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【22-44】知的財産権取得をサポートし企業の発展を後押し 鄭州ハイテクパーク

孫 越(科技日報実習記者) 2022年12月14日

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画像提供:視覚中国

 鄭州ハイテクパークはここ2年近くの間に、高価値特許育成センター5ヶ所、高価値特許ポートフォリオ9つを生み出し、省級以上の「知的財産権強企」が43社増えた。また、同パークの高価値発明特許数は2021年に2435件に達し、鄭州市全体の30.1%を占めた。

 漢威科技集団股份有限公司(以下「漢威科技集団」)の金貴新副総裁は科技日報の取材に対して、「当社と子会社の鄭州煒盛電子科技有限公司は、国から『2022年度知的財産権の優位性ある企業』に選ばれた。これは中国国家知識産権(知的財産権)局が当社を高く評価していることを示しているだけでなく、鄭州ハイテクパークが近年、知的財産権関連業務をレベルアップできるようにサポートしてくれていることの表れでもある」と語った。

 鄭州ハイテクパークは近年、「知的財産権強区戦略」を持続的に実施し、知的財産権の創出、保護、運用を全面的に強化し、知的財産権サポート対策を改善し続けてきた。同ハイテクパークのイノベーション主体は、活発にイノベーションを創出し、知的財産権の発展の質と効果が高まり続けている。

プラットフォームを構築して融資の難題を解決

 鄭州ハイテクパークの知的財産権関連の業務は質の高い発展を続けており、2016年から2020年までの間に、同パークの中国特許賞の数は8件から21件と163%増加。増加数は河南省が18.8%、鄭州市が41.9%を占めている。国に「知的財産権強企」と認定されている企業の数は1社から13社に増え、河南省が12.9%、鄭州市が38.7%を占めている。河南省に「知的財産権強企」と認定されている企業の数は37社で、河南省が10.6%、鄭州市が42%。年間特許出願数は1万501件から55.1%増の1万6284件、年間特許ライセンス数は3661件から179%増の1万217件になった。

 鄭州市ハイテクパークは、同市が率先して知的財産権ビッグデータ運営プラットフォームを構築し、企業に「オンライン+オフライン」の総合知的財産権サービス・取引を提供するとともに、率先して鄭州ハイテク知的財産権運営基金を設立した。第一期基金の規模は2億元(1元は約19.5円)で、同パークのイノベーション主体が受けた特許担保融資は5年間で計2億2000万元を超え、特許企業の融資が難しいという問題を効果的に緩和した。

 2021年、鄭州ハイテクパーク内で、河南省に「知的財産権強企」と認定されている企業は17社増え、その総数は河南省の10.5%、鄭州市の40.9%を占めるようになった。また、発明特許取得数は前年同期比49.9%増の1629件となった。

 今年1--6月期、鄭州ハイテクパークが取得した特許は前年同期比3.2%増の6347件に達した。うち、発明特許が同31.7%増の1043件だった。現時点で、同パークの特許出願数は5年連続で1万件超えとなっており、発明特許出願数と取得数は同市でトップクラスとなっている。1万人当たりの有効発明特許保有件数は140件を超え、中国全土でトップクラスとなっている。鄭州ハイテク知的財産権運営基金は、新材料や軍事工業・情報セキュリティ、新エネルギー、総合保健といった新興業界をめぐって、川上・川下で投資を展開しており、既に6プロジェクトに累計1億4000万元を投資してきた。

 鄭州ハイテクパークは近年、国家知的財産権モデルパーク、国家知的財産権担保融資試行エリア、河南省特許ナビゲーション産業発展実験区などに指定されてきた。2021--22年、同パークは、河南省の第一弾の特許ナビゲーションサービス拠点、河南省知的財産権担保融資入園優待企業産業パークなどに承認された。

政策を打ち出して質の高い発展をサポート

 2019年から、鄭州ハイテクパーク管理委員会は毎年1億元の財政資金を拠出して、鄭州ハイテクパーク・テクノロジーイノベーション専門サービスクーポンの設立、財政資金を活用して中・小・零細企業がサービス機関から専門的なサービスを受けるためのサポート、企業のイノベーション、起業のためのコストを低減、イノベーション、起業エコロジカルの体系的構築、「4つのプロジェクト(技術的改造・高度化プロジェクト、建設開始プロジェクト、完成・稼働開始プロジェクト、マッチング導入プロジェクト)」の成長活力の引き上げ、同パークの質の高い発展を推進、鄭州国家センター都市建設のサポートなどを行っている

 金副総裁は、「分かりやすく言うと、鄭州ハイテクパーク・テクノロジーイノベーション専門サービスクーポンを設立したというのは、同パークが『ショッピングプラットフォーム』を構築したようなもので、高額の『消費クーポン』を発行することに似ている。条件を満たす企業はこのプラットフォームを通して、良質な第三者サービス機関を探すことができる。これにより、提携の効率が大幅に向上しただけでなく、企業のコストも低減した。当グループと傘下の子会社は、第一弾の鄭州ハイテクパーク・テクノロジーイノベーション専門サービスクーポン(知的財産権サービス系)を計13万元分取得し、特許の展開や、商標の国際登録出願といった面の研究開発、イノベーションコストを効果的に低減し、企業的コア競争力、商品競争力をさらに増強することができた」と説明する。

 鄭州ハイテクパークは近年、「知的財産権関連業務強化に関する若干の意見」や「知的財産権関連業務を踏み込んで強化することに関する若干の意見」を相次いで打ち出したほか、今年2月には、「鄭州ハイテクパークが質の高い発展推進を加速させるための若干の政策・措置」を発表し、鄭洛新国家自主イノベーションモデルエリア建設の質と効率向上に関する要求を実行し、知的財産権制度保護やイノベーション奨励の面で重要な役割を果たし続け、知的財産権を通して、同パークの経済や社会の質の高い発展を下支えしている。

 2021年、鄭州市中級人民法院(地裁)知的財産権巡回法庭と鄭州市知的財産権保護ワークステーションが、鄭州ハイテクパークに進出した。同年4月、鄭州ハイテクパーク管理委員会は、河南省知的財産権事務センターと、「国家海外知的財産権紛争対応指導センター・河南サブセンター共同建設協定」に署名し、河南サブセンターが承認されれば、鄭州ハイテクパークに設置し、ビジネス環境最適化の後ろ盾となることで合意した。

サービスを整備しイノベーションの後ろ盾に

 鄭州ハイテクパークは、中原中小企業成長指数サービスプラットフォームも構築した。同プラットフォームを通して、2020年度第二弾知的財産権政策実行資金、2021年度第一弾知的財産権政策実行資金、2021年度第一弾(第一回の補充)知的財産権政策実行資金などを審査なしで支給する業務を展開し、企業1626社に計2904万4600元の資金を支給した。支給した政策実行資金額は鄭州市で最多となっている。

 良好な人材育成環境は、知的財産権の質の高い発展を促進する上で極めて重要な役割を果たす。鄭州ハイテクパークが開設している知的財産権人材育成教室は、鄭州市、及び鄭州ハイテクパークで活躍できる知的財産権の専門人材を育成している一方で、教育、育成を通して、同パークにおいて知的財産権文化の雰囲気を作り出し、企業の知的財産権に対する意識を高め、企業のイノベーションの後ろ盾となっている。

 中機新材料研究院(鄭州)有限公司は、鄭州市人民政府と中国機械研究総院が契約に調印して鄭州ハイテクパークに設置した新型研究開発機関で、設置当初から、同パークが近年、知的財産権業務を実施して企業にもたらしているボーナスをしっかりと享受してきた。質の高い特許出願及び特許転化推進業務を非常に重視している同パークのリードの下、同社は、5大研究開発センターを設置し、研究の方向性に基づいて積極的に展開を行い、特許出願を行っている。そして、現時点で、中国と海外の発明特許20件以上を取得してきた。うち7件はシンガポール、韓国、日本などの国で取得した特許で、特許技術は、中国特許金賞と中国特許銀賞をそれぞれ一つ受賞した。

 鄭州ハイテクパークは、政策を着実に実施し、確実に成果を上げている。鄭州機械研究所有限公司の鮑麗副社長は、科技日報の取材に対して、「鄭州ハイテクパークの包括的な知的財産権政策の奨励の下、当社は質の高い特許を生み出したり、『知的財産権強企』を建設したりする面で、良い成果を上げてきた。そして、ハイレベルの特許ポートフォリオを生み出し、中国特許賞と河南省特許賞を計8つ受賞し、国家知的財産権モデル企業という栄誉ある称号も獲得した」と説明した。

 鄭州ハイテクパークはここ2年近くにわたり、高価値特許育成センター5ヶ所、高価値特許ポートフォリオ9つを生み出し、省級以上の「知的財産権強企」が43社増えた。また、同パークの高価値発明特許数は2021年に2435件に達し、鄭州市全体の30.1%を占めた。同パークのイノベーション発展局の楊晴副局長によると、「第14次五カ年計画(2021‐25年)期間中、同パークは、知的財産権運営サービス体系を全面的に向上させ、知的財産権の戦略的展開を深め、市場化、法治化、グローバル化した知的財産権のビジネス環境を作り出し、質の高い知的財産権業務を通して、企業の独自のイノベーション能力や産業の競争力を増強し、河南省のイノベーションの重要拠点建設をサポートする計画」だ。


※本稿は、科技日報「鄭州高新区:知産服務上平台,企業発展上台階」(2022年11月15日付7面)を科技日報の許諾を得て日本語訳/転載したものである。