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第30回CRCC研究会「中国の宇宙開発について」/講師:辻野照久 (2010年4月15日開催)

第30回CRCC研究会「中国の宇宙開発について」/講師:辻野照久 (2010年4月15日開催)

 科学技術振興機構(JST)中国総合研究センター(CRC)主催による全4回シリーズの研究会「中国の科学技術力について」の第3回「中国の宇宙開発について」をテーマとする第30回研究会が4月15日(木)JSTにおいて開催されました。

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 中国は2003年による初の有人宇宙飛行に成功し、ロシア、アメリカに次ぐ第3の独自有人宇宙飛行能力を有する国として世界に衝撃を与えました。その後も中国の宇宙開発は急速なペースで進展しています。JST中国総合研究センターの2009年度中国科学技術力調査では宇宙開発を重点調査分野の1つとしており、「中国の科学技術力について(ビッグ・プロジェクト編)」にその調査結果をまとめております。今回の研究会では、本調査に携わった辻野照久氏をお招きし、中国の宇宙開発について講演して頂きました。

 辻野照久氏は1950年生まれ。1973年に東北大学工学部を卒業。2004年に文科省科学技術政策研究所特別研究員。2009年度JST中国総合研究センター特任フェロー。日本航空宇宙学会の正会員で、現在は、宇宙航空研究開発機構国際部参事を務められております。

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 講演では、中国の宇宙開発の現状および宇宙開発技術力の各国比較について詳しい解説がなされました。中国での宇宙開発は非常に急速に進んでおり、2009年12月までの最新情報を収録した「中国の科学技術力について(ビッグ・プロジェクト編)」のデータを更新しながら辻野氏は説明されました。ロケットや機器のほとんどを中国は国内生産しており、中でも、衛星バス技術では世界水準の東方紅4型を生産しています。この衛星バスはパキスタンやベネズエラ、ボリビアなどの途上国にも輸出されています。通信衛星については国産のほか海外からも購入して充足をはかっており、これにより国内では衛星放送が非常に普及しています。有人飛行は2003年10月に「神舟5号」で初めて成功して以来、既に6名の宇宙飛行士が誕生し、船員の船外活動や宇宙船のドッキング実験も進められています。

 宇宙技術力の国際比較は8分野23項目の観点から数値化して、米国、欧州、ロシア、日本、中国、インド、カナダを対象に行われました。総合、各分野で見ても順番はほとんど同じで、圧倒的1位は米国。2~3位グループが欧州とロシア。中国と日本は同程度で4~5位グループという評価がされました。

 講演後、活発な質疑応答では活発な意見交換が行われ、中国総合研究センター細川参事役の挨拶により閉会いたしました。

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 今回の研究会には、民間企業、研究機関を中心に多くの方々にご聴講いただきました。今後とも皆様のお役に立てるような各種研究会を企画、開催して参りますので、引き続き温かいご支援、ご協力をお願い申し上げます。

(中国総合研究センター フェロー 邢 嘉驊 記)

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