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【24-114】「誰もがAIデジタルヒューマンを持つ時代」はすぐ到来するのか?(その2)

崔 爽(科技日報記者) 2024年12月12日

2023~24年、大規模プレトレーニングモデルとAIGC技術の進歩に伴い、AIデジタルヒューマン市場は高度化の時期を迎えた。今後、能力と普及度が高まり、コストのハードルが低くなることで、『誰もがAIデジタルヒューマンを持つ』時代の到来が早まるだろう。

その1 よりつづき)

標準体系の構築・整備を

 現在、デジタルヒューマン産業の標準体系が完全には整備されていない点にも目を留めなければならない。賽迪顧問(CCIDコンサルティング)人工知能(AI)・ビッグデータ産業研究センターのアナリスト、白潤軒氏は「一部の業界標準と規範は策定・整備されつつあるが、統一された網羅的な標準体系による産業の牽引が依然として不十分」と直言する。

 インターネット消費者金融会社の馬上消費金融AI研究院の鄧偉洪院長は、「デジタルヒューマン標準体系を構築する際、3つのレベルの内容を考慮に入れなければならない。1つ目は、技術、デジタルモデリング、モーションキャプチャ、グラフィックスレンダリング、音声合成、ディープラーニングといったキーテクノロジーに関する標準を構築すべきだ。これにより、マルチ技術の融合に関する規範を保証し、デジタルヒューマンの性能と質を確保する。2つ目はセキュリティのレベルで、関連規範を明確化し、情報セキュリティ、ユーザーのプライバシー保護、及びシステムの安定性と信頼性を保証する。3つ目は応用のレベルで、デジタルヒューマンの合理的な分類とランク分けを行い、標準を構築する。効果的な管理、幅広い応用を実現するべく、デジタルヒューマンサービスの応用分野ごとに、相応の規範を制定すべきだ」と指摘した。

 白氏は、倫理、モラル、著作権の帰属といった問題に重点的に言及した。「デジタルヒューマン産業の標準体系を整備するためには、完全なデジタルヒューマン使用倫理規範を策定し、デジタルヒューマンの不正目的の利用を防ぐことで、ユーザーの権益と社会の公共利益を守る。また、デジタルヒューマン作品の著作権帰属を明確にして、原作者の知的財産権を保護し、イノベーションを奨励する必要がある」と述べた。

 鄧氏によると、中国情報通信研究院が筆頭となってITU-T(国際電気通信連合電気通信標準化部門)に提出した「バーチャルデジタルヒューマン指標に対する要求と評価方法」という国際標準は、2Dヒューマンイメージ合成技術がその主な内容だ。3Dデジタルヒューマンの面では、馬上消費金融が、IEEE-SA(アイトリプルイー・スタンダード・アソシエーション)に提出した「3Dデジタルヒューマンモデリングと駆動の技術的要件」という標準には、統一した3D資産データフォーマットと相互運用性に関する要件が策定され、さまざまなソフトウェアやプラットフォーム、ツール間の互換性を確保し、3Dデジタルヒューマンのモデリング、駆動技術、プロダクトデザイン、生産などの分野における進歩を推進するとの内容が含まれている。IEEEは今年9月、この標準採用に向けたプロジェクトを立ち上げた。これは、3Dデジタルヒューマンの構築と駆動技術の規範を明確に定義した世界初の標準となる見込みだ。

 中国工業・情報化部のメタバース標準化作業グループは現在、バーチャルデジタルヒューマンのランク分け、分類、バーチャルデジタルヒューマン生成プラットフォーム構築に対する要求など、複数の業界標準構築に向けたプロジェクト立ち上げを目指して、作業を進めている。同部科技司の関係者は「今後、標準による牽引を強化し続け、デジタルヒューマンの専門用語、管理、サービスなどの基礎・共通基準、デジタルアイデンティティ・マルチモーダルインタラクションなどの主要技術標準、デジタルカスタマーサービス、デジタルスタッフなどの重点分野のサービス標準の研究・応用を推進し、デジタルヒューマン標準体系を構築・整備する必要がある」と語った。

 デジタルヒューマン産業の質の高い発展を推進するためには、業界の垣根を超えた協同イノベーションを強化することも必要だ。白氏はこの点について、「政策支援、技術革新、応用・普及、エコシステム構築などで複数の措置を講じ、協力して取り組む必要がある。例えば、政策による牽引、資金による支援を通じて、デジタルヒューマン技術の研究開発・応用を奨励し、産業の集約化発展を促進することができる。また、AIやコンピュータグラフィックス、モーションキャプチャなどのキーテクノロジーの発展を推進し、デジタルヒューマンの性能を高め、応用範囲を拡大させることができる」と強調した。さらに「テスト事業・実証と業界協力によって、金融や工業などの高付加価値分野における幅広い応用を加速させ、大規模なニーズを生み出し、産業の循環的発展を牽引する。デジタルヒューマンの革新的な協同エコシステムを構築し、業界の各方面が協力を強化することで、デジタルヒューマン技術の各分野におけるイノベーション・応用を共同で推進し、デジタル経済のさらなる繁栄・発展を後押しすべきだ」と訴えた。


※本稿は、科技日報「"人手一个AI数字人"的时代还会远吗」(2024年11月11日付6面)を科技日報の許諾を得て日本語訳/転載したものである。

 

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