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【19-001】桜の木の下で結ばれた縁--私とさくらサイエンスプラン

2019年6月17日 王智宇/客観日本編集部(編集)

 2015年1月、卒業まであと半年ほどとなったこの時期、私は科学技術振興機構(JST)が主催する「さくらサイエンスプラン」に参加して訪日しました。これは忘れることのできない科学技術文化体験であり、同時に私にとって特別な意味を持つ旅にもなりました。今も、あの時のことを思い出すと、胸が熱くなります。なぜならその「さくらサイエンスプラン」の交流活動を通じて、現在私の妻となった女性と知り合い、私たちの愛の旅が始まったからです。

浅草寺での集合写真

 妻の肖星は当時、大連理工大学の日本語学科四年生で、一方、私は当時大学五年生で、機械日本語強化専攻を専攻していました。彼女に対しては出発前の校内の全体会議の時から関心を抱き始めていました。その時の彼女は優しそうで可愛らしく、知り合いになりたくて、出発当日になって、空港で勇気を振り絞り、彼女に初めて話しかけ、そして微信(WeChat)の連絡先を交換し合いました。

 日本に到着後、交流活動のスケジュールはびっしりと詰まって充実していました。日本という国に足を踏み入れて最初に訪れたのは横浜市役所と神奈川県庁。日本において早い時期から海外への玄関口として発展してきた横浜の歴史を学びました。また、日立製作所や富士通のような大企業を見学し、日本の最先端技術の成果を身近に体験することができました。機械科専攻の私にとってはとてもいい勉強になったと言えます。横浜国立大学との校内交流活動では、私たちはそれぞれ異なる研究室に行くことで、横浜国大の学生たちとそれぞれの研究分野について深く交流することができました。

富士通を見学した時の様子

 日本に来て最初の2日間、私は肖星が横浜国大でのセミナーに使う大連理工大学の紹介資料を作っていることを知っていました。そこで発表当日、彼女にWeChatのメッセージを送って力づけました。また富士通に見学に行ったその日は、突然雨が降り出したのですが、バッグには傘と水を常備する理工系男子として、当然のごとくすぐさま傘を取り出し、彼女に貸してあげました。大学五年生の先輩として、機会を見つけては、初めて日本に来た後輩である肖星に日本に関する面白いエピソードを聞かせてあげたところ、彼女も私の話に興味を持っているようでした。明治神宮に行った日、ついに肖星と初めてツーショットの写真を撮りました。東京都内を観光する際には、各人の希望でグループに分かれたのですが、その際も進んで彼女と同じグループに。横浜国大の学生たちの心温まるもてなしの中、浅草寺に行き、お台場で美しい海を眺め、みんなで一緒にプリクラを撮って、人気店のお好み焼きを食べに行きました。この1日でみんなの距離がぐっと縮まり、私も肖星に近づくのより多くのチャンスを得ることができました。

明治神宮でのツーショット写真

お台場での集合写真

 私たちはおしゃべりをすればするほど、互いに対する好感度が増していきました。そしてあっという間に帰国の日になりました。送別会の日にはみんなで輪になって、一緒に「世界に一つだけの花」を歌いました。一週間一緒に過ごした日本の友達と別れることにいささか悲しみを覚えつつ、互いにプレゼントを送り合いました。

江の島での集合写真

 帰国後、卒業設計の準備に追われながらも、最後のキャンパスライフを満喫しました。この時期、横浜国大を一緒に訪れた親しい友人らともしばしば集まることで、肖星と会うチャンスを作っていました。皆もうすぐ卒業となる時期でしたが、好きな人に出会い、もしこのチャンスを逃したら一生後悔することになると思い、肖星に自分の気持ちを伝えて、彼女にアタックを続けました。卒業前、別れるカップルが少なくない中、私は幸運にもついに望み通りの結果を手に入れたのです。卒業の1ヶ月前になって、肖星が私の彼女になってくれたのです!

 6月、私達は卒業しました。ただその試練は始まったばかりでした。私は東京大学の工学部機械工学科への留学を決め、彼女はみずほ銀行大連支店での就職を決めました。しかし距離の隔たりはあっても、私達の心の距離を隔てるものはなく、むしろ互いをより大切にし、その関係をしっかりしたものにしていきました。私たちは毎晩のようにビデオチャットをして、互いにその日に起きたことを話したり、仕事や勉強で直面した問題などについておしゃべりしました。私たちは互いに励まし合い、慰め合って、次第に相手の心の支えになっていきました。毎回大連に帰る機会があるたびに、たとえ週末の2日間だけだったとしても、私たちはまるでバケーションのように過ごすことができたのです。

 このようにして3年の月日が過ぎました。2017年11月に肖星は安定した銀行の職を辞し、私のために日本にやって来て、現在は東京のIT会社に勤めています。私もこれで安心して好きな分野での博士号取得を目指し学業に専念することができるようになりました。このように長い遠距離恋愛を経験したことで、私達は現在の生活を手にしたとき、何が大切かをよりはっきり知ることができたのでした。

成田空港にて

 3年以上の付き合いを経て、私たちは2018年8月9日に在日本中国大使館に婚姻届を提出し、ようやくゴールインすることができました。科学技術振興機構の「さくらサイエンスプラン」が私たちが出会う機会を与えてくれたことで、真実の愛を見つけ、結婚することができたことに心から感謝しています。


※本稿は客観日本「桜花樹下結姻縁----我与桜花科技計劃」(2018年09月13日付)を日本語訳/転載したものである。