日中の教育最前線
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【20-04】オンライン学習の「ノルマンディー上陸作戦」

2020年6月25日 蘇傑徳(『中国新聞週刊』記者)/江瑞 (翻訳)

突如襲来した新型コロナウイルスはオンライン学習の進化を早送りした。老舗オンライン塾、教育機関と連携するIT企業、これまで目立たない存在だったオンライン学習は株式にも影響するほど表舞台に躍り出ている。ユーザーの奪い合いや技術的問題、地域格差などの問題を経て、今後オンライン学習は教育において大きな役割を占めることになるのだろうか。

 3月に入っても、多くの学校では新学期のめどが立たずにいる。

 新型コロナウイルスの感染が拡大するなか、教育は最も広範囲に影響が及んだ業界の1つだ。新学期の日程はすでに何度も延期され、いまだにはっきりとしたスケジュールが確定できずにいる。

 それはつまり、全国で3億人を超える教員と児童・生徒・学生〔以下、「学生」〕が、教室に戻れないということを意味する。教育部が2019年7月に発表した「全国教育事業発展統計公報」によると、2018年における全国の各種学校〔成人教育、職業訓練等は除く〕の在校生は2億7,600万人、全国の各種学校の専任教師は1,672万8,500人、うち義務教育段階の在校生は1.5億人に上る。

 新学期開始の延期に教育部が打ち出した解決策は、オンラインプラットフォームを利用し、教室での授業を停止していても学べるようにする「停課不停学」。この通知が引き金となり、全国各地で億単位の教員・学生がオンライン学習の渦に巻き込まれていった。

 「今回の大規模教育実験が、オンライン学習を大きく前進させた」と全国政治協商会議常務委員会副事務局長で民進中央副主席の朱永新氏は顔をほころばせる。

 中国の教育にとって、オンライン学習が「ノルマンディー上陸作戦」となり、伝統的な教育ではない第二の戦いの火ぶたが切って落とされることになるかもしれない。

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2月10日、クラウドライブストリーミングシステムで授業を受ける武漢市水果湖第二小学の児童。この日から武漢市の小中高(中等職業学校も含む)は、教育計画に従いオンライン授業を開始した。撮影/『湖北日報』田悦

オンライン授業に続々と参入

 2020年2月27日、湖北省襄陽市の高校2年生・韓金宇くんは自宅の机の前に座り、オンライン学習アプリ「釘釘」で授業を受けていた。チャットウィンドウには時折クラスメートが出した質問が流れ、画面の向こうの教師がすぐさまそれに解答する。この授業スタイルが、もう2週間も続いていた。中国の大学入試「高考」まであと1年ちょっと。入試への「カウントダウン」はもう始まっている。

 韓金宇くんにとって、この冬休みは殊の外長い。通常ならこの時期は、教室で授業を受け、放課後は寮に戻ってルームメイトとふざけあったりしていた。それが、新型コロナウイルスが中国全土に広がり、感染拡大を防ぐために家にこもることを余儀なくされ、通常の生活ができなくなったのだ。

 「ここにきて、通学制オフラインスクールと比較した、オンライン学習の相対的優位性と利便性が明らかになった。多くの保護者がオンライン学習に目を向けるようになっている」と学習塾VIPKID少年児童研究院執行院長の李国訓氏は言う。

 韓金宇くんの使っている「釘釘」は、この度のオンライン学習カテゴリーで最も人気の高いアプリだ。釘釘は元々アリババのグループウェアだったが、新型肺炎の流行を受け、急遽「在家上課」〔家でも授業〕機能をプラスした。釘釘の教育ライン代表・方永新(ハンドルメーム「大砲」)氏によると、2月中旬の時点で5,000万人以上の受講生が釘釘を使ってオンライン授業を受けていたという。2015年のアプリのリリースから2019年上半期までの5年間をかけてやっと2億人のユーザーを獲得したときの規模とは大違いだ。

 釘釘は「在家上課」をめぐり、かなり強力なプランを打ち出した。オンライン授業、オンライン宿題提出&添削、オンラインテストなどの機能を付加し、しかも全国の学生に無料開放するというものだ。しかし、これらの「強力な機能」は、長期休みなのに遊ぶ時間が奪われる、アプリのダウンロードと登録を強制される、プライベートを踏みにじられる、など、子どもたちの反発を招いた。アプリストアの評価は、彼らがこぞって1つ星という「好評価」をつけたせいで、ほぼ一夜にして4.9から1.3に急落してしまった。

 突如襲来した新型コロナは、オンライン学習の進化を早送りした。アリババ以外のIT大手も鼻息荒く教育市場に参入し、膨大な顧客を奪い合った。「バイトダンス」は学習塾50社と提携し、全国の小中高生に無料で授業をおこなった。「iQIYI」〔愛奇芸〕はインターネット学習塾各社と提携し、無料ストリーミング講座を担当する著名講師団を結成した。「騰訊視頻」は2万分(約333時間)の授業を無料で受けられるサービスを展開した。

 老舗のオンライン学習塾も無料の大人数ストリーミング授業と録画授業を配信するなど対抗した。「好未来」「新東方」などは、授業やサービスの無償提供、教育基金の設立といった方法でアクセス数を勝ち取った。

 新東方の董事長兪敏洪氏はメディアの取材に対し、新型肺炎の感染拡大から1週間以内に87カ所ある校舎と子会社、延べ200万人近い受講生を全てオンラインに移転させたと語った。その過程で何度もサーバーを拡張し、傘下に抱える3つのプラットフォームの同時アクセス数をのべ1,000万人にまで引き上げたことで通信が安定し、受講キャンセル率を3%前後に抑えることに成功したという。

 新東方傘下のオンライン学習塾「東方優播」は、主に小中高生向けの小人数インタラクティブ・ライブストリーミング授業を展開している。同社CEOの朱宇氏は、「今回業界全体で獲得したアクセス数は、オンライン学習塾大手数社が計数十億元を投じた去年の夏休みをはるかに上回る。具体的な数字で言えば、広告費1,000億元近くを節約した計算になる」と語る。

 資本市場では、オンライン学習も「時代の寵児」になり得る。ニューヨーク証券取引所に上場して間もない「網易有道」の株式は、2月7日と10日に2営業日連続で暴騰し、わずか2日で上昇率80%を記録した。別のオンライン学習塾の中国概念株〔チャイナ・コンセプト・ストック〕も上昇を続けている。

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技術をめぐる攻略戦

 2月2日午前10時、天津市の華英学校では、冬休み特別講座の3日目を配信中だった。と、突然多くの受講生のアプリが動かなくなり、復旧しないまま約40分が経過した。「1時間目の授業がまだ終わっていないのに、担当講師の端末が動作せず、早めに授業を開始しようとした次の担当講師もログインできない状況になってしまった」。華英学校副校長の劉樹棖氏の話では、このとき、他の多くのストリーミングプラットフォームでも大なり小なり問題が発生していたという。

 1億人を超える教員・学生が洪水のごとくストリーミングプラットフォームになだれ込めば、ダムが決壊するのも無理はない。

 「翼鴎教育」は教育機関にオンライン教室サービスを提供する会社だ。新型コロナの感染流行に伴い、同社のバックグラウンドのアクセス数は急増しはじめ、ピーク時には1日の利用者数が延べ160万人、同時利用者数が35万人を超えた。新型コロナ騒動の前は、ピーク時でもわずか3万人だったにもかかわらずだ。オフラインスクールの他、北京大学、北京師範大学、中国科技大学、中国人民大学附属中学、北京市第四中学、北京一零一中学など数多くの公立学校も利用申請をしてきた。

 顧客の急激な増加に対応するため、翼鴎教育はシステム拡充に手を尽くした。しかし拡充のスピードが速すぎて、システムの安定性が急激に悪化してしまった。「以前からの利用者にはがめつすぎると罵られた」

 オンライン学習業界では、中小規模の学校は、翼鴎教育のような第三者のオンラインシステムやストリーミングシステムを利用しているケースが多く、突然ユーザーが激増した場合、システムの維持が難しい。なぜなら、第三者のプラットフォームを利用しているのは自分たちだけではないからだ。

 釘釘はどのようにして5,000万人もの同時アクセスを可能にしたのだろうか。方永新の説明によると、それは他ならぬアリババクラウドの全面的バックアップがあったからだ。最初にアクセスのピークが訪れたとき、釘釘は2時間で1万台以上のサーバーを増設した。一時期、増設したサーバーは合計で10万台に上る。「アリババクラウドの支援がなかったら、同時に利用できるのはせいぜい1,000万人だった」

 「クラウドコンピューティングに頼らなければ、オンライン学習の企業が爆発的な業務量に耐えることは絶対に不可能」とアリババクラウド スマートオンライン学習業界アーキテクトの江南は力説する。クライアントの中には、明日から使うシステムを今日中に完成させろなどと無理難題をふっかける企業もある。しかも、依頼は単純な拡張作業だけではない。1社ならまだいいが、同時にいくつもこうした依頼があれば、アリババクラウドのほうでも対応しきれない。

 2月初頭から現在に至るまで、釘釘は2~3日に1回は製品のアップデートをおこない、ストリーミングのスムーズさ、マイク接続、音質など全てを絶えず最適化させていった。方永新曰く、「最初にストリーミングのフリーズ問題に気づいたときは、サーバーの容量不足だろうと思い、何度も何度も大規模拡張をおこなった。それでもユーザーの中にはスムーズに見られないと言ってくる人たちがいた。その後の分析で、トラブルの80%~90%はユーザー側の個別のネットワーク環境に起因するものだと判明した。パソコンやスマートフォンなどハードウェアの問題の場合もある」

 オンラインスクールがすべて釘釘のように強い後ろ盾があるわけではない。「うちは通信速度制限なしには、システムの安定性を保証できない」と語るのは翼鴎教育。「1,000万人以上の受講生が同時に利用できるよう、新しく超大規模通信ネットワークを構築する計画はある。しかし、完成までにはかなり時間を要する」

 こうした技術的体験は、教育部も重視している。教育部の関連部署の責任者は、「ネットワークの正常運営を確保するのがオンライン教育の大前提だが、中国は学生数も多く、地方によってネットインフラの整備状況も大きく異なるため、ネットにアクセスが集中するとネット渋滞が起きてしまう。各地方では現状を踏まえ、適切に『ピークシフト』アクセスを指導してほしい」と述べた。

 一方、オンライン授業モデルに切り替わったことで、新たな問題も浮かび上がってきた。中国網が伝えたところによると、2月29日午前、河南省鄭州市の中学3年生女子・李某敏が、家が貧しくてスマートフォンが買えず、指定の時間に学校のオンライン授業を受けられないことを苦に、母親の精神疾患治療薬を大量に服用した。父親が金をかき集め、隣人に頼んでネットでスマートフォンを1台購入してもらったものの、姉と弟と3人の共用であることから、李某敏の使える時間が限られ、受けられなかった授業が多数あった。また、授業を受けないことを教師やクラスメートに疑われ、思いつめてしまったのだという。

 農村や辺鄙な山岳地帯では、スマートフォンやタブレットの購入費用、あるいはスマートフォンのパケット通信代を負担できない家庭も多く、そうした家庭の子供は「オンライン授業」の蚊帳の外に置かれ、学びの機会を失ってしまう。騰訊新聞の「深網」コーナーに掲載された「辺鄙な山岳地帯のオンライン授業:家族全員で子にパケット残す ヒツジの放牧しながら勉強も」という文章では、「この長すぎる冬休み、ネットワークが普及していない農村や辺鄙な山岳地帯では、『無料Wi-Fiスポット探し』が子供たちの『必修科目』の1つになった。無料Wi-Fiスポットを探すため、数百メートル、いや数キロメートル歩いて村の共産党支部や崖などに行きオンライン授業を聞く子もいる」と書かれていた。

 貧困のためオンライン授業から置いてけぼりを食らう学生をいかになくしていくか。オンライン学習業界及び教育部門にとっての新たな課題だ。

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オフラインスクールの存続危機

 「全国各地で続々とオフライン学習塾が授業停止を求められるなか、さらに様子見をするか、あるいは積極的に行動に出るか、オフラインからオンラインに『移転』を図るか、選択を迫られている」と東方優播CEOの朱宇氏は言う。オフラインスクールは、移転がうまくいかなければ、逆に受講生の流出を招いてしまう。しかし、移転しなければしないで、あっという間に受講生をオンラインスクールに奪われてしまい、授業ができなくなり収益がなくなれば、短期間でキャッシュフローが滞り、事業が立ち行かなくなる。

 「どういう結果になるにせよ、座して死を待つより変化を求めてみるほうがいい。さもなければ、30年近い歴史を誇る新東方が崩れ去ってしまう」。今回、新型コロナウイルスの流行により、100万人を超える冬休み講座の受講生が授業を受けられなくなった。もしこれらの授業を全てキャンセルし受講料を返金したら、7~8万人に及ぶ講師と職員の生計は立たなくなり、新東方はめでたく廃業となる、と兪敏洪氏は言う。

 だが、新東方のような業界トップの塾より、中小規模の塾のほうが状況は格段に厳しい。中国民営教育協会育成教育専業委員会が2月7日から14日にかけて、全国31の省・自治区・直轄市の学習塾に対しておこなった調査の結果によると、90%以上が新型コロナウイルスの影響は大きく、目下、経営に部分的な、又は深刻な困難が生じていると回答している。影響が最も大きいオフライン学習塾のうち、49・42%の収益が前年同期比で5割以上減になるとしている。

 ただ、オフライン学習塾の場合、オンラインに転換するとしても、問題はコストだけではない。教育分野専門のベンチャーキャピタル「雷雨キャピタル」の董事総経理・朱国平氏は、「オンライン学習業界には業界独自の業務特性、競争、チャレンジがあり、単純にオフラインからオンラインに転向したからといって利益が上がるものではない。実際にはまったく別の業界に飛び込むのと同じこと。オフライン型の業務しか知らない大部分のスクールはなかなか適応できず、学習塾の大淘汰が始まるだろう」と忠告する。

 また、多くの業界関係者が、一時的に受講生の激増という恩恵に与ることができても、オンライン学習業界でも淘汰の局面が加速すると予測している。「精鋭教育」の創始者・張熙氏は、「1年以内にオンライン学習塾の少なくとも60%は潰れるだろう」との予測を公言している。

 それでも、やはりオフライン学習塾のほうが危機の到来が早かったようである。この新型コロナ禍で、すでに倒産したところも出てきた。

 教育フランチャイズスクールの「乂学教育」は、全従業員の給与カットという苦渋の決断をした。創始者の栗浩洋氏は微信の「朋友圏」〔モーメント〕で、「悪者になる決心をした。従業員全員、今後5カ月間、給与3割5分カット。経営トップはゼロ報酬。1月は一律5割カット。全ては『生き残る』ため」とつぶやいた。新型コロナ騒動を受け、オンラインの受講生は大幅に増えたが、ほとんどが無料サービスの利用者であるため、運営コストは逆に上がっているという。現在、乂学教育の口座には3.2億元のキャッシュがあり、本来であれば余裕で2年分の資金にはなる。しかし、収益なしの状態が続けば、あと6カ月しか持たないという。

ジョブズの教育論

 無料ストリーミング授業の大波が去ったあと、果たしてどれだけのユーザーが残るのか。これはオンライン学習業界が最も関心を寄せる問題だ。

 「好未来」の代表は、新型コロナ騒動が落ち着けば、オンライン授業に対する需要も理性的になり、無料かどうかではなく、授業の質が見つめ直されるだろうと指摘する。「カリキュラム、技術的サポート、講師陣など、教育の核となる部分にどれだけこだわっているかが競争のカギとなる」

 VIPKIDの李国訓は、教育業界は学習効果が重視される特殊な業界であるとし、オンライン学習が今後も発展できるか否かは、教育資源と技術の融合に力を入れ、保護者に教育の成果を目に見える形で示せるかどうかにかかっていると指摘した。

 「オンライン学習プラットフォームの良し悪しは、2つの基礎能力で決まる。1つは優れたカリキュラムと教育サービスの能力。勝負するのは教育内容とサービス。2つ目は優れた教育を普及させる能力。頼みになるのは技術や製品」と語るのは、「作業幇」〔オンライン学習アプリ名〕の代表の1人。上記の他、オンラインでの顧客獲得能力もあれば安心だという。

 現在、無料でオンライン学習を利用する2億人あまりの学生のうち、最終的に残るのは何人か。華英学校は天津に本部のある通学制のオフライン学習塾だ。30年以上の歴史を誇り、受講生は2万人を超えている。同校代表の李忠によると、受講生にアンケート調査をした結果、半数が今後はオンライン授業に切り替えられないかと問い合わせてきたという。「これは予想外だった。以前なら、オンライン学習塾はオフライン学習塾の足元にも及ばない存在で、オンラインがどれだけすごいと言われていても、オフライン大手の前では存在が霞むほどだった。それがいまや、希望的観測で言っても、あと2~3年で両者は拮抗するだろうと思う」

 新型コロナウイルスの流行前、オンライン学習塾はそれほど大きな存在ではなかった。国際コンサルティング会社のフロスト&サリバンの報告書によると、中国の教育市場の規模は1兆元を超えており、うち、学習塾と受験予備校市場は2013年の4123億元から2017年には6,325億元に拡大、オンライン学習塾市場も329億元から964億元に拡大しているが、シェアは全体の5分の1以下だった。

 だが、新型コロナの流行で、オンライン学習は数少ない「勝ち組」の1つになり、予想外の成長チャンスを迎えた。好未来の代表の1人の話によると、地方の小都市では、元々オンライン学習というものがほとんど知られていなかった、あるいは学生や保護者に受け入れられていなかったが、今回の新型コロナ騒動を通じて少しずつオンラインストリーミング授業を受け入れる雰囲気が形成され、オンライン学習を利用してみようという動きが加速しているのだという。

 学習塾以外にも注目されているのが、公立学校とインターネットとを結びつける動きだ。教育分野には「コンピュータはあらゆる領域を変えたのに、なぜ学校教育に与えた影響だけが驚くほど小さかったのか」というジョブズの有名な問題提起がある。

 公立学校におけるオンライン学習はこれまでなかなかうまくいかなかった。匿名希望のある教育関係者は、教育行政はこれまで公立学校のインターネットシステムに大金を注ぎ込んできたが、いまだに録画放送やビデオ・オン・デマンドの段階に留まっていると述べ、「オンライン」と「教育」の融合は実現していないと指摘する。

 「これまでおこなわれてきた学校教育の情報化は、新型コロナ騒動により多くの弊害が明るみに出た。多額の資金を投じてもまったく生かされていない」。雷雨キャピタルの董事総経理・朱国平氏は、現在の状況が問題視され、少しでも改善がなされれば、優れたオンライン学習企業が学校教育に進出する機会も増えるだろうと指摘する。

 「教育の情報化とオンライン学習に関しては、新型コロナの流行がきっかけになり、災い転じて福と為すで、教育改革を進めるチャンスになるかもしれない」と朱永新も先日寄稿した文章で述べている。

 「皆が使い始めたというのは喜ばしい。だが、問題も少なくない。国が提供する教育資源は単一で物足りないかもしれない。多くの学校や教師は準備が不十分で、学生側も、特に貧困家庭の場合、設備も通信速度も大きなネックとなる」と朱永新氏は言う。これまでは学校の通常の教育制度に頼る人が多かったが、これからは、オンライン学習が教育の非常に重要な一部となることに疑いはない。「主流とまではいかなくとも、少なくとも重要な役割を担うことは間違いない」

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2月11日、パソコン端末から「オンライン授業」をリアルタイムで技術サポートする山東省濱州市博興県第三中学の職員。2020年春学期の開始が延期されたため、博興県第三中学ではライブストリーミング配信設備を利用し、「オンライン教室」を始めた。教員が時間割に従って順番に「MC」を担当する。写真/中国新聞社


※本稿は『月刊中国ニュース』2020年6月号(Vol.100)より転載したものである。