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【23-53】中国のAIエコシステムは今後3つの特徴を示す

馬愛平(科技日報記者) 2023年10月03日

 スマート革命の潮流により、人工知能(AI)技術は絶えず発展し、中国のAIエコシステムの構築を促進している。このほど行われた2023中国計算能力大会開幕式のメインフォーラムで、パソコン大手、レノボ(聯想集団)の執行副総裁兼中華圏総裁を務める劉軍氏は、「このエコシステムは今後、スーパーインテリジェント端末、ハイブリッドアーキテクチャ・コンピューティング、業界全体のシーンアプリケーションという3つの特徴がみられるようになる」と述べた。

 劉氏は「将来の端末にはスーパーコンピューティングが組み込まれ、AI機能を備えた端末とユーザーとのインタラクション方式が進化し続ける。スーパーインテリジェント端末は複数のデバイス間でシームレスな接続と連携ができるようになり、端末側に搭載されたAIモデルとユーザーデータが完全に統合されることで、さまざまなアプリケーションが、ユーザーに密着したスーパーインテリジェントなアシスタントとなる」と説明した。

 さらに劉氏は「AIのトレーニング負荷はクラウド側からエッジ側、端末側へと下りていき、クラウド・エッジ・端末の各サイドで合理的に分配され、クラウド/エッジ/端末のハイブリッドアーキテクチャを形成することになる。展開モデルを見ると、公共領域やプライベート領域など、異なるシーンに応じてAIを展開できるようになる。また、スマート計算センターが配置を加速させ、スマート計算/スーパー計算/汎用計算能力のハイブリッド発展を形成する。AIは業界全体のシーンで応用され、企業の効率を指数関数的に向上させる」と語った。

 例えば聯宝(合肥)電子科技有限公司(LCFC聯宝)が1日に10万台以上のコンピューターを生産するが、うち80%は5台以下の小口オーダーメイド生産であり、生産スケジューラ(生産計画システム)の煩雑さは10の約160乗だ。AIで生産スケジューラを管理すると、1日の管理に費やす時間が以前の6時間からわずか90秒に短縮された。

 整備されたAIエコシステムを構築するには、優れたAIハードウェアインフラが必要だ。IDCのデータによると、レノボは2022年に市場シェアの成長率が最も大きかったAIハードウェアインフラ(サーバーとストレージ)サプライヤーとなり、シェアは前年から139%上昇して、世界3位になった。同社ではまた、AIハードインフラの構築を促進するため、2023中国計算能力大会で「フルスタックスマート配置」を発表した。この配置には、AIが組み込まれたスマート端末、AI志向のインフラ、AIによって生まれるサービスとソリューションが含まれる。

 劉氏は「レノボのAI志向のコンピューティングインフラは、クラウド端末とエッジコンピューティングのシーンを全面的にカバーしている。今後は、レノボの全てのコンピューティングインフラ製品がAIに対応するようになり、インフラ開発資金の50%がAI分野に投入され、技術面であらゆる分野のAI応用をカバーするようになる。新たな時代のスタートラインに立ち、レノボは引き続き全面的にAIに取り組み、コンピューティングの実施を加速させ、中国のAIエコシステムを深化させ、中国企業がスマートトランスフォーメーションのスピード化を実現するよう後押ししていく」と述べた。


※本稿は、科技日報「中国AI生态将呈现三大特征」(2023年8月28日付6面)を科技日報の許諾を得て日本語訳/転載したものである。