【22-052】〔宇宙開発〕中国が第4回目の宇宙飛行士募集を開始、初めて香港・マカオ地域も対象に
JST北京事務所 2022年12月26日
中国は独自整備の宇宙ステーションの構築完成に向けた最後の神舟15号宇宙船による有人飛行を現地時間11月29日深夜に無事行い、翌朝、半年頃前に宇宙ステーションに赴いた神舟14号クルーの3人とステーションでの合流を実現させた[1]。
その前日(28日)に行われた神舟15号有人飛行ミッションに関する記者会見では、今回の飛行実施およびこれからのクルー滞在によるステーションの運営などについて説明したほか、現在実施に取り掛かっている新しい宇宙飛行士の募集についても情報を提供した。これによると、今度の宇宙飛行士募集は第4回目となり、すでに9月より全面的にスタートしている。募集は一次審査、二次審査と確定審査の3段階に分けて進み、計12~14人を採用する予定。今度の募集は、これまでと違い、中国本土以外の地域である香港とマカオをも初めて対象に取り入れ、同地域からペイロードスペシャリストとして応募することになる。同記者会見によれば、香港・マカオ地域では、生体医工学、機械電子、材料、化学、天文などの分野における研究者や大学教師からの応募は極めて積極的であるという。
2009年開始の第2回選抜では、空軍のパイロットから選抜が進められ[2]。2018年開始の第3回選抜では、宇宙パイロットは空軍のパイロットから選ばれ、ミッションスペシャリストは航空宇宙工学と関連分野の専門技術者から選ばれ、ペイロードスペシャリストは有人宇宙工学の宇宙科学研究と応用分野の研究者から選ばれた[3]。
今回の募集に関して、香港では、同地の11の大学、香港政府の5つの研究機関、香港生産力促進局、香港科学園、デジタル園区の研究機関、企業、政府部門と医療管理局を対象とし、生物学、医学、心理学、材料学、物理学、化学、生体医工学、機械工学、電子工学、天文学等の博士号を有していること等を条件として公募された[4]。
また、中国経済網が転載した新華社による同記者会見に関する報道[5]では、以下についても報じた。
・ 2020年10月に終えた第3回目で選ばれた宇宙飛行士18人[6](うち、操縦士7人、ミッションスペシャリスト7人、ペイロードスペシャリスト4人)は、過去2年間の訓練において、基礎項目のすべてと専門技術項目の大半の研修を終え、その中の一部の飛行士は近いうちに、宇宙ステーションでの業務を遂行する主力になる見込み。
なお、中国と国連宇宙局(UNOOSA)、欧州宇宙機関(ESA)が共同で採択した多数の宇宙科学の応用実験が来年から中国宇宙ステーションで順次実施されることになる[7]。日本の機関が提案した実験も採択されている[8]。
注1:SPC科学技術ニュース「有人宇宙船「神舟15号」の乗組員、訓練中の様子が公開」参照 2022年11月29日付
注2:预备航天员选拔
注3:我国第三批预备航天员选拔工作顺利完成 18名预备航天员入选
SPC科学技術ニュース「第3期宇宙飛行士候補者選考活動、18人を選出へ」参照 2018-4-24付
注5:中国経済網「我国第三批航天员将陆续执行空间站任务」 2022-11-29付
注6:注3に同じ。
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