経済・社会
トップ  > コラム&リポート 経済・社会 >  File No.23-21

【23-21】"厦門国際銀行教育発展基金"の運用が開始

小松義隆(アジア・太平洋総合研究センター フェロー) 2023年03月31日

 2022年2月24日に、厦門国際銀行と中国科学院大学経済経営学院(以下、UCASとする)との間で、"厦門国際銀行教育発展基金"に対する寄贈式が中関村キャンパスで行われた。今回の基金の設立はUCASにおける科学的発展を支援するものであり、研究、人材育成、人材チームの構築、人材の動機付け、さまざまな学術会議の開催、学術講演、サマースクールなどの開催に対し、厦門国際銀行が300万元を寄付したものである。なお、中国科学院は財務情報を公開しており、2015年からの収支を下記に示す。

 中国における大手銀行の一つである厦門国際銀行は、現在では海外進出も進めている。同行の公式ウェブサイトによると、同行は「全球化、智能化、生態化」を経営理念として掲げ、国際市場において、金融商品やサービスを提供することを目指している。また、同行は社会的責任にも重きを置き、環境保護や公益活動などにも積極的に取組んでいることから、中国科学院が行っている科学研究や人材育成の支援に充てられるとしている。なお、今後も科学技術のイノベーションと経済発展を共同で推進するために、中国科学院(中国科学院大学、中国科学技術大学を含む)との協力を継続していくとしている。

 ちなみに中国科学院は、中央政府に直接管理される最高の科学研究機関の一つであり、中国の科学技術発展に大きな貢献をしており、今後も世界トップクラスの研究成果を生み出していくことが期待されている。今回の両者の協力は、特に人材育成において大きな成果を期待できるとされている。中国科学院は、優秀な若手研究者の育成に力を入れており、同時に海外の研究者との交流も積極的に行っています。一方、厦門国際銀行も、人材育成に力を入れており、国内外で活躍できるグローバル人材の育成を目指しています。両者が連携し、人材の交流や共同研究を進めることで、世界レベルの研究成果を生み出すことが期待されている。

 中国政府は、科学技術の発展を加速するために、近年さまざまな施策を打ち出している。また、科学技術のイノベーションによる産業振興を促進するために、研究開発のための資金提供や税制優遇なども行っており、厦門国際銀行と中国科学院の協力が、その推進力の一助となることが期待されているのではなかろうか。

image

図 中国科学院における財務充当の概要(参考:中国科学院ホームページ)

 

 最後に余談となるが、成思危基金はこれまでの賞に加え、「成思危奖学金」を追加した。この奨学金は主に、中国科学院の经济与管理学院と予測科学研究センターの優秀学生向けサマーキャンプで、特に優秀な成績を収めた入学前の修士・博士課程の学生や博士課程に出願中の学生を対象としており、一人あたり5000元である。中国科学院は厦門国際銀行との基金設立にもあるように、革新的なトップ人材の選抜メカニズムを改善し、博士課程教育の質をさらに向上させるなど、人材への投資に忍海がないことがみてとれる。