【22-014】財政部、「中央所属大学基本科学研究業務費に関する管理方法」を更新
JST北京事務所 2022年03月18日
財政部は中央所属大学[1]科学研究、人材育成、大学による国家発見戦略へのサポートを強化するため、2016年に制定した「中央所属大学基本科学研究業務費[2]に関する管理方法」[3]を修正して新たに発表した。人民網が伝えた。以下にその概要をまとめる。
今度修正された「中央所属大学基本科学研究業務費に関する管理方法」(以下、新「管理方法」と略す)では、中央所属大学に配付した中央所属大学基本科学研究業務費以下、「業務費」と略す)の使用について、40才未満若手研究者の科学研究・イノベーション能力の向上、在籍の優秀学生の科学研究基本能力の向上、一流のリーダーシップ型科学技術人材とイノベーション創出チームの育成、科学研究・イノベーション創出プラットフォームのキャパシティービルディング、学科横断型の基礎・基盤・戦略的研究の推進、科学技術基盤の強化などを重点的に支援するよう求めている。
支出と決算管理について、新「管理方法」は、業務費年度予算の5割以上を若手研究者へ割り当てることを義務づけ、そして給与や大学の公共管理・運営費などへの流用禁止などを決めている。
このほか、新「管理方法」は、業務費で形成した資産を国有資産として定義し、その中の研究成果と科学データなどが大学によって統一的に管理されることを規定している。
「中国所属大学基本科学研究業務費に関する管理方法」は、財政部と教育部によって、一定の年数を経た後の新しい状況を踏まえて修正され、継続的に発表されている模様。前回の修正と発表は2016年9月。
今回廃止された2016年制定の「中国所属大学基本科学研究業務費に関する管理方法」(財教〔2016〕277号)(以下、旧「管理方法」と略す)と比較すると、新「管理方法」は主に以下の変化があるとみられる。
・ 業務費の用途について、新「管理方法」に、一流のリーディング科学技術人材と科学研究・イノベーション創出チームの育成を追記。また、40才未満若手研究者への支援について、旧「管理方法」で記述された「科学研究基本能力の向上」を、「科学研究・イノベーション能力の向上」に修正、そして在籍の学生への支援について、旧「管理方法」の「科学研究・イノベーション能力の向上」を、「科学研究基本能力の向上」に修正した。【第2条】
・ 新「管理方法」は、若手研究者支援に支給する業務費の割合が年度予算の50%を下回ってはならない旨の内容を追加した。【第13条】
・ 新「管理方法」は、大学が国の戦略を配慮し、課題・需要に応じた基礎研究、フロンティア探索、及びリーダーシップ人材育成などを実施すべきことと、資金使用効率の向上を図るパフォーマンス重視を新たに盛り込んだ。【第3条の(三)、(四)】
・ 新「管理方法」は、業務費による研究について、「テーマを自主的に決める課題」(データベースを作り、状況に応じて動態的調整を行う)、「リーディング人材と優秀な若手研究チームの育成プロジェクト」(科学のフロンティア研究センター、集約型プラットフォーム、協同イノベーションセンターによる一流のリーディング人材に率いられるイノベーションチームや強いオリジナルなイノベーション能力や潜在力を有する若手人材による分野・領域横断チーム)の両者に分けて進めていくことを明確にした。【第10条】
・ 業務費の使用状況に関する主管部門の関与について、旧「管理方法」にあった「業務費の中期的なパフォーマンス評価を、一般的には3年に一度行う」は、新「管理方法」では、「全過程のパフォーマンス管理を行う」に改められた。【第5条】
・ 業務費の年度内の余剰金に関して、旧「管理方法」にあった「年度繰越の余剰金は、国の関連規定に基づいて管理する」を、新「管理方法」は「年度の余剰金は次年度へ繰り越すことができる。プロジェクトの任務目標を完成し検収に合格した場合、余った資金は大学が統一的に科学研究活動へ直接使うことができるが、元チームの科学研究の需要を優先的に考慮すべきである」に修正した【第17条】。これは、2021年8月に国務院から公布された「国務院弁公庁の中央財政科学研究費管理の改革・改善に関する若干の意見」[4]を踏まえた修正とみられる。
・ 新「管理方法」では、財政部、主管部門および関係者による業務費の配分・使用、審査管理などにおける不正行為、および大学およびそのスタッフによる業務費の申請、使用などにおける不正行為を行った場合に、法的処罰まで責任を追及する不正対策制度を導入した。【第24条】
・ 業務費の使用について、新「管理方法」は、旧「管理方法」にあった「40万元以上の大型機器・設備を購入してはならない」という規制を廃止した。【第14条】
1 中央所属大学とは、中国語で「中央高校」又は「中央部所属高校」といい、教育部をはじめとする国務院の各部・委員会(省庁に相当)に直属する大学のことである。
3 关于印发《中央高校基本科研业务费管理办法》的通知(财教〔2016〕277号)
关于印发《中央高校基本科研业务费管理办法》的通知财教〔2021〕283号
4 参照:2021年10月7日 北京便り 「国務院弁公庁の中央財政科学研究費管理の改革・改善に関する若干の意見」
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