日中大学間交流協定の調査と分析(その3)国立大学の3分の1が中国に拠点
鈴木 暁彦(中国総合研究センター フェロー) 2012年11月19日
日本の大学が中国に設置した拠点
中国に拠点を設置している日本の大学は57校で、大学全体の7.4%に当たる。大学設置形態別に見ると、国立大学は33.7%に当たる29校が設置。一方、私立大学は27校で、全体の4.5%、公 立大学は1校で、1.3%にとどまっている(図1参照)。
図1 大学設置形態別に見た中国拠点設置大学の比率
図2 大学設置形態別に見た大学の数と拠点数
日本の大学が中国に設置した拠点は、57の大学で97拠点となっている。大学設置形態別に見ると、国立大学は29校が計63拠点、私立大学は27校が32拠点、公立大学は1校で2拠点である(図2参照)。
中国と交流協定を締結した大学と拠点を設置した大学について、大学設置形態別に分析すると、交流協定を締結した大学(全465校)は私立大学が71.0%を占め、国立大学は18.3%、公 立大学が10.8%となっているが、拠点設置大学(57校)は国立大学が50.9%を占め、私立大学が47.4%、公立大学は1.8%だった。拠点数(97拠点)を見ても、国立大学が全体の64.9%を占め、私 立大学は33.0%、公立大学は2.1%だった(図3、4参照)。
図3 大学設置形態別に見た交流協定と中国拠点がある大学の比率
図4 大学設置形態別に見た拠点設置大学と拠点数の比率
中国に拠点を置いた大学1校当たりの拠点数は、全大学平均で1.7カ所、国立大学が2.2カ所、公立大学が2.0カ所、私立大学が1.2カ所だった。
図5 大学1校当たりの中国拠点数
中国拠点の活動内容
中国拠点は、具体的にどのような活動をしているのだろうか。活動内容によって11の分野に分類したものが、表1である。
記号 |
中国における拠点の活動内容 |
件数 |
a |
現地での日本語教育提供 |
9 |
b |
学校教育提供 |
5 |
c |
留学生募集活動 |
49 |
d |
留学・インターンシップの現地での支援 |
38 |
e |
帰国した留学生・外国人研究者とのネットワーク維持・構築 |
43 |
f |
職員の海外研修 |
15 |
g |
研究者招聘募集活動 |
13 |
h |
我が国研究者の現地研究サポート |
63 |
i |
現地の教育・研究事情の情報収集 |
57 |
j |
海外広報活動 |
44 |
k |
その他 |
7 |
具体的な活動内容は多い順に①(h)我が国研究者の現地研究サポート、②(i)現地の教育・研究事情の情報収集、③(c)留学生募集活動、④(j)海外広報活動、⑤(e)帰国した留学生・外 国人研究者とのネットワーク維持・構築、⑥(d)留学・インターンシップの現地での支援であった。
表1をグラフにしたものが図6である。
図6 中国拠点の活動内容に関する分類ごとの集計
上記グラフの大学設置形態別のデータは表2の通りである。
記号 |
a |
b |
c |
d |
E |
f |
G |
h |
i |
j |
k |
私立 |
7 |
2 |
23 |
14 |
14 |
2 |
2 |
11 |
18 |
14 |
1 |
公立 |
|
|
|
|
|
|
|
2 |
2 |
|
|
国立 |
2 |
3 |
26 |
24 |
29 |
13 |
11 |
50 |
37 |
30 |
6 |
全体 |
9 |
5 |
49 |
38 |
43 |
15 |
13 |
63 |
57 |
44 |
7 |
この項つづく