第170号
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水素燃料電池自動車が中国国際輸入博覧会で「競演」

2020年11月27日 劉 霞、付麗麗(科技日報記者)

 韓国・ヒュンダイの世界初の量産水素燃料電池大型トラック、水素燃料電池車・ネッソ(NEXO)、トヨタの水素燃料電池商用車など、水素で走る自動車が第3回中国国際輸入博覧会で「競演」し、自動車メーカーの新エネ車に対する高い評価、高い期待が存分に示された。

 クリーンで、貯蔵できる量が多く、エネルギー変換効率が高く、運行が安定しているなどのメリットがある水素エネルギーは、現代工業において最も理想的で、最もポテンシャルが高い新エネルギーと見られている。水素燃料電池自動車は、新エネ車の主要テクノロジー・ロードマップの1つで、近年、急速に発展している。

 しかしながら関連の専門家は、「水素燃料電池自動車は依然としてコストが高く、水素ステーションが不足しているなどのデメリットもあり、今後は関連する技術的難題を一歩踏み込んで克服しなければ、本当の意味で一般家庭に普及することは難しい」と指摘している。

複数の水素燃料電池自動車がお披露目

 今回の国際輸入博覧会で、ヒュンダイの水素燃料大型トラック・XCIENTは、そのボリュームの大きさと、新エネ車の波に乗ったトレンド感を武器に、多くの人の注目を集めた。

 XCIENTの長さは9.475メートルで、2つの燃料電池スタックからなる出力190kWの水素燃料電池システムを搭載する。重量は(接続部品の重量も含む)34トンで、1回の充填での航続距離は400キロになる。航続距離を伸ばすために大型水素タンク7個が装備されており、最大積載量の荷物を積んだ状態でも400キロ走ることができる。1回の充填は20分で完了すると見込まれる。先月、欧州市場に出荷され、スイスに7台納入された。

 このほかにも、ヒュンダイは、博覧会で水素燃料大型トラックコンセプトカーNEPTUNEの模型、水素燃料電池自動車・NEXOも展示していた。

 一方、トヨタも今回の国際輸入博覧会で、水素燃料電池商用車を世界初公開した。

 トヨタ中国広報部の謝輝室長によると、これはトヨタ中国で研究開発した初の水素燃料電池自動車だという。

「現在、政府は水素燃料の推進を重視しており、さらに多くの企業と共に手を携えて、商用車の分野で水素燃料電池技術応用を推進することを願っている。また、当社も今後、中国の環境保護事業にさらに寄与したいと願っている」

 ヒュンダイの関係責任者は、「当社は水素燃料電池の研究開発推進に力を入れる企業として、このタイプの自動車および中国の市場の成長を非常に楽観視している。現在、中国の長江デルタや北京・天津・河北の水素エネルギーモデルエリアの提携パートナーと、戦略的に提携することで既に合意している。そして、水素エネルギー産業のエコシステムを共に構築していく」と説明する。

水素燃料電池自動車の「心臓」がカギ

 近年、水素燃料電池自動車業界は活気に満ちており、国から地方、川上の完成車、部品メーカーから川下の関連製品メーカーまで、次々に資金投資などを強化している。中でも、「引く手あまた」となっているのが水素燃料電池だ。

 今回の国際輸入博覧会で、燃料電池の細分化された分野の唯一の出展企業となった、燃料電池システムのメーカー・重塑科技(REFIRE)のブースは大盛況だった。

 重塑科技の林琦・会長兼最高経営責任者(CEO)は科技日報の取材に対して、「問い合わせが多いのは、当社の最新世代の63kWから110kWの燃料電池システム・鏡星(PRISMA)シリーズの製品だ。同シリーズの製品に採用している技術は、世界の先端を走り、応用効果が顕著であるため2020年度『中国自動車工業科学技術賞』一等賞を受賞した。今年、燃料電池の分野で唯一受賞した技術だ」と胸を張った。

 新システムはさらに多くの商用車シーンに応用でき、長い航続距離、高い荷重、連続した高速運転など、複雑で過酷な稼働状況での稼働ニーズも満たしている。現在、同シリーズの製品は18トンから49トンまでの燃料電池大型トラック6車種に搭載され、工業品輸送、都市間高速物流、貨物専用路線、土砂・建築廃材輸送、都市行政などのシーンをカバーしている。

 また、2018年から、同社の燃料電池技術は、日本や米国、欧州、マレーシアなどの商用車にも搭載されるようになり、現時点で4,000万キロメートルという、燃料電池商用車の最長運行記録を達成している。

発展に立ちはだかるボトルネック

 多くの自動車メーカーが既に水素燃料電池自動車を打ち出している。2014年にトヨタはいち早く水素燃料電池自動車・MIRAIを発売し、そのフルモデルチェンジした2代目「MIRAI」が既にドイツで発売されている。しかし、水素燃料電池自動車の産業化の道にはまだたくさんのハードルがある。

 ある専門家は、「水素エネルギー自動車と関連のある水素燃料の入手、水素ステーションの建設など、依然として課題が山積していることが、水素燃料電池自動車の推進、普及の足かせとなっている」と指摘する。

 水素の燃料源が依然として課題だ。地球上の水素元素は豊富にあるものの、主に水の形で存在しているため、技術を駆使してそこから水素を得なければならない。現在、大規模に工業化された水素製造技術には、主に、化石燃料から水素を取り出す方法、水を電気分解して水素を得る方法などがあるが、それらは非常にコストが高い。

 このほか、燃料電池の製造コストを見ると、燃料電池スタックの触媒、コーティング材料などのコストも非常に高い。さらに、水素ステーションの建設技術にも依然として克服すべき難題がたくさんある。例えば、水素を充填する時のホースは、水素が漏れないようにするための特殊な技術が必要だ。水素ステーションのコストも高い。例えば、江蘇省如皋市に建設されたステーションの建設費は約1.2億元(約19億円)だった。

 重塑科技の谷睿智・最高技術責任者(CTO)は、「コア技術の難関を攻略し、技術が発展して成熟した後、大規模発展によりスケールメリットを実現すれば、コストをさらに低減させることができ、水素燃料電池自動車の普及を後押しするだろう」との見方を示す。


※本稿は、科技日報「氫燃料電池汽車進博会"闘艶"」(2020年11月09日第4面)を科技日報の許諾を得て日本語訳/転載したものである。