日中大学フェア&フォーラム開催報告&資料
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日中共同の課題解決・日中間の学術交流の深化のために―「日中大学フォーラム」

2018年 5月15日 曹暉(中国総合研究・さくらサイエンスセンター特任フェロー)

 科学技術振興機構(JST)と中国の国家外国専家局が主催する「日中大学フェア&フォーラム in CHINA 2018」のプログラムのひとつである「日中大学フォーラム」が5月13日、広州花園酒店で開催され、日中両国の200以上の大学、企業から集まった約800人が参加した。

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日中大学フォーラムに参加した学長および来賓

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フォーラムの様子(その1)

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フォーラムの様子(その2)

  フォーラムの冒頭、広東省人力資源・社会保障庁の労幟紅副庁長、文部科学省の伊藤洋一文部科学審議官、中国側主催者の国家外国専家局の副局長で、中国科学技術部党組織メンバーの夏鳴九氏らが挨拶した。

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挨拶する広東省人力資源・社会保障庁の労幟紅副庁長

 労副庁長はまず、広東省人力資源・社会保障庁、広東省外国専家局を代表して、日中大学フェア&フォーラムが成功裏に開催したことを祝福し、中国内外から参加した専門家らを歓迎。「双方が協力して開催されるこのフォーラムは、大学間の多元的で、ハイレベルかつ網羅的な交流に立脚しており、日中両国がテクノロジー教育分野の知恵を交換できるように、また、研究成果の実用化面における協力を促進し、中国が構築中の「世界一流大学、一流学科」、日本が実施している『スーパーグローバル大学』などを促進、推進する上での大きな役割を必ず果たすだろう」と語った。

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挨拶する日本文部科学省の伊藤洋一文部科学審議官

 伊藤文部科学審議官は挨拶の中で、「今年は日中平和友好条約締結40年にあたり、両国の政治家が頻繁に往来する一年でもある。テクノロジーの分野も同じで、文部科学省の林芳正大臣が今月4日に北京で科学技術部の王志剛部長と会談し、テクノロジーの分野における協力をめぐって意見を交換した。『日中大学フェア&フォーラム』を日中両国の多くの大学や機関が支持し、参加し、大学間、学生間の相互交流がさらに促進されているのを見ることができ、とてもうれしい」と語った。

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中国科学技術部党組織メンバーの夏鳴九氏

 夏鳴九氏は、「今年は中国改革開放40周年で、日中平和友好条約締結40周年でもある。このような特別な年に、日中大学フォーラムが開催されるというのはとても大きな意義がある。フォーラムは日中両国の大学間の協力と発展に立脚し、両国のテクノロジーや教育の分野の知恵の交流を促進し、日中両国の大学のテクノロジー成果の転換、協力を深化させ、日中の大学の協力のための交流プラットフォームを構築してくれる。そのために、特別に『日本技術展』、『日本大学フェア』、『日中大学学長等個別会談』、『日中交流会』などが企画されている。この機会を利用して、皆さんが交流を強化し、意思の疎通、協力を深化させることを望んでいる」と語った。

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講演を行う中国国際人材交流協会弁公室の夏兵主任

 中国国際人材交流協会弁公室の夏兵主任は講演の中で、「数日前、国務院の李克強総理が日本を訪問し、第7回日中韓首脳会談に参加し、日本の安倍晋三総理とも会談した。両国の関係は現在正常な軌道に戻っている。そのような背景があり、今回のフォーラムの開催は時宜にかなっている。中国が今世紀半ばまでに現代化国家を完成させ、中国の国民、さらに日本を含む世界各国に発展のチャンスをもたらすと信じている。日中の大学学長が意思の疎通を強化し、互いに学び合い、共に進歩することを願っている」と語った。

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「さくらサイエンスプラン」について紹介するJST沖村憲樹・上席フェロー

 JST中国総合研究・さくらサイエンスセンターの沖村憲樹・上席フェローは登壇した際、JSTが推進する「日本・アジア青少年サイエンス交流計画」(さくらサイエンスプラン)について紹介した。同プランは、沖村上席フェローが中心になって企画したもので、多くの資金を援助して、中国を含むアジアの青少年を短期に日本へ招へいする国際交流プロジェクトだ。招へいする青少年は、40歳以下の高校生、大学生、大学院生、ポストドクター、教員、公的な機関の科学技術関連業務従事者などだ。授業などではノーベル賞受賞者も招待される。同プロジェクトは2014年から実施され、これまでにアジア35ヶ国の1万9,500人が来日した。うち、中国人が6,600人である。

 沖村上席フェローは、「私には、同プランを通して、できるだけ早くアジアの青少年3万人を日本に招くという目標がある。そのうちの1万人が中国人だ。少しでも多くの学校が相互理解を強化する友好事業である同プロジェクトに参加することを願っている」と語った。

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専門学校について紹介する国立高等専門学校機構の谷口功理事長

 国立高等専門学校機構の谷口功理事長は講演の中で、企業の間で好評を博している、エンジニアを育成する日本の職業人材教育制度「高等専門学校(高専)」を紹介し、日本の高専は中国の「中専」とは異なり、エンジニアを育成する高等教育機構である点を強調した。

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日本の中小企業支援制度を紹介する中小企業基盤整備機構の秋庭英人副理事長

 中小企業基盤整備機構の秋庭英人副理事長は、日本の中小企業に対する支援制度を紹介し、「日本には企業が382万社あり、うち、大企業は約1万社だけ。残りの381万社は中小企業だ。そのため、経済産業省は中小企業庁を設置し、各地方自治体や関係機関と共に、情報提供や人材育成、資金提供などの多くの面で、中小企業に総合的な支援を行っている」と語った。

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日本の技術士制度を紹介する日本技術士会の奈良人司専務理事

 日本技術士会の奈良人司専務理事は、日本の技術士制度について紹介した。現在、日本の各企業には技術士の資格を持つ従業員が約11万人おり、彼らが各業界の技術分野の屋台骨を支える存在となっているという。

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分科会:「ナンバーワンを目指す学科構築について」

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分科会:「オンリーワンを目指す大学の経営理念について」

 午後に開催された分科会では、日中の54校の学長、副学長が登壇し、「ナンバーワンを目指す学科構築について」、「オンリーワンを目指す大学の経営理念について」という2つのテーマをめぐる論議を行った。分科会には、日中の大学250校の関係者が参加した。

(文・曹暉 客観日本編集部)

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