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【19-17】日本の若手科学技術担当者訪中団、北京に到着

2019年6月28日 箕輪 大(中国総合研究・さくらサイエンスセンターフェロー)

 中国の科学技術部に招待を受けた第4期「中日青年科学技術交流計画日本訪中団」が6月24日、北京に到着し、6日間にわたるプログラムがスタートした。

「中日青年科学技術交流計画日本訪中団」プログラムは科学技術部が日本政府の行政官および科学技術分野の中心的人材が中国への理解を一層促進するため、また日中科学技術協力を推進させるために発表された交流計画である。

 本プログラムは今年で4年目を迎えた。2016年は78人、2017年は107人、2018年は157人を招へいした。参加したメンバーのほとんどが初訪中で、45歳以下の若手研究者や行政官たちである。今年は科学技術部がさらに力を入れ、実施時期を6月と10月に分けて、それぞれ90人程度、合計180人程度を招へいすることとなった。

 科学技術振興機構(JST)中国総合研究・さくらサイエンスセンターの沖村憲樹上席フェローが訪中団代表となり、6月の訪中団は94名で、外務省、環境省、経済産業省、厚生労働省、国土交通省、財務省、総務省、特許庁、農林水産省、文部科学省などの中央省庁、愛知県、茨城県、熊本県、佐賀県、千葉県、名古屋市、北海道、三重県、牧之原市役所などの地方自治体が多くを占めた。このほか、九州大学、京都大学、東京大学、東北大学などの大学や研究機関の若手研究者も参加した。

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写真1 北京外国専家ビルでの記念撮影

 6月24日の夜、北京の外国専家ビルで、歓迎レセプションが開催された。科学技術部国際協力局の葉冬柏局長、中国科技交流中心の陳志敏党委書記、JSTの沖村上席フェロー、在中国日本国大使館の水谷凖参事官らが出席。中国側は日本の将来の科学技術を担う若手の科学技術関係者の来訪を歓迎するとともに、今後の日中協力発展への強い期待を述べた。

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写真2 歓迎レセプション

 25日の午前からは2グループに分かれて、中国の名門大学である清華大学、北京大学をそれぞれ訪問。清華大学では、清華大学科研院海外プロジェクトの主任である馬軍博士による概要説明の後、日本人留学生として大学院で公共政策を学んでいる夏目英男さんが通訳として同行いただき、インターネットコアネットワーク国家工程実験室や、基礎工業トレーニングセンター(i-center)などを見学した。

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写真3 清華大学を見学する訪中団参加者

 午後に開催された中国政府関係者との交流座談会では、科学技術部戦略企画局、工業情報化部、生態環境部、科学技術部たいまつ計画ハイテク産業開発センター、中国科学院国際協力局、国家知的財産局、科学技術部中国農村技術開発センターの若手の政府高官らが、中国の科学技術政策や日中協力について講演を行い、訪中団参加者との間で活発な意見交換が行われた。

 6月26日の午前は、中関村モデル地区を訪問。清華大学や北京大学の研究成果を基にしたスタートアップ企業設立への支援や、インキュベーションセンターとしての役割、効率的な行政支援などについて、地区の担当者からの説明を受けた。参加した日本の行政官らのメンバーは、新鮮な印象を受けたようだった。

 26日の午後、参加者らは山西省太原市、福建省福州の2グループに分かれて移動し、それぞれの地方で研修が始まった。