第179号
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時代と共に発展―科学イノベーション協力で中国・ウクライナ関係を強化

2021年08月16日 張 浩(科技日報駐ウクライナ記者)

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駐ウクライナ中国大使の范先栄氏は「中国・ウクライナ豆類、穀物、油料作物貿易展望オンラインシンポジウム」に出席し、「中国・ウクライナ両国の貿易規模が近年拡大を続け、農産物貿易が両国の貿易急成長に極めて重要な役割を果たしている」と述べた(資料画像)。

在ウクライナ中国大使館科学技術部の張明参事官を訪ねて

 在ウクライナ中国大使館科学技術部の張明参事官はこのほど筆者の取材に対し、「中国とウクライナの科学イノベーション協力は終始、党中央の国際科学イノベーション協力に対する方針と政策を断固として堅持し、中国の中長期と現在の発展の現実的ニーズに向け、新たな発展段階に入り新たな発展理念を貫徹し新たな発展構造を構築するという新たな要求に基づき、鍵となる分野と基礎研究の面で着実に推進中だ」と述べた。

時代の流れに乗り、イノベーションを切り開く

 ウクライナは従来から科学技術強国で、科学研究の基礎が厚く、人材の強みが明らかだ。中国とウクライナは科学技術分野で終始、良好な協力関係を保っており、材料、機械、エネルギー、医薬品、農業、情報技術、基礎研究などの分野で一連の協力を展開している。

 張参事官は、「双方の協力の需要の発展変化に適応するため、協力機関は時代と共に変わり、協力の内容と形式を刷新し、協力をさらに深め、実り多い成果を上げた。特に(2012年の)中国共産党第18回全国代表大会以降、中国・ウクライナの科学イノベーション協力は高効率で実務的、互恵・ウィンウィンを原則とし、協力形式を刷新し協力分野を拡大し協力の質を高め、多くの実務的な成果と重要なブレイクスルーを遂げた。両国の経済・社会発展の重要な科学技術問題の解決、国民の生活水準の向上、国民の友好促進に積極的な役割を果たした。ウクライナ教育科学省、ウクライナ国立科学アカデミーはそれぞれ2018年と19年に、駐ウクライナ中国大使に「中国・ウクライナ科学技術協力重要貢献賞」と「科学発展促進賞」を授与した。この2つの賞はいずれもウクライナが初めて設立し中国大使に授与したもので、ウクライナ政府が両国の科学イノベーション協力を高く評価していることが十分に現れている」と述べた。

イノベーション駆動で強く大きく

 ウクライナのパトン溶接研究所は、材料溶接分野の世界トップの科学研究機関で、世界の工業の歴史における数多くの奇跡を生み出した。張参事官によると、パトン溶接研究所との協力を強化するため、中国・ウクライナ双方の研究機関は中国科学技術部(省)の力強いサポートを受け、「中国・ウクライナパトン溶接研究院」を共同建設し、両国の科学イノベーション協力の新モデルを作った。

 2019年の第2回「一帯一路」(the Belt and Road)国際協力サミットフォーラムにおける習近平主席の提案に応じ、同時に両国の科学技術協力の成果をさらに固め、協力モデルを刷新するため、中国科学技術部は2020年に中国・ウクライナパトン溶接研究院を基礎とし、哈爾浜(ハルビン)工業大学とウクライナ国立科学アカデミーパトン溶接研究所と共同で、中国・ウクライナ材料接続・先進製造一帯一路共同実験室を設立した。同実験室は両国の先端溶接・材料分野の先進技術と人材の強みを集約し、将来的に両国のイノベーション協力のモデル拠点を建設する。

共に苦しい時を乗り越え、友好を促進

 両国の科学イノベーション協力の過程で双方は成果を上げたうえ、友情を結んだ。張参事官によると、2020年の新型コロナウイルスの流行初期、ウクライナの科学技術界の友人から次々と温かい言葉をかけられたという。この頃に彼らは防疫物資を中国に送っていたが、ウクライナで感染状況が日増しに深刻化すると、中国国民もウクライナに対する支援を行った。感染症は人の往来を不便にしたが、双方は積極的に困難を克服し、喜ばしい成果を上げた。

 感染症を背景に、2020年中国・ウクライナ宇宙協力小委員会第6回会議が動画形式で開催され、次の段階の協力計画が決定された。また双方の国家宇宙局に見守られながら、西北工業大学とキエフ工科大学は「中国・ウクライナ宇宙科学共同実験室」共同建設協定に署名した。これは両国が宇宙分野の科学イノベーション協力で新たな段階に上がったことを示している。中国・ウクライナ政府間科学技術協力小委員会第4回会議の枠組み内の科学技術交流プロジェクトの募集活動も、感染症が猛威を振るうなか順調に開始され、さらに今回のプロジェクト申請件数は再び記録を更新した。これは両国の科学イノベーション協力の大きなポテンシャル、双方の協力の意欲の持続的な強化を十分に示した。

 張参事官は最後に、「両国の科学イノベーション協力は党の指導のもと、長年の発展を経て、政府が主導し民間が積極的に交流する良好な雰囲気を形成した。双方の協力形式はすでに従来の単一的なプロジェクト協力から、人材育成、共同研究開発、ハイテク企業と共同研究開発センターの共同建設などのより効果的で深化した協力モデルに徐々に転じている。両国の科学技術融合のさらなる向上、互恵・ウィンウィンを実現する場を提供した。将来的に両国の科学イノベーション協力は一帯一路の質の高い発展を支え、イノベーション型国家建設の加速を目標とし、積極的に一帯一路のイノベーションの道の建設に寄与する。複数の主体・複数のレベルの一帯一路科学技術イノベーション協力を深化し、世界のイノベーションネットワークに深く融合し、人類運命共同体の建設推進により多くの科学技術の力を貢献するだろう」と強調した。


※本稿は、科技日報「与時倶進 科創合作助力中烏関系穏歩前行」(2021年6月21日付4面)を科技日報の許諾を得て日本語訳/転載したものである。