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【19-20】山東農業大生の周鶴さん優勝 全中国選抜日本語スピーチコンテスト

2019年7月18日 小岩井 忠道(中国総合研究・さくらサイエンスセンター)

 中国国内の予選を勝ち抜いた16人の大学生が競う「全中国選抜日本語スピーチコンテスト」が16日、東京都内の一橋記念講堂で開かれ、山東農業大4年生の周鶴さんが優勝した。

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優勝の喜びを語る周鶴さん(一橋記念講堂)

 周さんのスピーチのテーマは「オリンピック精神と私-2020年東京・2022年北京」。主催者から事前に与えられた二つのテーマのうちの一つだ。周さんは、2008年の北京オリンピック以来、数々の感動的な場面をテレビで見た思い出とともに「選手でも関係者でもない自分が、オリンピック精神とどう関わっているのかという疑問が頭から離れなかった」ことを明かした。この疑問を解消するきっかけは、2020年の開催に向けて日本で進むオリンピックの準備に関するニュース。世界各国の人々を引き寄せ、おもてなしをするためにより良い町をつくろうと努力している様子を見て、気づいたという。

「2008年の北京オリンピックの時、北京から離れている私の古里も建物が赤や黄色で塗り替えられ、学校でもオリンピックやスポーツに関する授業が行われるなどさまざまな変化があった。オリンピックは私たちの町、私たちの国をより魅力的にしてくれる。私、学校、社会、国ひとつひとつに力が与えられ、もっと輝かしい未来への一歩を踏み出すことができた。それがオリンピック精神の一番素晴らしいところだと思う」。周さんは、このような言葉で力強くスピーチを締めた。

 全中国選抜日本語スピーチコンテストは、スピーチ終了後、主催者側からの質問にどのように答えたかも審査の対象になる。評価の配点は、スピーチと同等だ。「マカオのようなカジノを含むリゾート計画について日本ではさまざまな意見があるが、どのように考えるか」。この質問に対し、周さんは最初に「個人の考えとしては、やはり反対です」と明確に答えた。その上で、理由を次のように述べた。

「観光客を呼んだり、観光事業を発展させたいという目的であれば、他に力を入れる方法があると思う。例えば、地元の観光スポットを新しく整備したり、地元ならではの文化に関わるイベントを行うといった...。地元住民や他の地域の人々に対するアンケートなどもして、地元の経済、観光業を発展させるにはどのようなところに力を入れるかを検討すべきだと思う。カジノをつくるより、地元発展のもっとよい方法があるはずと考える」

 優勝の賞状、盾、賞金を授与された後、周さんは「優勝は全く思いもしなかった。日本語は大学に入ってから学び今4年目になる。これから日中両国交流の架け橋になりたい」と喜びを語った。準優勝には、周さん同様「オリンピック精神と私」という題でスピーチした四川外国語大学成都学院の女子学生、曾蘇楽さんと、吉林大学の女子学生、孟一凡さんが選ばれた。3位の3人も全て女子学生で、厦門大学の羅舒文さん、西安電子科技大学のキョウ(龍の下に共)緯延さん(スピーチ題はいずれも「オリンピック精神と私」)と、上海対外経貿大学の沈芯宇さん(スピーチ題は「日中青少年交流推進年-私の提案」)。残る10人には審査委員特別賞が贈られた。

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周鶴さん(前列中央)と準優勝の曾蘇楽さん(前列左端)、孟一凡さん(前列右端)

「全中国選抜日本語スピーチコンテスト」は、日経新聞と中国教育国際交流協会、日本華人教授会議の共催で2006年から始まり、今回が14回目となる。中国国内の予選を勝ち抜いた16人の参加者中、14人が女性だったことが目を引いた。審査委員長の林佳世子東京外国語大学長は、審査総評の中で「出場者は皆、スピーチの完成度が高く、突然聞かれた質問にも自分の意見を述べて甲乙つけがたかった。女性が多かったが、外国語の勉強はこつこつ努力する女性に向いているからとみるのは昔のこと。今は言葉を駆使して世界との架け橋になりたいという気持ちが強いからだと思う。これを機にさらに頑張ってほしい」と出場者たちを称え、激励した。

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審査委員長の林佳世子東京外国語大学長

 表彰式に先立ち、審査委員会の審査が別室で行われている間に、中国教育国際交流協会の李春生副秘書長が中国国内で行われた予選の状況を報告した。李氏によると、今回の日本語スピーチコンテストに参加したのは、中国国内236大学18,240人の学生。まず各大学がそれぞれ行った予選の結果、8ブロックに分かれた地区予選に出場できるのは、30人前後だけ(一部37人のブロックも)。地区予選の会場となる大学が、各ブロック内の各大学から推薦された学生のスピーチをビデオで再評価し、人数を絞りこむためだ。ここで勝ち抜いた各ブロック2人ずつの代表、計16人が晴れて東京での本選出場権を得る。

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表彰式終了後、記念写真に納まる出場者、審査委員、主催者たち

 18,240人という予選の参加者数は、このコンテストが始まって以来、最大の参加者数だ。李氏は参加者数が最大になった理由として、昨年、日中両国の首相がお互いの国を訪問し、10月に北京で行われた李克強首相と安倍晋三首相による日中首脳会談で、2019年を「日中青少年交流推進年」とすることが決まったことを挙げた。さらに2017年10月の中国共産党第十九回全国代表大会で中国が「新時代」に入ったことが宣言され、さらに日本が今年、5月から「令和」の時代に入ったことをもう一つの理由としている。こうした新しい時代に日本との関係をどう構築していくかという関心が、中国の大学教員、学生の間に高まったことを強調した。

 李氏は、「今回で14回目となる全中国選抜日本語スピーチコンテストは、回を重ねるごとに運用ルールが改善され、公平なコンテストとして中国国内で認められている。今や中国で最もレベルの高い日本語スピーチコンテストになった」と述べ、日本の主催者たちに感謝の言葉を述べた。

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中国教育国際交流協会の李春生副秘書長

関連サイト

日経チャンネル 第14回 全中国選抜 日本語スピーチコンテスト

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