第50号:融合研究分野
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ナノ低温生体医工学の研究と発展

2010年11月17日

劉静

劉静:清華大学医学院生体医工学科教授、
中国科学院理化技術研究所兼務研究員

1969年4月生まれ。1987年9月~1996年2月、清華大学在学、動力工学・制御専攻工学士、物理学専攻理学士、工学熱物理専攻(生物伝熱関係)工学博士学位をそれぞれ取得。かつてアメリカPurdue大学ポスドク、MIT上級訪問学者として、中国科学院清華大学百人計画に相次いで入選。主に低温生物医学、腫瘍温熱療法学、医学マイクロシステム・ナノテクノロジー及び先進エネルギー技術など、学際的問題の研究に従事、一連の独創的研究に貢献。学問分野をまたがる8冊の先端的著作を出版(うち1冊は5回の重刷)、学術界で広く採用。招待執筆は中国語・英語書籍の章節10篇、国内外刊行物及び国際会議に論文200篇余りを発表。特許90件余りを相次いで申請し、多くの成果を企業に譲渡。2003年度中国国家傑出青年科学基金の受賞者、中国青年科技賞、茅以昇科学技術賞、北京青年科技賞、中国国際工業博覧会イノベーション賞、第4回中国科学院優秀教師/優秀研究生指導教師賞などを受賞。


鄧中山

鄧中山:中国科学院理化技術研究所副研究員

1975年10月生まれ。2005年3月、中国科学院力学研究所流体力学専攻工学博士学位取得。主に伝熱学及び生体医工学方面の学際的テーマ研究に従事、腫瘍冷凍治療、温熱療法など生体医工学の問題に関する研究において一連の革新的成果を収得。すでに学術著作1部を共著出版、国内外の定期刊行物及び会議に70篇余りの論文を発表、特許10件余りを出願。

要旨

 近年、生物医学分野におけるナノテクノロジーの応用についてはその将来性から、広く世界の学界や工業界の関心を集めているが、そこから派生した生物医学ナノテクノロジーは最も発展の速い最先端分野の一つとなっている。本論文は、現代の低温バイオメディカルテクノロジーの研究の現状とその将来の方向についての大まかな分析を踏まえて、ナノ低温生体医工学という、ナノテクノロジーと低温生物医学の融合によって出現したナノ医学の新しい分野について論評し、それに相応した技術の基本的特徴、機能、応用方式などの問題を明らかにし、さらに筆者の研究室がこれまでに収めた一連の進展を例として、現段階でのナノ冷凍治療技術及びナノ低温保存技術を発展させる典型的方法を分析し、同時に両者の発展の将来性について一定の予測を行い、解決すべき基礎科学及び応用技術のいくつかの問題をまとめたものである。

一、背景

 今日、人類が直面しているさまざまな重大疾患の中で、悪性腫瘍はすでに人を死に至らしめる最も主要な疾患の一つとなっている[1-5]。WHOの統計によれば[2]、2008年には、全世界で計1240万の悪性腫瘍の新発病例があり、計760万人が悪性腫瘍のために死亡し、同年度の全世界の死亡者総数の約13%を占めた。中国の状況はとりわけ深刻で、第3回全国死因調査によって明らかになった現実は、中国では近年、がんで死亡する総数が毎年200万近くに達し、死亡者4~5人のうち1人ががんで亡くなっており、また中国が毎年がん患者のために支出する医療費は低く見積もってもすでに1千億元を超え、全国の医療衛生総費用の20%以上を占めているという厳しいものであった。さらにWHOが発表した『世界がん報告書2008』[2]は、予防と有効な治療措置を講じなければ、2030年には全世界で悪性腫瘍の新発病例が毎年2700万に上り、悪性腫瘍で死ぬ患者は毎年1700万になる見込みだと指摘している。がんとの闘いはすでに全人類に対して警鐘を鳴らしており、全世界の医療衛生事業が直面しているリスクは、悲惨な戦争にも劣らないものである。

 これまで、伝統的なメスによる切除、放射線治療、化学療法のほかにも、生体医工学界は腫瘍治療のさまざまな新しい方法を発展させてきた。大量の臨床実践の中で、腫瘍の低侵襲性ターゲット治療はすでに徐々に医療科学技術発展の最先端となっており、これに相応した技術は先進医療装備市場を開拓する上できわめて重要なポイントとなっている[3-5]。さまざまな低侵襲的手段の中でも、低温外科手術の近年の進展は特に注目を集めている[6-10]。これは比較的新しい部類の物理的療法であり、その実施は通常、一つの低侵襲な方法によって冷凍プローブ(冷凍メスと言い習わされているもの)を悪性腫瘍部位に挿入し、さらに冷却技術を利用してメス先端においてコントロール可能な降温・昇温機能を実現すると、組織が冷凍過程においてプローブの周囲に氷球を形成し、そこで、プローブが病巣を絶え間なく冷凍、解凍し続けることによって、一連の不可逆的損傷が生じ、病巣除去という目的が達成できるというものである。これらの氷球の成長、消融の過程で、プローブの周囲には必要に応じてさまざまの複雑な氷球の組み合わせが生じ得るが、ただし生体組織においては(特に大血管が存在している場合)かなり複雑なものとなる[9]。低温手術には麻酔鎮痛、止血や出血軽減、それに腫瘍拡散が防げる等のメリットがあり、またその副作用も放射線療法や化学療法よりはるかに低いため、腫瘍治療の方面で「グリーン療法」という好評価を得ている。まさにこれらの要因により、低温外科手術はすでにほとんどすべての腫瘍臨床分野に広く応用され、学術界と医学界から、薬物耐性の強い塊状腫瘍を治療する一つの重要な方法として公認されている[3, 4]。

 しかしながら、不幸なことに、低温外科技術は実践面に今なお多くの技術的ボトルネックが存在し、それは主に冷凍、溶解のコントロール上の難しさと、冷凍メカニズムに対する認識の不足からきている[6, 9, 11]。今日の世界で最も先進的な低温外科設備について言っても、依然として、降温効果に限りがある、凍結範囲がコンフォーム化しにくい、氷球画像の監視精度が低い、健康な組織が凍傷損害を受ける可能性がある等の不利な要素が存在し、そのために最終的なターゲット殺傷効率が低くなり、結果として腫瘍細胞の残留、転移、再発等といった事態が出現している。現代の低温手術が今なお全面的に普及していないのは、これらの現実的難題のせいによるところが大きい。したがって、理想的な低温冷凍治療の方法を探し求め、先進的な低温外科医療器械を開発することは、依然として現在の腫瘍臨床及び低温医学界の大きな課題であり、相応の進展は必ずや腫瘍冷凍治療のレベル向上を促すであろう。事実、まさにこれらの差し迫ったニーズこそが、現代の低温生体医工学が活力に溢れていることの要因を構成しているのである[9]。毎年、国際的に低温冷凍外科をめぐって発表される大量の基礎・応用研究論文からも、この点を見出すことができるが、しかしやや残念に思われるのは、多くの研究の基本構想がいずれもまだ古典的な低温手術戦略を越えられないでいることである。

 腫瘍の低侵襲冷凍治療の方面における重要な応用のほかに、低温技術は生物材料の長期保存においても欠くことのできない役割を担っている。周知のように、生物材料の低温冷凍保存とは、特殊な方法を採用して生物材料を低温(一般に-196℃)まで冷却し、長期にわたって保存することを指し、必要になった時に、それを有効な方法で正常な温度まで加熱すれば、活性を保持した生物材料を元通り得ることができる[12] 。低温保存技術は数十年にわたる発展を経て、実験方法の面で非常に大きな成功を収め、特にこの二、三十年は、低温保存技術を利用して、すでに大多数の細胞の保存実現に成功しており、皮膚、角膜、肝臓、腎臓など、複雑な組織や臓器の短期保存においても一定の進展を見、また臓器移植手術にも応用されて、臨床医学の発展を大きく促してきた[10]。だが、低温保存技術はすでに医学、食品科学、軍事、生物学等の分野で広く応用されているものの、大量の複雑な細胞、組織、臓器、特に生きている生命体の低温保存の面では決して成功しておらず、依然としてより有効な低温保存方法を探し求めることが必要になっている。

 全体的に言えば、冷凍治療の面でも、低温保存の面でも、低温生体医工学の分野は近年、急速な発展を遂げてきたが、しかし依然として乗り越えることの難しい多くの技術的障碍に直面している。低温バイオメディカルテクノロジーを新たな段階に進ませるためには、どうしても新しい理論・技術体系の構築に力を入れることが必要となる。そこで、ナノ低温バイオメディカルテクノロジーが機運に乗じて生まれてきたのである。

二、ナノ低温冷凍治療学の提起

 最近、伝統的冷凍外科手術に制約を与えている治療上のボトルネックを打ち破るために、われわれはナノテクノロジーと低温医工学を結びつけることにより、先進的な腫瘍低侵襲治療法の学術理念を発展させることを初めて提起するとともに、それに相応したメカニズム分析、試験研究、医療機器開発などの方面でも重要な進展を収めてきた[13-22]。この方法の最も早期の試みは、本論文の筆頭筆者とその学生の数年前の研究[23, 24]に端を発しているが、その後、この理念がしだいに明らかになり、ナノ医学において重要な意味を持つ学術概念――ナノ低温冷凍治療学 [15, 16, 25]を定義づけ、調整し、作り上げるに至った。研究室のこれまでの成果の一部はCryobiology[13, 14]、国際伝熱界総説シリーズAdvances in Numerical Heat Transfer[20]、アメリカ物理学会刊行物Journal of Applied Physics[22]、ナノ医学刊行物Nanomedicine[10]といった低温生物医学界の刊行物に相次いで発表され、筆者が国内外のナノ冷凍治療学研究の方面での進展をめぐって執筆した長編の論評・文章は、ナノサイエンス及びナノテクノロジー分野の刊行物Journal of Nanoscience and Nanotechnology[26]に発表されている。最近、筆者はまた多くの国内外の学術会議や機関の招請に応じ、基調報告や学術講座(第46期国際低温生物大学; ナノ低温バイオメディカルテクノロジー―新たなる学科最先端、 第6回全国低温生物医学・器械学術大会)を行った。言及に値するのは、ナノ冷凍技術が、国際的に著名な出版社Springer が2009年初めに出版した低温生物学の英語の専門書[27]にも記載されたことである。

 周知のように、ナノ粒子とは通常、サイズが1~100nmの間にある粉末のことを指す。物質のサイズがナノレベルに入ると、その物理化学的性質に往々にして突然の変化が生じ、熱学的(引き起こす氷晶挙動を含む)性能及び生物学的効果にもそれにしたがって質の転換が生じ、多くの特有の性質(量子サイズ効果、表面効果など)が現れる。ここから派生してくる大量の新たなミクロン/ナノ、さらにはマルチスケールの相転移における生物伝熱の問題は、非常に重要な理論的・学術的意義と臨床上の参考価値を有している。筆者の研究室のこれまでの理論と試験研究が明らかに示しているように[13, 14-26, 22]、一定量のナノ粒子懸濁液を標的組織部位に注射すると、その降温速度、氷晶核生成率、冷凍範囲を著しく高めることができ、それによって通常の冷凍プローブの凍結能力が大きく拡大される。特に、ナノ粒子のローディングにより、標的組織内の氷晶の核生成確率と氷晶量は著しく高められ、それにより腫瘍細胞に対してより徹底的な殺傷がもたらされる。さらに、特定の機能画像効果を具えたナノ粒子の導入により、冷凍治療プロセスにおける氷球の成長過程をB超音波、MRI、X-CT等を通じて、いっそう監視しやすくすることで、より精確な腫瘍ターゲット治療の実現へと導くことができる。いくつかの状況下では、さらに抗腫瘍薬物を帯びたナノ粒子を利用して標的腫瘍に入り込むことにより、冷凍過程と結びついて腫瘍細胞に対する多重殺傷を行うこともできる[16]。以上からわかるように、ナノ冷凍手術は伝統的冷凍外科の治療内容を著しく拡大している。すべてのこれらのプロセスにおいて、サイズの小ささゆえに、ナノ粒子のローディングは非常に簡単である。人々は特定の熱物性を具えたナノ粒子懸濁液を特定の部位に送達することにより、一つの手っ取り早い方法によって冷凍過程における氷球の成長方向、形状、大きさをコントロールできるようになったが、このことは腫瘍治療の精確化、コンフォーム化を実現する上できわめて重要な意味を持っている。総じて言えば、ナノテクノロジーはひとたび低温手術と結びつくと、伝統的な腫瘍冷凍治療の効率を大きく引き上げ[15]、またそれを真の意味での「分子」化、「低侵襲」化へとさらに向かわせることが期待できる[25]。

三、ナノ冷凍治療学の研究の進展

3.1 標的組織の冷凍効果のコントロール

 ナノ冷凍手術が伝統的低温手術を越えている優位性の一つは、それが標的組織の冷凍、ひいては殺傷効率を著しく高めることができる点にある。関連の研究結果がはっきりと示しているように[13, 14]、高熱伝導率ナノ粒子のローディングが生み出す冷凍効果の向上は、非常に顕著である。しかも、異なるナノ粒子懸濁液を注射することで、それぞれ異なった冷凍増強効果が生じるので[16, 22]、この特性は低温手術における標的組織に対する冷凍効果のコントロールに用いるのに適している。

 冷凍治療を強化する手段としてだけでなく、生物組織とは相容れるが熱伝導性のかなり劣るナノ粒子を採用すると、さらに特殊部位の伝熱を弱化または抑制するという目的も達成することができ、これは重要な組織や臓器が低温手術の中で冷凍損傷を受けるのを防ぐ上で非常に有用である。冷凍外科手術において、正常な組織がプローブ放冷量の漏出によって引き起こされる強烈な冷凍損害を受けないようにすることは、一貫して一つの重要な問題であり[3]、患者の入院期間と回復周期を短縮する上できわめて重要である。この面で、低熱伝導率ナノ粒子材料及び抗凍性能を有するいくつかのナノ溶液の導入は、上記の難題を解決する助けとなる[25]。全体として、ナノ冷凍手術は凍結過程のコントロール及び治療効果の向上という面で、便利で融通性に富んだ一つの手段を提供している。

3.2 氷晶の成長の強化

 ナノ冷凍治療には伝統的低温手術に比べて、多くの優れた点がある。細胞の低温損傷という角度から見ると[9, 12]、細胞内氷晶形成は一つの致死要因であり、その細胞骨格、細胞器官、細胞膜の殺傷は二つの重要なパラメータ―冷却速度と細胞内の核生成確率によって決定される。ひとたび一定数量のナノ粒子が細胞内に沈積すると、上記の二つの要因はいずれも著しく増強されることが期待でき、そのことはわれわれの最近の研究においてすでに実証済みである[16]。

 ナノ冷凍手術の重要な役割は、標的組織の降温速度と降温レベルを著しく高めることができるだけでなく、細胞内核生成の確率を大きく引き上げ、それによって腫瘍細胞の殺傷を助けることにもある。文献[16]において、われわれは核生成理論を持ち込むことにより、ナノ冷凍手術のメカニズムの一歩進んだ解釈を行った。結果が示しているように、ナノ粒子の細胞への導入は、細胞内の不均一相核生成確率を著しく高めるので、それにより標的腫瘍細胞に対するより大きな冷凍殺傷効果がもたらされる可能性がある。

3.3 腫瘍のコンフォーマルナノ冷凍治療

 臨床で出会う腫瘍はほとんどが複雑な形状を持っており、そのため最適な冷凍範囲を確保することは非常に重要である。一般に、低温手術において組織及び細胞の損傷を決定する主な要因は、冷凍過程の中で達する最低温度、当該温度下での停留時間、冷凍―復温の循環回数、降温・復温速度などであると考えられている[9]。組織損傷は多くの要因が一緒になって決定しているが、しかし研究によれば[11]、組織の温度がある臨界値まで下がると損傷が引き起こされる可能性があり、組織によってこの臨界値は多少異なり、通常は-20℃~-70℃の間であることも明らかになっている。したがって、臨界温度の等温線(面)は通常、組織に致命的損傷が発生する境界であると考えられている。これらの要素に基づき、外科医は冷凍メスの挿入方位などのパラメータを調整することによって、ターゲット部位の腫瘍ができるだけ臨界等温線(面)内に含まれるように保証することができ、同時に周囲の健康な組織に対する殺傷をできる限り減らさなければならない。治療プロセスにおいてプローブが産生する氷球は標的腫瘍の境界の一定範囲を越えていなければならず、さもなければ腫瘍細胞を徹底的に壊滅させることはできない[3]。実際のプロセスでは、腫瘍形状の複雑さ、大血管の存在、冷凍プローブの挿入方位の制限により、各プローブの間に冷凍不足によって起きる「治療の死角」が出現することがあり、これはしばしば腫瘍の再発を誘導する要因となる。そのため、塊状腫瘍の伝統的治療プロセスにおいては、往々にして多数の冷凍プローブを導入することが必要となり、最も多い場合には20個を超えてしまうが、明らかに、これによってもたらされるプローブの機械的挿入による創傷は非常に深刻である。したがって、いかにして低侵襲な方法で「死角」の発生を避けるかということが、腫瘍の低温冷凍治療におけるきわめて重要な問題となっている。われわれの最近の研究によれば[21]、この問題はナノ冷凍治療技術を採用することで、かなりうまく解決できることが明らかである。高熱伝導率ナノ粒子懸濁液の導入により、もともと冷凍プローブによってカバーされ得なかった部位が、同じような冷凍メスの働きの下で冷凍され、壊滅させられることが可能になる。ナノ粒子の冷凍強化の問題については、赤外線サーモグラフィイメージング方法の助けを借りて、はっきりと描出することができる[19, 20, 28]。明らかに、さまざまな量のナノ溶液のローディングによって、組織における冷凍過程が容易にコントロールされるため、高度にコンフォーマルな腫瘍冷凍治療の実現にとって有用である。総じて言えば、新しい方法は冷凍殺傷範囲のコンフォーマルコントロールの面で優れた特性を示している。

3.4 ナノ材料が氷球のイメージング解像度をアップ 

 近年、磁気共鳴イメージング、コンピュータ断層撮影、超音波イメージング、光学イメージング技術等といった一連の医用画像技術の低温外科分野における応用にともない[9]、冷凍手術中の組織内の凍結氷球が画像の形でディスプレイ上に示されるようになったため、臨床医は氷球の成長や消融を「見守り」ながら、冷凍手術の実施経過を効果的にコントロールすることができるようになり、低温手術はデジタル化、画像化へと大きく踏み出すことができた。だが、現有の医用イメージング方法には、低温手術中の組織内の氷球を監視するという面で、たとえば、氷球の画像の質があまり明瞭でない、標的対象の解像度とコントラストが今ひとつである、三次元動態イメージングにまだ難点がある、標的組織の機能画像が十分に得られない等、なおさまざまな制約が存在している。全体として、比較的万全な、低温手術中の組織内の凍結氷球の大きさ、組織の解剖構造、ひいては温度情報などを同時に監視できるイメージング方法は、まだまだ少ない。

 間違いなく、ナノ画像技術の導入は低温外科手術のために強力なツールを増やした。適切な画像増感剤を選ぶことにより、伝統的イメージング方法の精度と品質を著しく高めることが可能になった。このことは近年のいくつかの分子画像技術の中にすでに具体的に表されている。ナノ冷凍手術の画像監視は、これらの成果を全面的に参考にすることができる。低温手術の画像誘導機器を開発するためには、特殊な物理的性質を具えたいくつかのナノ粒子材料を探し選別して画像増感剤とすることによって、MRI、超音波、X-CT、PET等設備が確実に高品質の画像を得られるよう保証すればよい[15, 16, 25]。たとえば、超音波イメージングのプロセスにおいて、コントラスト剤はできるだけ高い超音波散乱特性を具えているべきであり、しかも、その粒子サイズは、毛細血管を通じて輸送することができるよう、できるだけ小さくなければならない。この方面では、最近開発された高効率超音波イメージング増感媒体として、微泡、フルオロカーボン類ナノ粒子乳状液などがある。一方、磁気共鳴イメージングの増感剤として適当な候補材料には、超常磁性酸化鉄ナノ粒子がある。光学イメージングについて言えば、適度な光学的コントラスト特性を具えた材料をできるだけ選択しなければならない。明らかに、最も理想的な状況は、一つの良好なナノ粒子媒体が優れた凍結強化と画像品質増強の機能を同時に具えていることである。そうすれば、ナノ粒子は冷凍手術の性能をアップする強化機能を果たすだけでなく、手術の前後に病状や治療効果の診断を行う媒体の役もつとめられるので、臨床医が合理的な治療計画を立てる上で助けとなる[25]。

四、生物材料のナノ低温保存技術に関する研究の進展

 低温冷凍保存技術は生物材料の長期保存を実現する重要な方法であり、組織工学、臓器移植などの医学分野で広く応用されている[10]。近年、大量の医学臨床実践が必要になるにともない、複雑な生物学的対象に対する保存がすでに日程に上がってきている。生物材料は低温下で長期間保存ができるが、降温及び復温の過程で溶液凍結、溶解、溶液浸透圧の変化といった要因の作用を受けてごく簡単に損なわれてしまう。多くの要因のうち、降温速度の大きさ、低温保護剤の種類と添加方式、復温方式は、細胞の低温損傷の程度に対する影響が非常に大きい。Mazurの提示した「二つの要因による損傷」という仮説によれば、それぞれの生物サンプルには、いずれも一つの最適な冷却速度が存在し、生物サンプルはその冷却速度下において損傷を最小にすることができる[12]。他方で、低温保護剤の添加は生物材料の低温損傷を大きく減らすことができるが、しかし不適切な低温保護剤はべつに細胞に対して保護効果を発揮できるわけではなく、例えば、高すぎる低温保護剤濃度は生物細胞に対し毒性を生じることがある。したがって、どのような低温保護剤を選ぶか、最適な保護剤濃度はどれくらいかということは、生物冷凍保存の実施において必ず考慮しなければならない問題である。これらはすべて、いかにしてより上手く低温保存を実現するかという問題を提起している。同様に、ナノテクノロジーはこの方面でも日増しに重要な役割を果たしている[29-33]。

 低温保存においては、降温・復温段階のいずれも保存する生物材料に損傷をもたらす可能性があることを考慮し、筆者の研究室はこれまで主にこの二つの面から、生物材料のナノ低温保存技術について一連の探索・研究を行ってきた[28-31, 33]。降温に関しては、異なるナノ粒子の添加されている低温保護剤溶液の示差走査熱量曲線を系統的に研究し、その熱学的性質の変化法則を分析するとともに、ナノ流体の均一相・不均一相核生成理論から、ナノ粒子の凍結過程に対する影響と、その低温保存における潜在的応用価値を明らかにした[29-31]。復温については、われわれは磁性ナノ粒子の助けを借りたマイクロ波強化復温方法を提起したが、研究結果によれば、この方法は復温速度を大きく引き上げ、復温過程における温度分布の均一性を保証することができるため、不均一な復温及び復温速度の遅さが生物材料にもたらす損傷を効果的に防止することができる[33]。最近、さらに多くの研究者たちも生物材料のナノ低温保存技術に関する研究に着手しているが[34]、筆者らは示差走査熱量計を利用して、低温保護剤溶液の核生成温度及び過冷却度に対するナノ粒子の影響についてテストを行い、それが晶核の形成を著しく促し、溶液の過冷却度を下げることができることを証明した。総じて言えば、世界的に現在この方面の研究はほとんどがまだ模索段階にあり、大量の系統的かつ深く掘り下げた研究の展開がいまなお必要である。

五、ナノ低温生物医学の研究における問題と挑戦

 ナノ低温手術は、最も新しく出現したマイクロ熱学とナノテクノロジーに根ざしていると言わなければならない。事実、ナノテクノロジーはひとたび登場すると、現代の医学技術と関連分野に対し重要な影響を与えた[5, 9, 35]。その異彩を放つさまざまな革新の中で、磁性ナノ粒子、ナノゴールドを採用して実現した腫瘍ターゲット温熱療法こそは一つの際立った例である[36]。現在、ナノ医学はすでに世界的規模での学術研究の人気テーマとなっており、そのことは広い専門分野にわたる大量の国際的著名刊行物に発表されているオリジナル研究、論評、論文、さらには特許出願からも、その一端をうかがい知ることができる[37]。人々は、ナノ医学がまさに現代のナノテクノロジー分野の最も重要な方向の一つとなりつつあることを、広く認めている。世界的規模で大量に報道されている科学ニュースからわかるように、ナノバイオメディカルテクノロジーにおいていち早く優位に立つために、世界各国は続々と巨資を投じてナノ医学の研究と開発を加速している。中国では、「第10次5か年計画」と「第11次5か年計画」の期間中、「973」、「863」計画を通じて、多くのナノ医学、ナノ薬物の重要な研究プロジェクトが配置され、国家自然基金委員会は関連テーマの資金援助の面で急速な増加の傾向をいっそう体現し、中でもナノ温熱療法はとくに多くの学術分野から広く重視された。これに比べると、ナノ冷凍治療の研究は今なおスタート地点にあり[25]、この方面については大量の基礎・応用研究を行うことがさらに必要である。

 学問の発展から見ると、ミクロン/ナノスケール伝熱学はすでに世界的規模で新たな研究の最先端となっており[38]、中でも生物伝熱と物質移動の問題に関する研究はとりわけ注目を引いている新しい成長ポイントである。筆者の研究室はこれまでナノ低温バイオメディカルテクノロジーの研究・探索の面で、細胞レベルを含む生物組織に関連した、早急に解決を要する大量の新しい生物熱学の問題及びメカニズムを提示してきたが、それらは新技術の実際への応用促進を制約しているキーポイントである。これらの問題の深く掘り下げた研究は関連学科の新しい理論体系[25]を豊かにし、開発する助けとなり、それによってナノ低温生体医工学という重要な分野のハイスピードな発展を促している。

 低温外科手術において、生物組織は降温凍結と昇温溶解という相転移プロセスを経なければならず、その中で多くの非常に複雑な伝熱及び血液流動の問題と関わりが生じることになる。高効率のナノ冷凍外科手術を展開するためには、どうしても降温過程における組織の温度応答規則を深く掘り下げて研究することが必要であり、それは生物伝熱学の理論モデルの構築と解明にも関わってくる。この方面の研究は、細胞、亜細胞レベルから組織、臓器さらには生命個体全体内の伝熱・物質移動現象までを含んでいる。ナノ冷凍手術概念の導入においては、マイクロスケールから上記のいくつかのレベルについて探究を行うことが必要である。

 このほか、近年に得られた一つの新たな認識は、生物組織における血管加熱効果は、腫瘍冷凍治療の成功を甚だしく制限してしまうということである。解剖学的に、腫瘍組織には常に大量の血管が含まれていたり、大血管が貫通していたり、あるいは瘤体自体が大血管に接近していたり、直接血管にできていたりする[3, 9]。降温過程では、温かい血液対流の提供する熱量が、血管と隣接した周囲の凍結組織内に比較的大きな温度勾配を引き起こす[39, 40]。そのため、大血管の周辺にあるそれらの腫瘍病巣について、もしもその内部の血液流動の相転移伝熱における影響の効果について評価を行わず、ひいては採用する降温プログラムについて厳密な計画を立てなかったならば、手術の最終的な失敗を招く可能性がある。一方、冷凍不足によってもたらされた血管内に残留している腫瘍細胞は、血管に沿って拡散することにより、腫瘍の転移と再発を誘発する可能性がきわめて高い。反対に、腫瘍が人体にとって重要な大血管に接近している場合は、プローブが血管にもたらす損傷をできる限り減らして、生命の危険を招かないようにしなればならない。大血管を巻き添えにする非常に厄介なこの種の複雑な腫瘍に対しては、優れた適応性を有するナノ冷凍外科手術が、そのコンフォーマル冷凍治療の問題を解決する上で助けとなる。現在この方面の研究はすでに優れた結果を出しており[20]、さらなる研究が積極的に進められているところである。

 ナノ低温保存において、生物材料は同様に降温凍結と昇温溶解の相転移プロセスを経なければならず、しかもそれがこのプロセスの中で損傷を受けるのを防がねばならない。その中で関わってくる伝熱法則と損傷メカニズムはきわめて複雑で、直面している挑戦は同様に非常に厳しいものである。現在、低温保護剤の性質に対するナノ粒子の影響メカニズムはまだあまりはっきりしていないが、ナノ粒子と溶液分子の間の相互作用を深く掘り下げて研究すれば、ナノ低温保護剤が降温及び復温の過程で生じる一連の熱学的変化がよりきちんと分析でき、それによって生物材料のナノ低温保存のために強固な理論的基盤を提供することができる。

 以上をまとめると、今日、ナノ低温生体医工学の提起によって派生してきた一連の重要な科学的問題と挑戦には、大まかに要約すると以下のような、だがそれだけにはとどまらない内容[25]が含まれている――冷凍または復温の過程で関連してくるミクロン/ナノスケール(細胞、微小血管等)の生物熱応答、熱損傷メカニズムの理論的説明と実験解説、ミクロン/ナノスケールにおける生物材料とナノ粒子の相互作用メカニズム、ナノ粒子がローディングされている生物組織の熱伝導率、比熱、相転移潜熱、相転移温度といった熱物性基礎データのインビトロまたはインビボ測定、それらに相応した物理的メカニズムの理論的解釈、ナノ粒子の細胞・組織・血管内における輸送特性の研究、先進的ナノ低温冷凍設備の研究開発、腫瘍ナノ冷凍治療の数値計算方法の確立及び対象に合わせた治療計画ソフトウェアの研究開発などである。

六、結びと展望

 ナノテクノロジーとバイオメディカルテクノロジーの結合は、一方でナノサイエンステクノロジーの発展を後押しし、同時に先進的なバイオメディカルテクノロジーの発展のためにも新しいチャンスを提供してきた。本論文では多くの異なる側面から、低温治療及び低温保存の分野におけるナノテクノロジーの進展と成果を総括し、特に画期的な低温バイオメディカルテクノロジーを発展させる上でのナノテクノロジーの重要な啓示的意味について検討した。本論文が集中的に検討を行ったナノ冷凍治療学は新しい学術理念に属し、近年、腫瘍低侵襲治療、低温生物医学、ナノテクノロジーと生物伝熱学との結合によって登場した新しい考え方であり、そこから派生してきたナノ相転移における生物熱物理学の問題は今日の学科の最先端であって、関連の概念は伝統的な冷凍外科思想の局限を越えている。ナノ冷凍治療の過程において関わってくる氷晶の核生成強化と相転移伝熱のメカニズムには、非常に重要な学術的意義と実際的な応用の将来性がある。これに相応した研究は、細胞内外の熱プロセス、熱メカニズム、さらには生命熱現象等を理解する上で基礎科学としての価値を有しており、それ自体、腫瘍介入治療、医学生物学、熱科学、ナノテクノロジー等といった多くの学科の奥深い発展の要件でもある。特に、新しい方法は氷球の成長方向と強度のコントロール、腫瘍のコンフォーマル治療の確保、医用イメージングの解像度向上などの面で伝統的手段よりも著しく優れているため、予想される臨床応用において実用価値がきわめて高く、それらに相応した研究は高効率の物理的ターゲット治療の発展のために新たな道を切り開いてきた。それと同時に、ナノ低温保存技術の発展も複雑な組織、臓器、さらには生体生物保存の方向へと進みつつあり、学界のこれに相応したメカニズムについての研究もますます深化し、斬新な医学生物学的応用が派生するに至っている。要するに、低温外科と低温保存はナノテクノロジーの導入によって目覚ましい変貌を遂げようとしており、これに相応した基礎・応用研究の大きな進展は、低温生体医工学分野全体の飛躍的発展を促す可能性がある。

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