ロボット教育、旺盛な発展示す―専門応用人材が不足
2015年 9月 1日 中国総合研究交流センター編集部
ポイント
ロボット教育がなぜブームとなっているのかを知るにはまず、なぜロボット教育が必要なのかという問いに答えなければならない。ロボット教育は中国ではまだスタート段階にあり、その火はまだ灯されたばかりだ。
ロボット分野の教育は最近、各種の計画に盛り込まれるようになった。ロボットが重要な役割を演じる大学や企業の一部は、ロボット分野の教育事業の進展にますます多くのエネルギーが注がれるようになっている。この分野での広東省初の産学研プラットフォーム「クーカ・ロボット工学センター」が2015年5月28日、正式な契約が結ばれ、佛山市順徳に設立される。国際ロボット大手のクーカ社にとっては、応用研究開発拠点と技術研修センターの両プロジェクトに続く、順徳への施設の開設となる。
ロボット教育はなぜブームとなっているのか。それを知るにはまず、なぜロボット教育が必要なのかという問いに答えなければならない。ロボット教育は中国ではまだスタート段階にあり、その火はまだ灯されたばかりだ。
中国にロボット時代到来
中国の労働者1万人当たりのロボット保有数は2013年、世界平均の58台の40%に満たない23台にとどまった。同年、世界の工業ロボット販売台数は17.81万台で、前年比成長率は11.8%だった。中国市場での販売台数は3.66万台で、日本を超えて世界最大の市場となった。前年比成長率は59%に達し、成長が最も著しい市場となっている。Ofweek産業研究センターの統計データによると、2014年の中国市場の工業ロボット販売台数は5.5万台に達し、成長率は50%で、世界最大の工業ロボット市場の地位を守った。
工業情報化部「工業ロボットの発展推進にかかわる指導意見」の発表に伴い、全国各地では、ロボット発展の指導意見が次々と打ち出され、地方政府から民間資本までロボットブームが巻き起こっている。
業界関係者によると、2014年は「中国ロボット発展元年」と言える年となり、中国のロボットは技術開発から技術応用へと転換した。今後10年、ロボット産業は天井知らずの産業となるとされる。
ロボットについてのニュースに触れる機会はますます増え、日常生活でもロボットを見たり体験したりする機会が増えている。人々は、ロボット時代がついに到来したとの実感を持っている。
ロボットの専門応用人材が不足
中国のロボット市場は急速に成長し、ロボットのブームと将来性に注目が集まり、ロボット産業の関連企業もこれを実感している。だがその背後で、ロボット関連人材はこれに伴って増えてはおらず、大きな人材不足が起こっている。こうした状況は、中国のロボット産業の発展を直接制約している。
工業ロボットは、複雑で系統的な工程で、買えばすぐに使えるという代物ではない。これを生産に投入するには、プログラミングし、ロボット本体と制御ソフト、アプリケーションソフト、周辺機器などと結びつけ、整った生産ラインを形成する必要がある。大まかな統計によると、ロボット1台につき、操作・メンテナンス・統合応用のために3人から5人の人材が必要となる。現状では、ロボット市場は毎年20%から30%の速度で伸びているが、相応する人材の数と質には限りがある。
一部の企業は、大型のインテリジェント設備の管理や運用の能力のあるハイレベル人材を探している。ロボットの管理・メンテナンスが必要技能となり、これに対しては高額な報酬が用意されることもある。ある情報によると、ロボット操作の技術労働者の賃金は1年で2倍にふくらんだとされる。ロボットにかかわる専門技術人材は多くの卒業生の羨望の的となっている。
発展を約束されたロボット教育
知恵あるものは確かな目を持ち、勇気あるものはチャンスを制する。重慶市機械高級技工学校は、国内でロボット産業がスタートしたばかりの頃、これをチャンスと見てロボット専攻を開設し、ロボット産業の先駆者の一つとなった。ロボット専攻の開設を通じて、同校は、自らを「インダストリアル4.0」時代の流れに置き、インダストリアル4.0時代に飛躍する資格を得た。
ロボット関連の専攻を開設している職業学校はすでに120校余りに達し、ロボット産業の人材不足解消に向けた取り組みを進めている。一部の企業もロボット教育を強化し、人材を育成すると同時に企業自身の業績も高めている。
中国は、ロボット産業の出発点では国外に遅れを取ったが、いまや世界のロボットの最大の市場である。人材と需要とがバランスを欠いていることは、ロボット教育への注目をさらに高めている。ロボット教育の進展には今後、企業や政府、大学による大量の資金と教員の投入も必要となるだろう。
本記事はOFweek(中国高科技行業門戸)より許可を得て翻訳・転載したものである。
原文:http://robot.ofweek.com/2015-05/ART-8321206-8420-28962114.html