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【24-01】国家エネルギー局長、中国のエネルギートランスフォーメーションについて語る

JST北京事務所 2024年03月04日

 中国国家エネルギー局(国家発展改革委員会所管)局長で全国政治協商会議委員(参議院議員に相当)の章建華氏はこのほど、「人民政協報」(全国政治協商会議の機関紙)に寄稿し、中国のエネルギー構造の低炭素・グリーン化動向を説明した上で、今後の発展について提言した。以下にその概要をまとめる。

 近年、中国はグリーン化発展に力を注いでおり、エネルギーのグリーントランスフォーメーション(GX)もこれを背景に大きな発展を成し遂げている。①非化石エネルギーは全国のエネルギー構造に占める比率が高まり、2023年は全国エネルギー生産の増加量中、非化石エネルギーが4割を占めた。②産業界から見れば、中国はグリーン・低酸素技術が世界の先端を行き、新エネルギー発電においては、全世界の太陽発電部品の7割、風力発電設備の6割の貢献をしている。③最終エネルギー消費では、多様化した供給・消費システムが整備され、北部の寒冷地域向けの暖房供給に占めるクリーンエネルギー使用率が76%に高まり、全国で整備されたEV用充電施設が860万件に増えた。

 ただし、エネルギー需要の増加が予測を上回ったり、GDP当たりのエネルギー消費量が高水準で続いたり、消費側の省エネ・低炭素化が遅れたり、重要プロジェクトの進展が様々な要素に制約されたりするなど、エネルギートランスフォーメーションの推進に当たって多様な課題を抱えている現状もある。

 このような背景の下、今後の国のエネルギー安全戦略の実施、クリーン・低炭素化した高度なエネルギー体系の構築に向け、章局長は以下の提言を行った。

・ 炭素排出削減の基盤を強化する。「新規のものを建ててから古いものを破る(原文:先立后破)」「全般的に計画する」との原則に基づき、新旧エネルギーの交替を順序良く進める。

・ 非化石エネルギーの供給を拡大する。水力、原子力、洋上風力はじめ非化石エネルギーの生産を安定的に推進し、2030年までにエネルギー消費が新規増加量に占める比率を70%に増やす。

・ 消費側における省エネ・低炭素化を推進する。2025年までに末端でのエネルギー消費における電気使用率を30%前後に増やす。

・ グリーン・低炭素技術のイノベーション創出を強化する。新エネルギー産業の優位性を強固なものにしながら、大型の風力発電や高効率な太陽発電、光熱技術などにおけるイノベーションを推進する。そして、小型原子炉や第4世代原子炉など次世代原子力技術の研究開発、コントロール可能な核融合炉の将来を見据えた配置を大いに推進する。


出所:人民政协报「加快构建清洁低碳、安全高效的能源体系」(2024/2/8)

 

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