年産3000トン、リン酸鉄リチウムプロジェクトが生産を開始
中国科技日報 2011年12月16日
四川黄銘リチウム動力公司のナノ級リン酸鉄リチウムプロジェクト(年産3000トン)が、このほど四川省の徳陽市・広漢市で生産を開始した。同プロジェクトは独自の「多種の溶剤・溶 液相法によるナノリン酸鉄リチウムの生産」技術を運用し、中国で初めて50ナノ以下のリン酸鉄リチウム材料の工業化量産を実現した。ハイパワー充電・放電、安全性、循環回数等の指標は既存製品を大きく上回り、か つリチウム電池のコストを20%以上削減した。これにより中国の新エネルギー自動車用の動力電池、蓄電池産業に変革をもたらすと期待されている。
中国では、リチウム電池正極材料リン酸鉄リチウムの伝統的生産方法は「固相法」で、コスト、環境汚染、ロット生産、容量の抑制、品質の安定性といった面で問題を抱えている。
今年3月、四川黄銘リチウム動力公司が独自開発した「液相法ナノリン酸鉄リチウム生産技術」が検査を通過した。新技術はリン酸鉄リチウムとナノ構造体の複合材料、複 合パケット混合のリン酸鉄リチウム技術等を採用し、ロット生産、品質の安定性、1g当たりの容量150mA以上、循環使用3000回以上といった問題を解決した。また常温・常圧における「多種の溶剤・溶液相法」に よるナノリン酸鉄リチウム正極材料の産業化に向けた方法を、初めて提案した。これにより生産コストを20%以上削減し、リチウム動力電池の使用寿命を5年以上延長し、容量型と功率型の要求を同時に満たし、新 エネルギー自動車産業の発展に貢献した。
中国工程院の干勇副院長は、「新プロジェクトは、中国の同領域のスタートを早めたのみならず、将来的には新エネルギー車用の動力電池や蓄電池等に画期的な変革をもたらし、新 たなリチウム動力産業チェーンを形成するだろう」と指摘した。
広漢市の計画によると、同プロジェクトは2014年までに、年産が1万トン規模に拡大する。リチウム電池のコストは将来的に全体で30%以上削減される見通しだ。充電・放 電功率および循環回数が大幅に向上し、リチウム電池電動車両、風力発電、光電子、スマートグリッド動力バッテリーパックの産業発展を促すと見られる。