中国の原子力工業、誕生60周年 建設中の原発規模で世界最大に
中国総合研究交流センター 編集部 2015年 1月28日
中国経済日報によると、中国の原子力工業の誕生60周年を記念した座談会「新時期の国防建設・強化、原子力エネルギーの持続可能発展の推進」(共催:中国核工業集団、中国核工業建設集団、中国工程物理研究院)が1月15日、北京で開催された。
国防建設と国家安全の土台となる原子力工業は今年1月15日、中国での誕生から60周年を迎えた。中国の原子力工業はこの60年で、原子爆弾や水素爆弾、原子力潜水艦などの目覚ましい成果を伴う飛躍的な発展を遂げ、民族の自立を支え、中国の戦略核戦力を高め、国家の振興と民族の復興に堅固な土台を築いてきた。
原子力工業の発展は、国家のエネルギー安全の保障と気候変動に対応する重要な手段ともなる。中国の原子力発電事業はここ30年余りの発展によって自主製造・系列化・大規模化を実現し、稼働中の発電ユニットは22基、総設備容量は2010万kWに達した。建造中の発電ユニットは26基、総設備容量は2800万kWに達し、建造規模で世界最大となっている。「華竜一号」の開発では第3世代原子炉技術の知的財産権を保有することとなり、国内外への建設も進み、原子力発電の海外進出戦略も大きく進展した。
中国の核燃料産業はこの60年で、閉鎖循環式の産業体系を形成し、国防建設と経済建設で重要な役割を担うになった。国内生産・海外開発・国際貿易の3つからなる資源供給体系も構築された。核燃料循環の各部分の建設と生産は、中国の原子力エネルギーの発展ニーズを満たすと同時に、世界への進出も果たしている。ウランの精錬・転換や濃縮、燃料ユニットの生産を統合した新たな拠点の建設も計画されている。中・低レベル放射性廃棄物の処理場も設立され、再処理の能力と技術の把握も進んでいる。
原子力工業はこの60年、原子力の安全を各事業の最優先事項とし、良好な安全記録を保ってきた。建造中の原子力施設には有効な安全制御がなされ、原子力施設周辺の放射線レベルは自然状態の範囲に収められている。中国の原子力の安全確保は先端水準にあり、世界の原子力安全水準の向上に大きく貢献している。
60年来、革新発展を堅持し、軍民が一体となった全面的な科学技術革新体系を構築し、重要な生産段階のそれぞれに科学技術プラットフォームによるサポートを提供してきた。国家基礎研究実験基地や国防科学技術重点実験室、国家級エンジニアリング技術センターなどが設けられ、中国実験高速炉や中国先進研究炉、再処理パイロットプラント、タンデム加速器改良、核融合環流器2号A装置改良などの重大科学技術設備や研究開発プラットフォームも建設され、原子力技術の革新に力強いサポートを提供した。
中国原子力工業集団公司の董事長(会長)で党組書記の孫勤氏は原子力事業の今後の発展について、「中国は、その国際的地位に見合った、国家の安全や発展のニーズに応える原子力工業強国とならなければならない。伝統ある原子力工業の精神を発揚し、原子力工業の発展を「新常態」(ニューノーマル)へと積極的に誘導し、軍民が一体となった発展の道を堅持し、中核的能力を全面的に高め、中国の戦略的原子力の安全性・信頼性・有効性を確保していきたい」と語った。