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JST中村道治理事長中国訪問および「中国国際教育巡回展」ならびに「上海地域大学サイエンスパーク・イノベーションフォーラム」の実施結果について

2013年 3月29日 JST中国総合研究センター

中村理事長の中国訪問

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 JST中村理事長、有馬朗人元文部大臣、沖村憲樹顧問ら一行は3月8日、国家自然科学基金委員会(NSFC)、中国科学院(CAS)、科学技術部(MOST)、教育部を訪問した。全 国人民代表大会の開催期間中にもかかわらず、いずれもトップあるいはナンバー2の次官が会談に応じた。

 NSFCでは浙江大学学長からトップに就任したばかりの楊衛主任が会談に応じた。会談では中村理事長から「環境問題」、「ヘルスケア」、「高齢化」は日中共通の課題であると問題提起したのに対して、楊 主任は「食の安全問題」にも触れ、「日本はこの問題では先進国だ」とのべ、日中の科学技術交流をさらに進めたい意向を述べた。会談はおよそ1時間に及んだ。

 中国科学院の白春礼院長との会談では、中村理事長、有馬先生から「環境問題」での日中のワークショップについて提案があり、白院長は中国での環境関連の研究の現状を紹介した上で、「一緒にやっていきたい」と 賛意を表明した。関連して有馬先生からごみ処理問題や放射性廃棄物の処理に関しても、「双方で協力できるものがあるかもしれない」との提起があった。これに対して白院長は「 第三世代原子力発電の研究などについても国際協力を推進すべきときがくるだろう」と応じた。会談は1時間以上に及んだ。

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 科学技術部では曹健林副部長らが会談に応じた。曹副部長は「中国は国内問題から目をそらすために外交問題を利用することはない」と述べた上で、「省エネルギー」や「環境問題」で、「 日本に学びたいことがたくさんある」とのべた。また中村理事長が「人材の育成」、「基礎研究の重視」、「イノベーションのための産学連携」の3つの柱での協力を提起したのに対し、曹副部長は「 3つはいずれも中国の重点政策だ」と述べた上で、具体的な行動を取ると約束した。最後に中村理事長からe-ASIAに中国も参加して欲しいとの要望が出された。会談は1時間半に及んだ。

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 教育部の郝平副部長との会談で、郝副部長は日中の学生交流の重要性を強調、中村理事長も「日本の学生に海外、とくに中国に行って欲しい」と述べた。郝副部長からは「 中国から日本への留学生数は現状の8万人を10万人に増やすのが理想だ」と述べた。沖村顧問は日中大学フェア&フォーラムの意義に触れた上で、教育部のサポートに感謝の意を表明した。一 方有馬元文部大臣から大学の大衆化による弊害が提起されたことについて郝副部長は、「中国は2020年までに大学進学率を43%にする目標を立てているが、教育の質が落ちることを心配している」と述べた。

 いずれの会談でも、尖閣問題などへの言及は全くなかった。また郝教育部副部長からは、「時間があればは食事にご招待したかった」とお誘いがあるなど、会談はいずれも和やかで実質的な内容となった。科 学技術を含めた学術交流の強化について、中国側から強いメッセージが発せられたと考えられる。

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 中国訪問を締めくくるに当たって、中村理事長は3月9日夕、北京駐在日本人記者会向けに記者会見を開いた。中村理事長は、40近い日本の大学が「中国国際教育巡回展」に参加した意義を強調すると同時に、J STとして日中の科学技術交流を今後も推進することを表明した。記者からは、「巡回展」への参加で、「民間の日中交流は進むか?」などの質問が出され、中村理事長は「 国レベルでギクシャクしても学術交流は継続すべきで、中国側も同じ認識に立っていることが確認できたのは大きな収穫だ」と述べた。