改善を進める。財産権は所有制の核心である。帰属がはっきりとし、権利と責任が明確で、厳格に保護された、流通の円滑な近代財産権制度を整備する。公 有制経済の財産権は不可侵であり、非公有制経済の財産権も同様に不可侵である。
国家は、各種の所有制経済の財産権と合法的な利益とを保護し、各種の所有制経済が法に基づいて平等に生産要素を使用し、市場競争にオープン・公平・公正に参加し、法律の保護を同等に受けることを保証し、各 種の所有制経済を法に基づいて監督管理する。
(6)混合所有制経済を積極的に発展させる。国有資本、集団資本、非公有資本などが株を持ち合い、相互に融合した混合所有制経済は、基本的経済制度の重要な実現形式であり、国有資本が機能を拡大し、価 値を維持・増大し、競争力を高めるのに有利で、各種所有制の資本同士の相互補完や相互促進、共同発展に有利となる。混合所有制経済へと発展する国有経済とその他の所有制経済の比率をさらに高める。国 有資本による投資プロジェクトにも非国有資本の株式参加を認める。混合所有制経済が企業従業員の株式保有制を実行し、資本所有者と労働者との利益共同体を形成することを認める。
国有資産の管理体制を改善し、資本の管理を中心として国有資産の監督管理を強化し、国有資本の授権経営体制を改革し、国有資本運営企業をいくつか組織し、条 件に合った国有企業を国有資本投資企業へと再編する。国有資本投資運営は国家の戦略目標に奉仕するものとし、国家の安全や国民経済の命脈にかかわる重要な産業とキー分野への投資を強め、公 共サービスの提供や重要な展望性戦略産業の発展、生態環境の保護、科学技術進歩の支援、国家安全保障を重点とする。
一部の国有資本を社会保障基金の補助分として指定する。国有資本の経営予算制度を改善し、国有資本の収益の公共財政への納入比率を2020年までに30%に引き上げ、国 民生活の保障や改善への活用を進める。
(7)国有企業による近代企業制度の整備を推進する。国有企業は全国民が所有するものであり、国家の近代化を推進し、国民全体の利益を保障する重要な力である。国 有企業は基本的にすでに市場経済と融合しており、市場化や国際化に現れつつある新状況に適応する必要性に迫られている。経営や決定の規範化や資産の維持や増大、競争への公平参加、企業効率の向上、企 業の活力の増強、社会責任の負担を重点として、国有企業改革をさらに深化させなければならない。
異なる国有企業の機能を正確に区分しなければならない。国有資本は公益企業に対する投入を拡大し、公共サービスの提供の面でさらに貢献する。国 有資本が引き続き株式を保有して経営する自然独占産業については、政府と企業の分離、政府と資本の分離、特別許可経営、政府の監督管理を主要な内容とした改革を行い、異なる産業の特徴に応じて、鉄 道網と輸送の分離や競争性を備えた業務の規制緩和などを実施し、公共資源配置の市場化を推進する。各種の形式の行政独占をさらに打破する。
協調的な運営と効果的な均衡化が可能な企業統治(コーポレート・ガバナンス)の構造を作り出す。専門経営者制度を構築し、企業家の役割をさらに発揮させる。企業内部の管理者の昇進と降格、従 業員の入社と退社、収入の増加と減少がさらに自由となる制度改革を進める。長期的な奨励・拘束の仕組みを構築し、国有企業の経営と投資の責任追及を強化する。国 有企業の財務予算などの重大情報の公開推進を模索する。
国有企業は、人員の市場化採用の比率を合理的に増加させ、国有企業の管理者の報酬水準・職務待遇・職務消費・業務消費を合理的に確定し、厳格に取り締まらなければならない。
(8)非公有制経済の健全な発展を支援する。非公有制経済は、成長への貢献や革新の促進、雇用の拡大、税収の増加などの面で重要な役割を持っている。権利の平等、機会の平等、規則の平等を堅持し、非 公有制経済に対する各種の不合理な規定を撤廃し、各種の目に見えない障壁を取り除き、非公有制企業が特別許可経営分野に進出するための具体的な方法を制定する。
非公有制企業による国有企業改革への参加を奨励し、非公有資本が株式を保有する混合所有制企業の発展を奨励し、条件に合った私営企業による近代的企業制度の構築を奨励する。