第30号:日中の再生可能エネルギー
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2008年中国水素エネルギーの発展

2009年3月23日

毛宗強

毛宗強(mao Zong Qiang):
清華大学教授・中国再生可能エネルギー学会副理事長

1947年生まれ。清華大学教授。
中国政府973水素エネルギープロジェクト首席科学者。中国再生可能エネルギー学会副理事長、中国水素エネルギー学会(CAHE)主席。国際水素エネルギー協会(IAHE)理事会メンバー。中国の「電源技術」「太陽エネルギー学報」「太陽エネルギー」編集副主任、国際水素エネルギー学会誌(JIHE)編集委員、「水素経済のための国際パートナーシップ(IPHE)」水素エネルギー教育専門スタッフ。
2007年国連工業開発機関(UNIDO)水素エネルギー技術国際センター(ICHET)の科学顧問委員会委員、中国政府科学技術部973計画第3期エネルギー分野審査委員会顧問。
1993年より水素エネルギーを研究し、160編余りの論文を発表、出版。
2006年に国際水素エネルギー協会からJules Verne賞、中国石油・化学工業協会から科技進歩準優秀賞を受賞。

 2008年は中国にとって悲喜こもごもの1年だった。年初の中国南部での雪害と、5月12日の四川大地震は中国に未曾有の忍耐と試練を与えた。8月には全世界の注目を集めた北京オリンピックで中国は名声を博したが、直後に発生したメラミンミルク事件では、中国全土の親達に不安を抱かせ、全世界にも衝撃が走った。年末には、金融危機が到来した。とはいえ、起伏の激しかった2008年にも、中国の水素エネルギー生産は成果をあげ、発展し、新たな技術も生まれた。

水素ガスの工業生産

 水素ガスの工業生産では、中国神華グループが、水素ガスの生産量が18万t/年に達する世界最大規模の石炭からの水素製造工場を建設し、試作化に成功した。2008年5月5日、神華は石炭直接液化による石炭からの水素製造ユニットの全過程を通した試運転に成功し、規格に適合する水素ガスを生産した。試運転は数ヶ月連続して行われ、神華グループはシェルブランドの石炭ガス化作業の技術を基本的に把握したことを示した。

 中国は石炭地下ガス化による水素製造にも着手している。石炭地下ガス化とは、地下にある石炭を制御しながら燃焼し、熱および化学反応により可燃ガスまたは水素ガスを発生させるもので、坑井建設・石炭採掘・変成技術を一体化した複数の分野の技術によるクリーンエネルギーと化学工業原料についての新たな技術である。2007年1月、中国の新奥グループは2億元強を投資して、ウランチャブ市摸新奥ガス化石炭採掘技術有限公司を設立し、中国鉱業大学と共同で「無坑道方式石炭地下ガス化試験プロジェクト」を展開している。同年10月24日、中国初となる日産15万㎥の石炭ガスの無坑道方式石炭地下ガス化試験システムと生産システムの最初の点火に成功した。これまでに、現場での試験運転は400日を超え、熱供給・発電・化学工業原料生産能力を備えており、一連の独創的な技術による成果をあげ、9件の特許を申請した。

水素ガスの工業的精製

 中国は世界最大の圧力スイング吸着による純水素製造装置を完成し、中国の水素エネルギー産業の基盤を確立した。2008年8月13日、西南化工研究設計院を主な発起人として設立された四川天一科技株式有限公司が技術・工事設計を担当した、圧力スイング吸着でガスから分離(PSA)する340,000N㎥/hの水素製造装置は神華グループによる第1次試運転に成功し、各種技術指標はすべて設計における基準を満足した。この装置は世界最大のPSA水素生産装置であり、中国のPSA技術がすでに世界先進レベルに達していることを示すものである。

大規模な水素ガスの貯蔵

 北京市中関村の永豊高新技術開発区にある中国初の水素生産供給ステーションは、浙江大学化工機械研究所が研究・開発に成功した「世界初のタンク」であり、世界最大の金属材料による定置型水素貯蔵タンクとして設置されている。タンクの内径は800mm、高さは5,800mm、容量は2.5㎥あり、圧力は70MPaに達し、米国で製造された単一の高圧水素貯蔵タンクとしてのこれまでの記録(直径600mm、容量0.411㎥、30MPa)を凌駕しており、中国製の45MPaの金属製水素ガス貯蔵タンクも内径1,000mm、高さ5,500mm、体積5.0㎥に達していて、中国の水素ガス貯蔵技術が世界をリードしていることがわかる。

 中国は世界最大の水素貯蔵合金の生産国である。2007年における水素貯蔵合金LaNi5の全世界での生産能力は約3万tとなっているが、主に中国と日本に集中している。2007年の中国における生産能力は2万t近くに達し、1万tが販売されているが、日本の生産能力は1万t、販売は6,000tである。中国の水素貯蔵合金の生産量と使用量はいずれも世界第1位である。

水素エネルギー自動車

 2008年の北京オリンピック期間において、595台の各種新エネルギーによる電動自動車の総運行距離は371万4,000km、乗客数はのべ441万7,000人にのぼったが、うち燃料電池バス3台と燃料電池自動車20台をオリンピックの全日程でのサービスに投入したことが、報告されている。北京オリンピック・パラリンピックのマラソン競技では、燃料電池車が選手収容車として、無事に任務を果たした。オリンピック以降も燃料電池バスは引き続き路線バスのモデルとして、中国科学技術部(MOST)・UNDP/GEFの「中国燃料電池路線バス商業化モデルプロジェクト」の一部として、2009年7月まで北京市営バス801系統として運行する。

 「中国燃料電池路線バス商業化モデルプロジェクト」の第2段階は上海で展開する。現在モデルプロジェクトの準備作業が進んでおり、中国企業が燃料電池バス6台の落札に成功した。

 上海復星集団と子会社である上海神力科技有限公司は2008年4月7日~11日にデンマークを訪問し、2009年にデンマークで神力の燃料電池バスをモデルとする計画について討論した。これは、中国の水素燃料電池および燃料電池エンジン業界・技術研究開発・産業化が世界進出を目指していることの表われである。

 北京理工大学・北京飛馳グリーンエネルギー社・長安自動車が共同で研究し製造した、中国初の水素による内燃機関の自動車が北京理工大学のキャンパスに出現した。これは40MPaの中国製車載用高圧水素タンクを採用している。

 水素ガス/天然ガスハイブリッド燃料車の普及を引き続き計画しているが、一部の企業がすでに立候補することを表明しており、今後の展望に期待が持てる。

水素自動車用ステーション

 2008年までに、北京2箇所、上海1箇所と中国には計3箇所の定置型水素供給ステーションが設置されている。北京の水素供給ステーションの水素ガスの生産方法としては、それぞれの水素供給ステーションで電解水により水素・天然ガスを改質して水素を製造している。特に北京の飛馳競力水素供給ステーションは、独創的なものである。重要な部品がすべて中国製の設備であり、中国で生産した35MPa・45MPa・70MPaの定置型水素ガス貯蔵タンクおよび75MPaの水素ガス圧縮機が水素供給ステーションに設置済みであり、150㎥/hの水素ガスを製造する電解水設備2台も正常に運転されているが、まさに中国の水素供給ステーションの技術がすでに世界先進レベルに達していることがわかる。オリンピック期間中に水素ガス供給ステーションでは燃料電池自動車・バスに累計で409回、1,286.8kgの水素ガスを供給した。

水素エネルギーの科学的研究

 水素エネルギーと燃料電池の化学的研究はさらなる支援を受けており、中国政府の基本研究開発計画(973計画)では、再生可能エネルギーによる水素製造を重視している。2008年中国政府科学技術部は江蘇省が担当している風力エネルギーのオフグリッドの応用というテーマと、上海交通大学が担当している車載型エネルギー貯蔵・水素貯蔵のテーマについて、中間審査を行った。化学技術部はそれぞれの担当グループの進捗状況に満足していて、両プロジェクトについて、それぞれ風力のオフグリッド発電による水素の製造、高圧容器と水素貯蔵合金を組み合わせた水素貯蔵技術面にとくに今後努力するよう要求した。科学技術部は、西安交通大学が対応する太陽エネルギーからの水素製造というプロジェクトについても最終審査を行い、科学技術部はこのプロジェクトの研究を継続して支援していく必要性があるとし、今後1回限りながら5年間資金を再度援助することを決定するとともに、中国科学院大連化学物理研究所が展開する太陽エネルギーからの水素製造の研究にも資金を援助することにした。

 科学技術部は応用研究(863計画)を非常に重視している。「天然ガス・液体燃料による分散型の小型水素製造技術」を整備し、燃料電池発電・燃料電池自動車の水素供給ステーションに効率よく集積する水素ガス製造技術の向上のため、天然ガスと液体燃料から効率よく集積する小型の分散型水素製造システムを開発する計画である。具体的には触媒変成率≧98%、触媒寿命≧1000hr、水素製造規模:5-50㎥/h、製品であるガスのCO≦30ppm、システムのエネルギー転換効率≧75%を要求している。「超臨界におけるバイオマスと太陽エネルギーとの結合による水素製造技術」を開発し、バイオマスの超臨界水によるガス化と太陽エネルギーの集光による熱供給システムを結合させた水素製造システムの研究開発を計画しており、超臨界におけるバイオマスと太陽エネルギーによる水素製造を結合して研究開発する基盤とする。連続して多相流で混合輸送するバイオマスの質量濃度は15%に達し、完全にガス化された気体の生成物における水素ガスの体積濃度は55-60%に達し、CO2を有効に濃縮し分離することが可能であり、バイオマス超臨界水の多相流での混合物処理量は1t/hに達し、ガス化システムの総エネルギー利用効率が70%以上に達するよう要求している。「太陽光によって直接水を分解する水素製造用触媒およびシステム集積技術」を開発し、効率よい光触媒および製造プロセス・太陽光により水分解する水素製造用反応炉の研究開発を計画するとともに、光による水分解で製造した水素と集光した太陽エネルギーとを結合して、効率よくかつ安定して連続的に集光する太陽エネルギーの光触媒による水素製造モデル装置を研究開発した。光で直接水分解した水素エネルギーの利用効率は4%以上、触媒の寿命は200h以上、リアクターの総採光面積は25㎡以上、総容量200L超、集光装置の集光効率50%超、連続的に集光した太陽エネルギーの光触媒反応による水素製造装置システムを200h以上安定して運転し、反応液の体積による水素製造は400L/d・㎥を達成するよう要求している。

 事実上、科学技術部の863プロジェクトの「第11次5ヶ年計画」期間における水素エネルギーの特定テーマの系統的研究には再生可能エネルギーによる水素製造の新技術・化石エネルギーによる水素製造(副産物としての水素の精製を含む)・小型非定常化石燃料の高効率な水素製造技術・化学的水素化合物の水分解による水素製造技術・水素の製造/貯蔵一体化技術・低コストの太陽エネルギーによる水素製造技術・マイクロ燃料電池の水素エネルギー技術・水素製造と燃料電池システムを統合する重要技術・光電気化学による新たな水素製造技術・費用対効果の高い水素製造触媒などその他の新しい水素製造技術がある。こうした研究は2008年に様々な進捗を遂げた。

 水素エネルギーの科学的研究は政府以外からのルートでも支援を受けている。シェル・ハイドロジェンの資金援助により、清華大学原子力・新エネルギー技術研究院は中国初の太陽光発電による電池-水素エネルギー-燃料電池システムを試験運転した。システムは2000Wの太陽電池・0.5㎥/hの水素を発生する水電解装置・水素ガス10㎥の水素貯蔵合金装置・5000WのPEMFC燃料電池スタックから成る。担当者は大量の試験を実施して、Hyforum2008(湖南省長沙市で2008年8月に開催)の会議で結果を報告した。

水素エネルギーへの新たな政策

 2008年11月27日に重慶市で開催された「都市の発展と自動車の省エネルギーと排出削減についてのハイレベル・フォーラム」において、中国政府財政部の官僚は、財政部は新エネルギー車輌を購入する消費者に補助金を講じる措置を採り、第1段階として2012年に新エネルギー車輌の使用の普及に対して財政部が200億元強を投入することを表明した。2ヶ月後の2009年1月23日に財政部と科学技術部は共同で「省エネルギー・新エネルギー車輌のモデルと普及の試験的事例に関する通知」(財建[2009]6号)を北京市・遼寧省・吉林省・上海市・浙江省・安徽省・江西省・山東省・湖北省・湖南省・広東省・重慶市・雲南省の計13の省・市の行政部門の関連部門に発行し、燃料電池自動車1台あたりの補助金が人民元25万元であることを明記した。2009年2月17日には、財政部、科学技術部、発展・改革委員会、工業・情報化部などの4部門の委員が共同で北京において省エネルギー・新エネルギー自動車のモデル普及の試験的事例についての会議を招集した。会議では、長さ10m以上の都市部の燃料電池バスに対する補助金の金額を人民元60万元とすることを決定した。これは新エネルギー自動車購入へ補助金のうち最高額となる補助である。現時点では水素燃料電池車は中国では商業化されていないものの、中国政府の決定により中国政府が水素燃料電池車を支援する立場にあることが明確かつ確実に伝わり、投資の動向にも影響することは間違いなく、中国における水素燃料電池車の開発に有利となる。

水素エネルギーの標準

 2008年、中国で「全国水素エネルギー標準化技術委員会」と「全国燃料電池標準化技術委員会」が相次いで正式に設立されたのは、中国の水素エネルギーについての基準策定が正式な段階に入ったことを示している。当初は、中国の水素エネルギー基準策定はその他の専門標準化委員会が代行していた。2007年6月に中国標準化研究院が中国政府標準化管理委員会に全国水素エネルギー標準化技術委員会の設立を諮問した。2008年3月には中国政府標準化委員会の回答を受け、全国水素エネルギー標準化技術委員会(コードはSAC/TC309)が正委員26名により成立した。しばらくして、全国燃料電池標準化技術委員会(コードはSAC/TC342)も正委員46名により正式に成立する許可を受けた。2008年に水素エネルギー標準化委員会(コードはSAC/TC309)は「水素エネルギー標準体系」の研究・確立・改善を組織化するとともに、この体系を基礎として中国における水素エネルギーの国家基準を制定・改訂する中長期計画と年度計画の提案を提出し、中国における水素エネルギー基準策定の戦略・政策・関連措置への提案を提出し、水素エネルギー普及事業が安定してかつ急速に健全に発展するよう指導している。2008年には水素エネルギー基準である「水素ガス・水素エネルギー・水素システム用語」と「水素ガス・水素供給ステーション技術規範」の2項目を中国国家基準として完成した。中国政府標準化委員会の「2008-2010年における資源の節約と総合利用についての標準発展計画」への組み入れを申請した。立案を準備している基準の項目は7項目である。燃料電池標準化委員会(SAC/TC342)は2008年に「定置型燃料電池発電システム--安全」など18項目の基準を完成するとともに、「燃料電池応急電源」などの新たな項目を報告した。

水素エネルギーの展示会と会議

 2008国際水素エネルギーフォーラム(Hyforum2008)と第9回中国再生可能エネルギー学術会議が2008年8月3日~6日に長沙市で開催された。このイベントは中国再生可能エネルギー学会水素エネルギー専門委員会(CAHE)が主催した。同イベントは中国科学技術部(MOST)・国際水素エネルギー協会(IAHE)・EU・国連工業開発機構水素エネルギー技術国際センター(UNIDO-ICHET)などから大きな支援を受けた。国際水素エネルギー協会主席で米国マイアミ大学教授のT.ネジャット・ヴェズィログル氏は、このイベントのために長沙を訪問した。同氏は1974年に国際水素エネルギー協会を創設し、これまで34年、水素エネルギーの商業化に向けて努力を続けてきた。80歳の高齢であるヴェズィログル教授は中国の水素エネルギーは非常に将来性があると見ており、今回の会議では、「水素エネルギーと中国経済の発展」というタイトルで40分の長きに渡る講演を行い、中国における水素エネルギー発展の理由と実行可能性について明言した。世界の14の国・地域から300名強の代表が同イベントに出席し、水素エネルギーの構想と成果について交流した。

 2008年11月18日~20日に第2回上海国際水素エネルギー・燃料電池展示会(HFCE2008)が上海市の上海光大展示センターで開催され、引き続き参加したBMW、シェル・ハイドロジェンのほか、Linde・UTC・Ballardなどの国際的な先進企業や、国際水素エネルギー協会(IAHE)・全米水素協会(NHA)・カナダ水素燃料電池委員会(H2FCC)・カナダ水素エネルギー協会(CHA)・米国燃料電池協議会(US Fuel Cell Council)・国連工業開発機構水素エネルギー技術国際センター(UNIDO-ICHET)などが参加し展示し展示した。この展示会は中国内外の水素エネルギー・燃料電池における交流の舞台となった。展示期間中、20余りの国・地域の水素エネルギー学会の責任者が上海に集まり、第5回水素エネルギーの国際協力に向けた実行委員会の会議に参加し、世界における水素エネルギーの発展を推進するよう共同で協力することについて討論した。展示期間中には「水素・燃料電池による予備電源」フォーラムも開催され、中国内外の産業界・学術界から60名余りがフォーラムに参加した。

 2008年6月3日にCAHEと湖南省婁底市行政部門などの部門が共催した「2008中国水素エネルギー経済フォーラム・産業技術成果普及会」が広州で開催された。同会では、政府高官と財界が水素エネルギーを切り口とした広大な市場について踏み込んだ討論を行った。メーカーも多くの設備を展示するとともに現場でデモンストレーションを行った。

水素エネルギーの奨励

 中国科学技術部の万剛大臣が中国で燃料電池車の発展を推進したことを表彰して、2008年5月15-19日にオーストラリアのブリスベンで開催された第17回世界国際水素エネルギー会議で、国際水素エネルギー協会(IAHE)が万剛氏に2008年度のIAHEグローブ・アワードを授与した。グローブ・アワードは国際水素エネルギー協会が、燃料電池・電解およびその他の水素に関する電気化学を含む水素エネルギーに関する電気化学分野での成功者を特別に表彰するものである。在オーストラリア中国大使館の馮渲・科学技術参事官が万剛大臣の代理として受賞した。馮参事官は授賞式で万剛大臣の親書を読み上げ、国際水素エネルギー協会への感謝の意を示すとともに、北京オリンピックを参観し、みずから中国における水素エネルギーの科学技術的成果を体験してもらうよう代表を招請した。万剛大臣の謝辞は全代表から拍手を受けた。全世界から来訪した350名余りの著名な科学者・企業家・政府代表が受賞の祝宴に出席した。

中国再生可能エネルギー学会水素エネルギー専門委員会の動向

 CAHEは中国で唯一中国政府に登録し、承認を受けた非営利の水素エネルギー学術組織であり、一貫して中国における水素エネルギーの技術開発を積極的に推進し、外国との水素エネルギー分野での提携と交流を推進してきた。2008年10月25日には委員改選のための大会を開催した。大会では主任委員の毛宗強らを、任期を5年とする新たな任期の理事会のメンバーとして選出した。CAHEは水素エネルギーを推進する方向性を明確にし、企業との提携にとくに力を入れて、着実に水素エネルギーを推進していかなければならない。CAHEはより多くの人に水素エネルギーを認識し受け入れてもらうよう、水素エネルギー教育を強化する。国際交流を推進するため、CAHEは2013年の国際水素技術大会(WHTE2013)の開催を申請することを決定し、2008年11月にCAHEは正式に申請し、国際的な水素エネルギーの推進団体であるPartnership for Advancing the Transition to Hydrogen(PATH)への参加を準備している。今後、世界の水素エネルギー発展を推進するため、CAHEは貢献する。

 中国については、2008年は平穏な1年ではなかったが、中国の水素エネルギー分野は安定して発展した。2009年には、CAHEと中国の水素エネルギー分野が世界的な金融危機に打ち勝つために貢献できることを期待している。


【注】学会の中国語・英語表記が異なることに注意されたい。

  • 学会の中国語名:中国再生可能エネルギー学会水素エネルギー専門委員会
  • 学会の英語名:China Association for Hydrogen Energy (CAHE)