特集巻頭言:資源循環利用技術
中国科学技術月報2009年10月号(第36号) 2009.10.1発行
はじめに
「グリーンニューディール政策」は、2009年1月に就任したアメリカのオバマ大統領が大々的に打ち出したことで世界的な注目を集める政策となりました。主な内容は、今後10年間、再 生可能エネルギーへ1500億ドルの投資を行うことや500万人のグリーン雇用の創出など、雇用創出と環境・エネルギー政策を結び付けたもので、これまでのアメリカ経済において当然視されてきた大量生産、大 量消費、大量廃棄といった方向から新しい社会経済システムへの移行を目指す画期的な試みと言われています。
日本、中国においてにも、従来型の大量消費・廃棄型の社会経済システムから脱却し、社会の持続可能な成長を目指して数々の研究が進められてきました。その中で、廃棄物の発生を極力抑え、発 生した廃棄物は環境に負荷を与えないように再利用や再資源化する「資源循環型社会」構築は重要な位置を占めています。特 に急激な経済成長に伴う都市人口の大幅な増加とそれに伴う深刻なごみ問題に直面している中国にとっては「資源循環型社会」に関する科学技術は大きな意味を持つものであります。
今回の特集では、そうした「資源循環型社会」に向けての両国の取り組みや最新の科学技術をご紹介するものであります。本特集が読者の皆様の一助になりましたら幸いです。
中国総合研究センター
記事一覧
「炭素資源循環技術-水熱によるバイオマスとCO2の資源への転化」
「亜臨界・超臨界水によるバイオマス廃棄物の有効利用技術の開発」